
(チラシより)その機関車は、秩序を殺した。
薄暗い扇形車庫の奥に、
鋼鉄の塊がうずくまっている。
水を飲み、石炭を喰らい、
腹の中に炎を宿す生き物。
蒸気機関車。
ささやかな自信と誇りを持って、
その運転台に座り続けた。
煙を吐き、熱を放つ生き物を、
定刻通りに走らせる。
一人の機関士。
毎日の仕事だった。
何も変わらない筈だった。
ひとつの事故、ひとりの人間の死が、
すべてを狂わせた。
昭和24年7月5日。
下山事件、発生。
戦後すぐ、国鉄の大規模な人員整理が発表した直後の国鉄総裁下山氏が蒸気機関車に轢断された遺体となって発見された事件。その蒸気機関車の型式番号がタイトルになっている。
前作の東京裁判が非常に良かったので観に行ったが、今回はあまり知らない事件を扱っているためいまいちピンとこなかった。物語の中心はその機関車に乗っていた三人の乗員とそれを取り調べる警官、それに舞台上には現れないが人員整理を巡る労働争議だ。しかし鉄道好きとしてはしっくりこない話だった。
10万人も首切りをすると決めた責任者が現場の恨みを買うのはわかるが、自動車や飛行機と違って進路を自分で変えられない鉄道による轢殺の場合、列車の乗務員が罪に問われることは普通考えにくい。現実に運転士が(参考人ではなく)容疑者のように取り調べを受けることはあるのだろうか?実話がベースになっているのでその辺りが気になってしまった。
役者一人一人の演技はとても良かっただけに、もったいない印象だ。特に機関車や弁護士を演じた役者がとても良かった。職人ってかっこいいなあと思わされた。
2012/12/02-14:00
パラドックス定数「D51-651」
上野ストアハウス/当日券3200円
作・演出:野木萌葱
出演:植村宏司/西原誠吾/井内勇希/加藤敦/生津徹/小野ゆたか
照明:伊藤泰行
音響:田中亮太
衣装:車杏里
舞台協力:金安凌平
写真:渡辺竜太
販促:副島千尋
制作部:たけいけいこ/今井由紀
宣伝美術:植村宏司

