2014年07月30日

miel「す き  と お り」

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水は透き通り
空気は透き通り
硝子は透き通り

透き通った肌に流れる血

人間も透き通り

自分の身体が
ただの入れ物で
入ってきた物の色が透けて見える

相手が笑って
自分も笑った
その時の色は何色かしら

カメレオンのように
様々な色に見えるのは
透き通っているから

透き通り
それから、、、
(チラシより)

 白を基調とした衣装と抽象化された舞台装置で、見た目の雰囲気はコンテンポラリーダンスのようだが、ちゃんとストーリー性のある戯曲によって構成されたオムニバス。歌曲を軸にした演劇がミュージカルなら、ダンスを軸にした演劇は何だろう?

 主催の金崎敬江さんが相変わらず結婚できない女を演じていたのが心配でならない。昔メタリック農家で観た古市海見子さんがえらくたくましくなっていて驚いた。

 スタジオ空洞は初めて行った劇場。使い方が若干難しそうだが、この作品には合っていたと思う。

2014/07/30-19:30
miel「す き  と お り」
スタジオ空洞/当日券3500円
テキスト提供:糸井幸之介/末原拓馬/瀬戸山美咲/登米裕一/ハセガワアユム/米内山陽子
演出・振付:金崎敬江
出演:齋藤陽介/佐野功/辻貴大/野口卓磨/堀池直毅/石井舞/古市海見子/与古田千晃/金崎敬江続きを読む:スタッフリスト
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2014年07月29日

赤星マサノリ×坂口修一「すっぴん」

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ホンなし!演出なし!スタッフもなし!
舞台には役者が二人だけ!
音響や照明操作も演技中に二人でやります!
赤星マサノリと坂口修一がすべてをさらけ出して挑む即興芝居。
(チラシより)

 関西で勢いのある役者2人による即興芝居。観客からもらったお題を幾つか並べ、それを織り込んだ芝居をその場で作って演じるというもの。いわゆるインプロ芝居というものですね。

 当然のことながら、きちんと練られた脚本のような完成度はなくて、ほぼ無理矢理。戯曲のある芝居とは別物のライブイベントと捉えるべき企画だ。そう割り切った上で参加すれば面白い。

2014/07/29-20:00
赤星マサノリ×坂口修一「すっぴん」
インディペンデントシアターファースト/当日清算2000円
出演:赤星マサノリ/坂口修一
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2014年07月13日

桃尻犬「愛ヲ避ケル」

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♪世界中の〜人がみんな〜
 「愛」って言った瞬間に〜
 うんこ漏らしちゃえば、いいのに、な〜
(チラシより)

 愛のあるセックスでしか感染しないという奇病があり、ともすれば差別の対象となる感染者の福祉として彼らが働く工場が作られている。そこで働く人たちとやってくる人たちの話。

 現実にある差別問題と微妙に絡めつつも、それはあくまでも話の前提であり、描いている主題ではなかったと思う。描いているのはそういう環境にある人々の、傲慢さとか諦観とか開き直りとかと、そのぶつかり合いの姿だろう。

 荒唐無稽でファンキーな中に、淋しさが力強く渦巻いている。理想的な解決策なんてありはしない。それぞれがそれぞれの立場から見て最善策と思えることを、できる範囲でやってみるしかないのだ。その「できる範囲」だって人によってはとても狭いんだけど、それはそれでしょうがないじゃんか。という。

 食べ物を粗末にするなと怒られそうなエンディングだったが、あのしっちゃかめっちゃか具合が今の僕らの実態を可視化したものではないか、などと深読みするのも楽しいが、そんな見方をすること自体が滑稽なんだろうな。

2014/07/13-14:00
桃尻犬「愛ヲ避ケル」
王子小劇場/当日精算2500円
出演:糸山和則 /踊り子あり /堂本佳世/長井短/永作一樹/成瀬正太郎/濱津隆之/湯口光穂/野田慈伸
作・演出:野田慈伸
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2014年07月05日

ナイスストーカー「女子と算数」

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大人になるまで、あと3億8千万秒。
(チラシより)

 算数をテーマにしつつも、主な展開は男女のいざこざ。まさにナイスストーカーの名にふさわしく、清々しいまでの変態じみたマニアックでフェティッシュな恋愛模様が繰り広げられる。

 最初は算数の歴史を紐解くようなスタイルで何百年か前の学者の話から始まるものの、だんだんどうでもよくなり、たまに思い出したように算数が出てくるといった流れ。出てくる女子はみんな可愛い。誰がなんと言おうと可愛い。

 そしていつもながら帯金ゆかりは最高だった(かわいいというより面白い人ですが)。

2014/07/05-19:30
ナイスストーカー「女子と算数」
pit北/区域/当日清算2800円
作・演出:イトウシンタロウ
出演:帯金ゆかり/百地香織/本田留美/杉村こずえ/藤田彩子/秋月愛/イグロヒデアキ/伊藤伸太朗
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シンクロ少女「許されざる者」

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 推理小説の共同執筆者として仕事仲間である男女は、かつて夫婦で子供もいる。別れてからも一緒に続けている執筆の仕事場となっているマンションには、男の新しい妻もやってくる。その隣の部屋に住む夫婦は夫の浮気が原因でケンカの真っ最中。自分も浮気してやると言って出てきた妻は、小説家の男にデートを申し込む。そこから二組の奇妙な関係が始まる。

 コミカルであると同時になんとも言えない気持ち悪さを醸し出す作品だった。すべてが破綻した後のラストシーンが最初に演じられるのが少し映画的。アトリエヘリコプターの狭い空間を狭く感じさせない使い方はうまかった。

 タイトルは同名の映画から取っていると思ったが、どうも同じタイトルの映画はリメイクも含めて4つか5つあるので、どれが念頭にあったのかよくわからない。私はどれも未見だが調べてみると西部劇や任侠映画なので、本作とは内容的に重なるものではないと思われる。

2014/07/05-14:30
シンクロ少女「許されざる者」
アトリエヘリコプター/当日清算2800円
脚本・演出:名嘉友美
出演:泉政宏/中田麦平/名嘉友美/菊川朝子/田中のり子
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2014年06月29日

柿喰う客「へんてこレストラン」

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「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません…」
山奥で見つけた一軒の立派なレストラン。
中に入ってみると、どうも色々へんてこで…。
(チラシより)

 言わずと知れた宮沢賢治「注文の多い料理店」を柿喰う客テイストで演出。子供向けとはいえクオリティに手抜きはない。なんでああもスタイリッシュにできるんだろう。

 ところで会場となったスカイホールはカナリアホールと同じく北とぴあの14階にあり、その共通ロビーからはスカイツリーが見える。なかなか良い眺望なので、王子で時間があいたらこのロビーで過ごすのも良いかもしれない。

2014/06/29-11:00
柿喰う客「へんてこレストラン」
北とぴあスカイホール/王子小劇場支援会員
出演:深谷由梨香/永島敬三/大村わたる/葉丸あすか
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2014年06月28日

犬と串「エロビアンナイト」

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この想い、3分後も。

空飛ぶ絨毯。呪文で開く洞窟。
いくらだって話す。あなたのためなら。
欲しいのは、心。身体じゃ、なくって。
真夏の夜は心を騒がせる。
犬と串流、愛と不条理の千夜一夜物語(アラビアンナイト)。
(チラシより)

 ものすごく仲がいいのにちっとも関係が進展しない不思議なカップルを中心に、周囲の人々が気をもんで振り回される。二人の真っ当さと周囲の変態さがコントラストをなして謎が深まるが、真相が明らかになると一種の逆転が起こる。

 いやはや、タブー破りなどどぎつい作風を続けていた犬と串が普通に「いい話」を持ってきたから逆に驚かされた。まあオチはある意味アブノーマルなのだが、決してグロテスクではなく清々しく描いていて、どんな心境の変化があったのだろうか。

 ヒロインを演じた服部容子さんは初見だがとても好印象だった。今後もチェックしていきたい。

2014/06/28-19:00
犬と串「エロビアンナイト」
王子小劇場/王子小劇場支援会員
作・演出:モラル
出演:満間昂平/鈴木アメリ/藤尾姦太郎/堀雄貴/萩原達郎/板倉武志/石澤希代子/辻貴大/綾乃彩/服部容子
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ナカゴー「ノット・アナザー・ティーンムービー」

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アメリカの高校生たちが、ある困難に直面し、それを乗り越えようとする青春群像劇です。乞うご期待!!ぜひ。
(チラシより)

 いかにもありがちなセリフや展開を詰め込んだアメリカの青春映画風コメディ。途中から次第に常軌を逸していき、グロシーンや差別用語が飛びまくる。バカバカしい演出のオンパレードだが、これを作るには相当多くの作品に目を通して研究したんだと思われる。周到に作りこまれたチープ感が憎らしい。

 また、気づいただけでもいくつかの作品のパロディが含まれていたが、多分私が知らない作品も含まれていたのだろう。こういう場合はネタ表みたいなものが欲しくなるが、それは野暮というものか。

2014/06/28-15:00
ナカゴー「ノット・アナザー・ティーンムービー」
北とぴあカナリアホール/王子小劇場支援会員
脚本・演出:鎌田順也
出演:篠原正明/鎌田順也/小笠原結/川村麻実/佐々木幸子/永山由里恵/羊田彩佳/星原むつみ/三澤久美/浅見紘至/猪股和磨/桑嶋剛史/土屋亮一/中山裕康/西本泰輔/富士たくや/堀田創
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2014年06月16日

イキウメ「関数ドミノ」

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「ドミノ幻想」では、
世界はある特定の人間を中心にして回っていると考える。
願ったことが必ずかなうドミノという存在がいる。
右か左か、進むか止まるか。二者択一の洪水の中、ドミノによって、行く末が決定されていく。
ドミノは思いの強さに比例し、スピードを上げる。
最も速いものは「ドミノ一個」と呼ばれ、願った瞬間に結果が現れる。
それは「奇跡」と呼ばれる…。
(チラシより)

 再演とのことだが私は初見。オカルトとファンタジーとSFと人情劇が合わさったようなイキウメらしい作品。シンプルでセンスのいい舞台装置の中で、安井順平演じる卑屈な男性が発する嫌な空気がジワジワくる。

 どうしようもない後悔と自責の念で押しつぶされるように暗転する結末はなんとも後味が悪いが、そこが魅力とも言えるだろう。

2014/06/07-19:00
イキウメ「関数ドミノ」
シアタートラム/当日精算4200円
脚本・演出:前川知大
出演:浜田信也/安井順平/伊勢佳世/盛隆二/岩本幸子/森下創/大窪人衛/新倉ケンタ/吉田蒼
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2014年06月07日

ホチキス「妻らない極道たち」

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極道の妻たちが、結婚相談所を開いた!?
婚活支援に支給される助成金をとるために作られた結婚相談所
そこにあてがわれたのは、暇をもてあそぶ妻達。
時間つぶしにちょうどいいと引き受けた仕事だったが、
やがて本腰を入れはじめ…。ホチキスが贈る、ジューンブライド婚活コメディー!
「お嫁さん、事件です!!」
(チラシより)

 やっぱりホチキスはハズレがない。小玉久仁子のチャキチャキした感じは極妻というよりスケバンのヘッドみたいだが、まあ似たようなものだろう。ひとつひとつのエピソードや設定はナンセンスで荒唐無稽としか言いようがないのだが、なぜかホチキスがやるとすんなり受け入れてしまう。それを次から次へと繰り出してくるから最後まで飽きない。

 ただし上記のあらすじは実際とはちょっと違っているので、何度も書き直したのだろう。そこに少しだけ苦労の跡がしのばれるが、そんなことは関係なく楽しませてもらった。

2014/06/07-14:00
ホチキス「妻らない極道たち」
吉祥寺シアター/当日精算3500円
脚本・演出:米山和仁
出演:小玉久仁子/山ア雅志/福井博章/木俊/加藤敦/細野今日子/村上誠基/齋藤陽介/丹野晶子/今井瑞/齊藤美和子/山本洋輔/松本理史/長尾純子/野沢大悟/松本祐一
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2014年05月31日

かのうとおっさん「こんにちはハワイ」

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恥じらいは家に置いて、踊ろう!
(チラシより)

 大阪の脱力系コメディユニットの東京初公演。大阪にいたときもそんなに多くは観ていなかったが、かなり好きな団体だ。小さな会場ではあるが東京ではほとんど知名度がないだけに客入りが心配だったが、杞憂だった。

 関西において「お笑い」は確固たるジャンルを築いているため、演劇でコメディを中心としている劇団は意外と少ない。かのうとおっさんは男女のコンビで、二人だけが出演していると漫才のようでもある。本人たちがどういう立ち位置を意識しているかわからないが、演劇とか漫才とかあまりこだわらず、面白そうなスタイルを随時鳥言えれて作っているのだろう。

 今回は二人だけの作品もあれば大勢出演する作品もある、オムニバス形式。笑い転げるというわけではないが、ウフフフと笑える、とても幸せな気分になれる舞台だった。

2014/05/31-19:30
かのうとおっさん「こんにちはハワイ」
小劇場楽園/当日清算2800円
脚本・演出:かのうとおっさん
出演:嘉納みなこ/有北雅彦/是常祐美/佐々木ヤス子/ナカムラユーキ/くにえださわこ/谷伊織/鳥島明/松岡千明
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ぬいぐるみハンター「ウォーターバック」

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ここは誰もが知っているサバンナではない。
生き抜くにはあのサバンナの自然よりも遥かに厳しい、犯罪都市。
食物連鎖のピラミッドと同じ図式で厳しい階級制度が決められた貧困と権力と犯罪が混在する国。
悪の元凶、ライオン(階級※ピラミッドの頂点)の王を討つべく、ウォーターバック(階級※ピラミッドの下の中)の少女が今、ジャンヌダルクのごとく立ち上がる。
ぬいぐるみハンターが壮大かつ独自すぎる世界観のストーリーに最多キャストで挑む、逆説的ライオンキングの生命賛歌!
(チラシより)

 小さな空間に厳しい空気が張り詰めた前作から一転して、吉祥寺シアターの大きなスペースに30人を越える役者がひしめき合って、はじけるような作品になっていた。

 ストーリーは特に目新しいものではない。と言うよりむしろ、お約束な展開をあえて詰め込んだのではないだろうか。その上でどれだけ楽しませる演出ができるかに挑戦しているのだと思う。その解釈が正しいと仮定して、その挑戦の成功率は7割くらいの印象だ。特に悪いところもないし面白かったけれど、この劇団の過去作品と比較して突出したものもないという所。好きな劇団なので、期待値が大きくなりすぎたのかもしれない。

 ところで浅利ねこが3月に退団してたのを今頃知った。好きだったので残念だ。そして動物電気の辻さんは相変わらず気持ち悪かった(褒め言葉)。

2014/05/31-13:30
ぬいぐるみハンター「ウォーターバック」
吉祥寺シアター/当日精算3500円
作・演出:池亀三太
出演:神戸アキコ/猪股和磨/梅本幸希/森崎健吾/土田香織/羊田彩佳/一色洋平/水木桜子/富山恵理子/有田杏子/野口オリジナル/川田智美/浅見臣樹/吉田壮辰/前園あかり/水野伽奈子/中野智恵梨/モリタモリオ/前川昂哉/浅川薫理/湯口光穂/橋口克哉/秋本雄基/荒井志乃/西堀晴香/栗原瑞希/塚本充/渋谷ヒロキ/永田佑衣/ハネダアカリ/山本沙羅/古賀友樹/有栖川ユカ/藤田葵/辻修
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2014年05月06日

エビス駅前バープロデュース「ふりむかないで」

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僕は妻を愛しています。
それは嘘じゃない。
一人の男が七人の女を旅するロードムービー。
(チラシより)

 登場人物全員が並んだ状態で、一人の男の女性遍歴が語られていく。男がマイクで観客に語りかけるなど演出的に色々挑戦したスタイルだが、出番でない役者が出ずっぱりというのは少々難しかったように思う。ただ、もう少しスペースに余裕があれば工夫もできるので、さらに練ったものを観たい気もする。

 とは言えバー公演には良く合ったテーマで、個々のエピソードはそれなりに面白かった。あんなモテモテな男は自分とはあまりに無関係だが。

2014/05/06-12:00
エビス駅前バープロデュース「ふりむかないで」
エビス駅前バー/当日精算3600円
脚本:米内山陽子
演出:広瀬格
出演:金崎敬江/斉藤麻衣子/田中千佳子/菊池美里/根本沙織/酒井香奈子/岸本卓也/内野真理
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2014年05月05日

レティクル東京座「常夜ノ國ノ★アリス」

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時は大征(たいせい)、大日本帝國。
没落華族の令嬢・五菱(いつびし)アリスはお家復興のため、
今をときめく大華族・九条(くじょう)家の花嫁となる。
が、それは表の顔。五菱の真の姿は、皇太子殿下に仕える暗殺者なのであった!
アリスに課せられた任務は、皇位継承の転覆を謀る美しく気高い九条家当主・「女王」と名高き夫となる九条ルイを殺すこと。
ましろき衣の皇太子殿下に手をひかれ飛び込んだ、絢爛豪華な社交世界には魔物が潜む!

和製ゴシックインフェルノ×原案★ルイス=キャロル『不思議の国のアリス』
(チラシより)

 皇位継承を巡る争いに巻き込まれた若者の話。こういう話では西洋風の演出になりがちだが大日本帝国で天皇と言ってるのは珍しい。帝国歌劇団とかそんなイメージかな?多分作者がそういうの好きなんだろうと思われる。

 学生劇団にありがちな装飾過剰な爆音系演劇で、マンガやアニメのネタを盛り込んでかなりハイコンテクストな印象もあった。多分、かなりの割合で元ネタを知らない。ジョジョネタくらいはわかるけど、最近のマンガとかアニメから持ってきたネタなら全然気付けない。

 ゴス調とか帝国風とか耽美的とかいろんな形容詞が浮かんでくるが、なんか疲れた。客層も若くて活気にあふれているが、おじさんにはちょっとね。

2014/05/05-19:30
レティクル東京座「常夜ノ國ノ★アリス」
王子小劇場/当日精算2500円
脚本・演出:赤星ユウ
出演:青海アキ/やないさき/船越絵雅/山本沙和/古俣晨/吉澤清貴/田中直人/中井萌/山田勇亮/吉野瑠奈/篠原正明/松浦智美/沈ゆうこ/庄條龍馬/コウコウサイ/秋元来方/寿里/藤波想平/万葉蜜子/中村藍/よしよしこ/東侃輝/MeR/寺尾みなみ/星秀美
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2014年04月19日

範宙遊泳「うまれてないからまだしねない」

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2.5次元の演劇で注目を集める範宙遊泳が単独公演最年少アーティストとして
ついに芸劇に登場ー。


僕は、生きているその間にのみしか作品を生み出す意義を持てないタイプの人間です。だから演劇を選んでいるのだと思います。
演劇は(戯曲ならまだしも)演劇は現前にあることを大きく前提とした芸術であるという意味で、僕は僕が死んだ時に僕の作品が残っていることを、素直に想定できないし喜べないだろうということです。
未来に価値を見い出せない、ということではありません。
未来は常に僕の中で明るく輝いています。
それは、どんなに頭の良い人達が、未来は暗いと言おうとしたとしても、です。
今作は、終末の話です。人類が滅びていくかもしれない話を描くわけですから、僕の心は今、いささか暗いです。
けれどもその先に、何が待っているのか。
それを考えると力が漲ってくるのも確かなのです。
うまれてないからまだしねない。
確かに明るいものを目指そうとする僕の身体が心が脳が指先があります。
山本卓卓
(サイトより)

2014/04/19-19:00
範宙遊泳「うまれてないからまだしねない」
東京芸術劇場シアターイースト/当日清算3000円
脚本・演出:山本卓卓
出演:大橋一輝/熊川ふみ/埜本幸良/伊東沙保/大石将弘/椎橋綾那/田中美希恵/名児耶ゆり/波佐谷聡/福原冠
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アマヤドリ「ぬれぎぬ」

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舞台は「自由」が大いに拡大され、刑務所までもが半民営化されたリバタリアンの行政特区。日本でありながら、今の日本とはちょっと違う、そんな場所。

派遣労働のソーシャル・ワーカーとして重罪を犯した受刑者たちと向き合う「夫妻」を軸に、被害者の親族や受刑者のおかした罪とその内面を巡って物語は進む。「心からの反省」を促すべく活動を続ける「夫妻」とその会社のメンバーたちと、自らの罪に向き合うことを拒絶するかのような言動を続ける受刑者たち。と、そんなおりに「夫婦」の間にぬきさしならない大問題が発生し、ふたりの関係は大いにゆらいでいく……。

ストーカー殺人、安楽死殺人、死刑廃止論、結婚制度、出産前DNA鑑定など、現代人の抱える答えの出ない問いを丁寧で濃密な会話劇で展開します。アマヤドリのお家芸ともいえる群舞を封印し、音響効果も最小限に抑えて極小空間での対話劇に劇団員のみで挑みます。悪と自由の三部作、第一弾を飾るにふさわしい、スリリングな会話劇! ぜひお見逃しなく。
(チラシより)

 なんとなく「パ・ド・ドゥ」を思い出させるシチュエーションの作品。法廷劇とはまた違う、取り調べ劇とでもいうようなジャンルか。

 現実と異なる社会的背景の上での会話劇というのは、背景説明を会話に盛りこまなくてはならないが、不自然になることなくそれを実行するのは難しい。その点をうまくこなしても、物語としての面白さが二の次になっては意味が無い。この作品はそれらのハードルをある程度高いレベルでクリアしているものの、完全ではなかったと思う。

2014/04/19-15:00
アマヤドリ「ぬれぎぬ」
シアター風姿花伝/当日清算2800円
脚本・演出:広田淳一
出演:笠井里美/松下仁/糸山和則/渡邉圭介/小角まや/榊菜津美/中村早香
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2014年03月08日

流山児★事務所「田園に死す」

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父親のいない「私」は、恐山の麓の村で母と暮らしている十代の少年。楽しみはイタコに父親の霊を呼び出させて会話をすること。「私」の家の隣には他所から嫁入りした若い人妻が住んでおり、意中の人。ある日、村にやって来たサーカス団員から「私」は、外の世界の事を聞かされ、憧れを抱く。「私」は家出を決心し、同じように生活が嫌になった隣の人妻と共に村を離れる。駅で待ち合わせ、線路を歩く二人・・・・・ここまでが映画監督になった現在の「私」が製作した自伝映画の一部。「もし君がタイムマシーンに乗って数百年をさかのぼり、君の三代前のおばあさんを殺したとしたら、現在の君はいなくなると思うか」と批評家に尋ねられる。・・・・「私」は、少年時代の自分自身に出会う。映画で描かれた少年時代は脚色されており、真実ではないと言い放つ。「私の少年時代は現在の私の嘘だった」「作られた記憶の暗闇に少年が見たものは何か?」
(サイトより)

 …という説明文はあるものの、演出が天野天街である。あまりに特徴的なスタイルに脚本が飲み込まれ、結果的に流山児事務所による少年王者舘とでもいうべき作品になっていた。

 流山児事務所のファンで少年王者舘を観たことがない人にはなかなか新鮮だったかもしれないが、両方知っていると、コラボレーションによって何か新しいものが生まれているという印象はなく、単純にふたつのスタイルを合わせただけのように感じられた。

 もちろんクオリティは高いレベルにあるので、何かこう、せっかくのコラボなんだから何かもう一工夫欲しかったと思う。

2014/03/08-14:00
流山児★事務所「田園に死す」
ザ・スズナリ/当日清算4200円
脚本:寺山修司
演出:天野天街
出演:大内厚雄/伊藤弘子/小川輝晃/木暮拓矢/深山洋貴/小林七緒/冨澤力/柏倉太郎/平野直美/沖田乱/中田春介/蒲公仁/眞藤ヒロシ/坂井香奈美/阿萬由美/山下直哉/荒木理恵/山丸莉菜/小寺悠介/竹田邦彦/辻京太/飯塚克之/日下部そう/後藤英樹/桜井玲奈/藤村直樹/酒井和哉/藤村一成/小林夢二/鶴田理紗/宮川安利/佐原由美/艶嬢さとみ/さとうこうじ/流山児祥
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2014年01月18日

こゆび侍「少年の日の思い出」

shounennohino.jpg

正義のままでいられると思っていた、ずっと。

木漏れ日の下、足音をたてないよう、そっと蝶々に忍び寄る――もうすぐこれが自分のものになる。胸をぎゅっとしめつける気持ちを、少年たちは感じていた。
ぼくも他の少年たちと同じように、学校の時間も昼食の時間も忘れ、美しい蝶や蛾を探して捕まえて、古いつぶれたボール紙の箱に保管していた。裕福な家の連中にコレクションを値踏みされようと関係ない。それはぼくのなによりの宝物だった。

「エーミールがクジャクヤママユの羽化に成功したらしい」

クジャクヤママユは、古い蝶蛾図鑑でしか見たことのない珍しい蛾。ぼくは興奮を抑えられず、いてもたってもいられずエーミールの家へ――忍び込んだ。
部屋には、図鑑で見たよりもはるかに美しく、めったに手に入らないクジャクヤママユ。目をはなすのがおしかった。見れば見るほど艶めかしかった。
羽に描かれた瞳のような紋様が、じっと、ぼくを見つめていた。
(チラシより)

 原作をちゃんと読んでないのでわからないが、ヘルマン・ヘッセの作品をほぼそのまま舞台化したと思われる。いつの時代も若者の心の動きは変わらないのだと痛感させられる。

 主人公は小心者なのに、やっちゃいけないことをやってしまい、しらばっくれる度胸もなく、でも罪を告白して蔑まれるのも決して平気ではない。ああ、多かれ少なかれそういうことは自分の人生にもたくさんあった。その気まずい感覚が蘇ってきてグサグサと心を突き刺さって、たまらなかった。

 私が観たこゆび侍はこれまでオリジナルばかりだったので、原作ものをやるのは珍しい気がする。しかしとてもよく少年の心情が描けており、もっとこういうのを増やしてもいいのではないかと思う。

2014/01/18-19:30
こゆび侍「少年の日の思い出」
新宿眼科画廊/当日精算2300円
原作:ヘルマン・ヘッセ
脚本・演出:成島秀和
出演:廣瀬友美/島口綾/背乃じゅん/勢古尚行/藤井牧子/宮崎雄真/若林小夜
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2014年01月12日

The end of company ジエン社「ステロタイプテスト/パス」

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はなす事を、はなして。
かく事を、かいて。
かけてしまった私たちを、はなして。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 指で、他人の背中を、なぞっている。
 
 ぐっと力を入れつつ、慎重に、間違えないように、しかも、鏡文字を書くようにだ。
 こうでもしないと、僕は目の前で背中を向いて呆然と座っている老人に、何らかの意思を伝える事が出来ない。
 天才芸人孔子先生の虜囚は続いている。孔子先生はあの日以来全身が麻痺してしまい、目を覚ます事は無いように当初は思われたが、悪魔医師は「触覚だけならなんとか分かる」ので「身体をゆすったり、揉んだりしなさい」といい残した。
 しかたなく、僕らは交代で孔子先生の身体をゆすっている。孔子先生を蝕んでいる麻痺が、身体を覆ってしまわないように。麻痺に覆われたら、人の身体は死ぬし、彼の脳内にある様々な情報も死ぬ。彼の脳内にある情報とは、この町が仮の町になる以前の町の情報でもあるし、稲作についての効率のいい収穫法でもあるし、「イソップ」と呼ばれる擬人化した動物たちの寓話でもあった。
 元芸人という経歴を持つこの孔子と言う男の口からこぼれ出た物語は、読み書きもろくに知らず、ただある為政者の思想書を丸暗記することしか教育を施されなかった僕らにとって、新鮮な驚きと面白さがあった。
 特に、イソップ物語は面白い。
 キツネは、すっぱいと言って、ぶどうを罵倒する。兎は亀と瞬発力を競っていたはずが、いつの間にか眠りに落ちる。アリは、歌うキリギリスを、冷徹に拒絶する。

「こうし せんせい おしえて ください わたしに せかいの ことごとくを」

 僕は孔子先生の背中を、指で文字を書き、なぞる。孔子は何かいいだけに、麻痺に犯された口を開く。
「馬を羨んだロバがいてな……そいつは……」
 こうして今日も僕らはイソップと呼ばれる擬人化動物物語群を孔子から引きだす事に成功した。
 ステロタイプテスト/パス――文字を正確に書くことができた時、僕たちは動物たちが巻き起こす、不思議で面白くて、そしてためになる物語を、この政治運動に疲れきった小さな老人の背中から、聞く事が、出来るのだ。
(チラシより)

2014/01/12-13:00
The end of company ジエン社「ステロタイプテスト/パス」
d-倉庫/当日清算3000円
作・演出:作者本介
出演: 安藤理樹/伊神忠聡/岡野康弘/小見美幸/川田智美/清水穂奈美/鈴木遼/矢野昌幸/山本美緒/湯舟すぴか/横山翔一/善積元続きを読む:スタッフリスト
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2014年01月11日

クロムモリブデン「曲がるカーブ」

magaruka-bu.jpg

まためぐる夏の日に心尖らす人がいる
いやー高校野球って観たら面白いんだけど
金賭けちゃダメっすよ皆さん!
高校生が正々堂々と戦ってんですから
いやー高校生は何と戦ってんすかねえ
ランナーに出てセカンドベースに立って
煙草吸いたくなったらどうするんだろうねえ
昨日の酒が残ってたら ボールがよれよれ
女子マネージャーのことも気になるし
インフィールドフライとは、無死または一死で走者が一・二塁または満塁の時
打者がフェアゾーンの飛球を打ち上げたとき内野手が…うるせー
わかんないよ頭悪いからさあ ルールなんかさあ
投げて打って走って取って盗んで殴って抗議して
揉めて揉まれて退場して罰金払って甲子園!
クロムモリブデン流、甲子園!
対外試合禁止でも試合してもいいですか?
10人で守ってもいいですか?
役者にデッドボール!お客さんにビーンボール!
(チラシより)

 本筋は甲子園を目指す高校野球部の話だが、野球はまったくしない。外野のそのまた外野で不祥事の嵐が吹き荒れ、見苦しくも滑稽になんとかしよう(ごまかそう)として右往左往する人々や、それも関係なく好き勝手してる人たちの話。いつもながらのクロム節で結末は大音響のカタストロフィ。

 女子高生を演じる葛木英と渡邉とかげがとても可愛らしかった。終盤、彼女たちがマウスみたいによいしょよいしょと野球場を回すシーンは実に素敵だった。意味がわからないよ。

2014/01/11-19:00
クロムモリブデン「曲がるカーブ」
赤坂レッドシアター/事前入金3500円
作・演出:青木秀樹
出演:森下亮/板倉チヒロ/奥田ワレタ/久保貫太郎/渡邉とかげ/小林義典/武子太郎/花戸祐介/葛木英/ゆにば
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