
昔々ある所で、ある少年が、ある物語に出会った。(チラシより)
人里離れたアラハマに住む青年は、「働かなくても贅沢をして暮らせるだけの銭や物が欲しい」と思っていた。仕事を放り出し、山へ逃げ込んだ青年は、ある晩、異様な光景を目撃する。
杉の大木にしがみついた青鬼の背中が割れ、脱皮を始め、見る見るうちに赤鬼になったのだ。
青年はその抜け殻を盗んで着込み、村で悪事を重ねる様になる。
ところが、いざ抜け殻を脱ごうとすると、どうしようにも脱げなくなり…。
甘えたくて甘えたんじゃない。好きでここに居る訳じゃない。
俺だって、わたしだって・・・。
誰だって楽がいい。でも9があるから10になる。
いつの間にか着てしまったこの鬼がらは、どうしたら脱げるんだろう?
いつまで悲しいの?いつまでも可哀想なの?どうしたらそうじゃなくなるの?
これは、いつの間にか着せられたレッテルを脱ぎ捨てる、そんな物語。
東北出身だが震災の時は東京で働いていた主人公の青年フリージャーナリストは、地元を取材して記事を書く。しかし被災地は故郷であるが自分は被災者ではなく、ずっと地元にいる人々との間には見えない壁がある。さらに、被災地に残る父母は周囲と問題を起こして疎まれているという状況だ。父の書いた童話を頼りに、そこにある真実と真意と、自分の拠り所を探っていく。
東日本大震災の被災地における人間関係の暗い部分を取り上げており、4年近く経つ今だからこそ書けたのだと思う。天災とはいえ、生き残った人々の生きる努力は生臭いものであり、きれいな話ばかりではない。それを含めてもなお救われるものはあるということだろう。
童話の世界と現実が交錯する様子が幻想的に仕上がっていた。対面客席のため演技スペースはかなり狭かったはずだが、狭さを感じさせない広がりのある舞台だった。
2015/01/25-17:30
ナイスコンプレックス「鬼のぬけがら」
OFF・OFFシアター/事前振込3500円
作・演出:キムラ真
出演:末原拓馬/森田陽祐/早野実紗/神田友博/大久保悠依/赤眞秀輝/荒賀弓絃/榎本舞/金谷優里/小林和也/中神芽依/根本沙織/濱仲太/深津紀暁/前田勝/キムラ真
舞台監督:今泉馨/川瀬誠
舞台美術:丸山賢一
照明:仲光和樹
音響:土屋由紀
写真:鏡田伸幸
音楽:橋本啓一
衣装:紅林里美
制作:佐藤希

