2015年02月11日

タカハ劇団「わたしを、褒めて」

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――わたし、褒められるためだったら、人を殺したっていい!!!

都内某所のアパートで、一人の女優が死んでいた。
彼女はなぜ死んだのか。真実は、稽古場にある。

東京の片隅の、どこにでもある、
誰にでも住めるようなアパートの一室で、
一人の女が死んでいた。
一見して彼女の素性は知れなかったが、
遺品から、この女が女優だったことがわかる。
彼女の部屋に散らばる無数の公演パンフレットから、
舞台『楽屋』パンフレットを拾い上げ、刑事が言う。
「あ〜この人か! 知ってる知ってる、
俺テレビでなんどか見たことある!」
そういった刑事の持つパンフレットをのぞき込んで、
もう一人の刑事が言う。
「あー……俺ちょっとわからないっすねぇ」
彼女は、そんな女優だった。
(チラシより)

 演劇の中で演劇を扱うと内輪ネタのようで好きではありませんが、この作品は別格でした。本作で劇中劇として登場する「楽屋」という作品は実際にかなり多くの劇団が上演している定番戯曲で、これ自体がさらに劇中劇を持ちますが、本作全体もまた劇中劇の体裁をとっていました。一番メタな部分は必要あったのかよくわかりません。

 演劇の舞台裏がどんなものか私は知りません。恐らく本作は相当に誇張したものと思われますので真に受けるわけではありませんが、人間ドラマとしては多分そういうこともあるんだろうなと思われます。実力の世界なだけにドロドロした部分はなくせないでしょう。

 過去にドラマがヒットした女優を起用して話題性を持たせるという、いかにも商業演劇的なキャスティングがとんでもない事態を引き起こすのですが、この芝居そのもののキャスティングは見事なまでにはまっていました。

2015/02/11-14:00
タカハ劇団「わたしを、褒めて」
駅前劇場/事前振込3900円
脚本・演出:高羽彩
出演:千賀由紀子/異儀田夏葉/江原由夏/水木桜子//高野ゆらこ/古木知彦/神戸アキコ/後東ようこ/結城洋平/山田悠介/眼鏡太郎/久保貫太郎
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2015年02月08日

ユニークポイント「フェルマーの最終定理」

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17世紀、フランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが「この定理に関して私は真に驚くべき証明を見つけたがこの余白はそれを書くには狭すぎる」と書き残したフェルマー予想は、その内容の簡潔さゆえ、何人もの数学者やアマチュア研究者が証明に挑みましたが、なかなか証明されませんでした。1993年、イギリス生まれの数学者アンドリュー・ワイルズは秘密裏にこの証明を研究し、1995年、誤りがないことが確認され、ついに最終決着となりました。証明まで実に360年もの歳月を要したのです。本作「フェルマーの最終定理」は、ワイルズがフェルマー予想を証明する歴史的講義に立ち合った、若き日本の数学者たちを巡る物語です。
(チラシより)

 フェルマーの最終定理が証明されるまでのエピソードについてはサイモン・シンの書いた本を読んでいますが、証明自体の内容はほとんど理解できませんでした。理解できる人は極めて少数でしょう。

 従ってこういうテーマで一般向けの作品は人間ドラマが中心になるものですが、驚いたことにユニークポイントはかなり数学を全面に押し出した戯曲で攻めてきました。もちろん人間ドラマも多分に含まれているのですが、後半は延々と数学の議論が続きます。

 何を言ってるか全然わかりませんが、数学者たちが嬉々として議論している姿を眺めているだけでなんとなく嬉しくなってくるから不思議です。実際に、優秀な数学者たちが360年もかけて戦った問題との決着がつく瞬間に立ち会うというのは、果たしてどんな気持ちだったのでしょうか。

 それにしても、この戯曲を書いた人もセリフを覚えて演じている人も、多分実際に理解できているとは思えないわけで、よくもまあ見事に書いて覚えて演じられるものだとつくづく関心しました。

2015/02/08-13:00
ユニークポイント「フェルマーの最終定理」
シアター711/当日清算2800円
脚本・演出:山田裕幸
出演:洪明花/北見直子/古市裕貴/ナギケイスケ/古澤光徳/平佐喜子/ヤストミフルタ
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2015年02月07日

エビス駅前バープロデュース「T OF N」

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 Mrs.fictionsの中嶋康太が脚本を書いて同団体が主催する企画「15 minutes made」で上演された作品を、mielの金崎敬江の演出によりエビス駅前バーで上演するというもの。もともと独立していた3作品をオムニバス的に繋いでおよそ1時間余りの作品となっています。

「東京へつれてって」
「天使なんかじゃないもんで」
「お父さんは若年性健忘症」

 このうち「東京へつれてって」と「お父さんは若年性健忘症」は15 minutes madeの際に観劇しましたが、「天使なんかじゃないもんで」は初見です。全体に、ダメなところが多いけど前向きに生きてる人たちがたくさん登場するハートフルストーリーです。

 金崎敬江が主催と演出を手がけるmielの舞台も何度か拝見していますが、白い衣装が好みの様で、今回も大部分が白かアイボリーの衣装で統一されていました。全体のイメージがそれで方向付けられて綺麗です。

 ただ、話の中では制服やスーツなど特定の服を着ているはずなのに白い衣装のまま言葉で説明されているところがあり、そこはやっぱり実際に衣装を着てほしいなと思いました。好みというかスタイルの問題なのでしょうが。

 3作を繋げたことによる効果的な演出として、登場人物が黙りこんでしまう(言葉が出てこない)場面で、別の作品の象徴的なセリフが挿入されるというものがあり、これは虚を突かれてゾクゾクしました。

2015/02/07-19:00
エビス駅前バープロデュース「T OF N」
エビス駅前バー/当日清算3000円
脚本:中嶋康太
演出:金崎敬江
出演:酒井香奈子/荻山博史/田中千佳子/永山盛平/斉藤麻衣子/大沼優記/萱怜子/赤澤涼太
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DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」

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「吾輩は、夏目家三代目の猫である。名前はやっぱり、ない。初代はともかく、二代目、三代目と名前をつけぬ。家人も誰も構ってくれない。放っといてもらう方が気が楽だから不満があるでもないのだが、一体全体、飼う気があるのか、甚だ疑問だ。
この間など、よしここは一つ愛玩動物らしいところを見せてやろうと、主人の膝の上で甘えてみた。すると「抜け毛が酷い、病気だろう。クロロホルムでも嗅がせて殺してやった方が苦しまなくて幸せだ」などと言う。全く人間ほど不人情なものはない。殺されるのも癪だから、せっせと食事し運動して病気を治した。すると今度は主人の方が体を壊して寝込んでしまった。どうやらそろそろ死ぬらしい。身勝手な奴である。
胃病だから食事を控えろと言うのに、人の目を盗んで布団を這い出て、戸棚からジャムを舐めたり、お見舞いの饅頭を盗み食いしたりと子供のようだ。そうして隠れて食っておいて、五分と経たず血と一緒に吐き出して、余計に体を弱らせている。ご夫人が心配してたしなめると、怒髪天を突く勢いで怒鳴り散らす。弱っているので怒鳴るだけだが、吾輩はよく知っている。昔はよく殴っていたものだ。ご夫人や、子供らを。
こんな奴でも死ぬとなると、先生、先生と言って人がぞろぞろ集まってくる。誰も彼も、この男の正体を知らぬらしい。日本を代表する国民的作家、漱石先生と呼ばれているが、何のことはないただの人だ。いいや、人より、さみしい人だ。誰よりもさみしい、一人ぼっちの。そこは吾輩が一番よく、知っている」──

知ってるようでよく知らない、夏目漱石の人となり。三十代半ばで文学者に転身し、孤独、軋轢、すれ違い、そして三角関係の恋を描き続け、どうにかこうにか「さみしさ」を生き抜いた心の奥底を猫と一緒に覗き込む、DULL-COLORED POPの最新作です。
(チラシより)

 全体にとても静かな舞台だ。効果音や音楽は最低限に抑えられ、眠くなる観客も一定数はいるだろう。集中してしっかり観るというより、雰囲気のいいバーの環境映像として大きなディスプレイで流しておくのに適したようなビジュアルだった。

 夏目漱石は膨大な作品を残しているが、本人の人物像はあまり知られていない。いや知っている人は知っているのだろうが一般にそれほど明確なイメージはない(逆の例が太宰治や三島由紀夫だろう)。本作品には起承転結といえる展開はなく、淡々と彼の人生が断片的に描かれていく。

 最初に漱石が死にかけている場面から始まるので、全体が彼の見ているいわゆる走馬灯のようなものだと思われる。描いているのは彼の人間性とか本性とかルーツとか、語られることなく浮き上がってくる。

 死の床から若い頃幼い頃へとさかのぼる順序に構成することで、意図的に物語性を排除して人物像を描くことに集中したのだろう。それはそれで奏功しているものの、最初は筋を追おうとしてしまったため、観る姿勢を定めるのに少々手間取った。

2015/02/07-14:00
DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」
座・高円寺1/事前振込4000円
脚本・演出:谷賢一
出演:東谷英人/塚越健一/中村梨那/堀奈津美/百花亜希/若林えり/大西玲子/木下祐子/西郷豊/榊原毅/佐藤誓/西村順子/前山剛久/山田宏平/渡邊りょう
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2015年01月31日

モダンスイマーズ「悲しみよ、消えないでくれ」

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妻を失った男が、妻の実家に居候。
分かち合おう、悲しみを。
癒し合おう、悲しみを 。
乗り越え合おう、悲しみを。
しかし妻の妹は男を見て思っていた。

「この男は違う。この男は、悲しんでいない」

そこは雪深い山荘 ―。
(チラシより)

 2年前に死んだ恋人の父親と妹と共に山荘で暮らす男。妹がふもとに引っ越す前の送別会を兼ねて、死んだ姉を偲ぶために集まったのは、かつての登山部仲間とボランティア夫婦。しかしゆっくりと様々な過去が顔を出し、きれいごとではない人の素顔がさらけ出されていく。

 ドロドロした人間関係を描いているようでいて、むしろ人の「弱さ」が主題だったのかもしれない。主人公は誠実な青年のように見えて、実はだらしなくみっともない男であることがどんどん暴かれていくのだが、悪人というわけではなくあくまでも「残念な男」なのだ。ある意味ひどい男だが、見苦しく許しを乞う姿は嫌悪感より憐れみを感じる。

 不倫している男女やそれを責める夫、登山家のプライドを捨てた自営業の夫婦、夢を語るばかりで何もできていない後輩など、他のキャラクターも皆一様に弱さを露呈してグチャグチャになっていく。唯一そうでない妹は冷静に彼らを見つめ、自分がこれから踏み出す生活への覚悟を決めているようだ。

 山荘を模した細長い舞台をコの字型の客先が囲む三面舞台。見づらいということはなかったが、側面からの観劇になったため一部表情が見えない場面もあった。あのシーンで、彼らはどんな顔をしてたんだろうか、気になった。

2015/01/31-15:00
モダンスイマーズ「悲しみよ、消えないでくれ」
東京芸術劇場シアターイースト/事前入金3000円
作・演出:蓬莱竜太
出演:古山憲太郎/津村知与支/小椋毅/西條義将/生越千晴/今藤洋子/伊東沙保/でんでん
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2015年01月25日

ナイスコンプレックス「鬼のぬけがら」

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昔々ある所で、ある少年が、ある物語に出会った。

人里離れたアラハマに住む青年は、「働かなくても贅沢をして暮らせるだけの銭や物が欲しい」と思っていた。仕事を放り出し、山へ逃げ込んだ青年は、ある晩、異様な光景を目撃する。
杉の大木にしがみついた青鬼の背中が割れ、脱皮を始め、見る見るうちに赤鬼になったのだ。
青年はその抜け殻を盗んで着込み、村で悪事を重ねる様になる。
ところが、いざ抜け殻を脱ごうとすると、どうしようにも脱げなくなり…。

甘えたくて甘えたんじゃない。好きでここに居る訳じゃない。
俺だって、わたしだって・・・。
誰だって楽がいい。でも9があるから10になる。
いつの間にか着てしまったこの鬼がらは、どうしたら脱げるんだろう?
いつまで悲しいの?いつまでも可哀想なの?どうしたらそうじゃなくなるの?

これは、いつの間にか着せられたレッテルを脱ぎ捨てる、そんな物語。
(チラシより)

 東北出身だが震災の時は東京で働いていた主人公の青年フリージャーナリストは、地元を取材して記事を書く。しかし被災地は故郷であるが自分は被災者ではなく、ずっと地元にいる人々との間には見えない壁がある。さらに、被災地に残る父母は周囲と問題を起こして疎まれているという状況だ。父の書いた童話を頼りに、そこにある真実と真意と、自分の拠り所を探っていく。

 東日本大震災の被災地における人間関係の暗い部分を取り上げており、4年近く経つ今だからこそ書けたのだと思う。天災とはいえ、生き残った人々の生きる努力は生臭いものであり、きれいな話ばかりではない。それを含めてもなお救われるものはあるということだろう。

 童話の世界と現実が交錯する様子が幻想的に仕上がっていた。対面客席のため演技スペースはかなり狭かったはずだが、狭さを感じさせない広がりのある舞台だった。

2015/01/25-17:30
ナイスコンプレックス「鬼のぬけがら」
OFF・OFFシアター/事前振込3500円
作・演出:キムラ真
出演:末原拓馬/森田陽祐/早野実紗/神田友博/大久保悠依/赤眞秀輝/荒賀弓絃/榎本舞/金谷優里/小林和也/中神芽依/根本沙織/濱仲太/深津紀暁/前田勝/キムラ真
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とくお組「光沢のある赤いスイッチ」

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その赤い存在(やつ)には、まだ誰も気づいていない。
渋谷のとある瀟洒なマンションで、たいして若くもないクリエイターたちがルームシェアをしている。

クリエイターといっても具体的に何かを生み出している様子はなく、そこにオシャレな生活以上のものはない。 集まったところで良い化学反応など起こらないし、かといって独りでいると何も前に進んでないような 不安にかられて気が狂ってしまいそうなので、とりあえずリビングの3Dプロジェクターで三国無双をやるというのが彼らの現実。 それでも、いつか自分の表現で世界を変えてやるんだという意気込みだけはまだ残っているようで。

そんな彼らの部屋の片隅には、今まで誰も気に留めなかった一つの赤いスイッチがある。 そいつと、その周囲を観察していくうちに、待てよ、これは世界を一瞬のうちに変えてしまう、 あの有名な、危ない感じのスイッチではないか、そう思えてきたのだった。
(チラシより)

 ウェブデザインとかアプリ開発とかを手がけるクリエイターとかプログラマー達が集まる職場兼住居。世界を変えるなどと大きなテーマを掲げても、やってることはホームページ開発の請負いやLINEスタンプ作成など、地味な仕事だ。

 ちょいちょい現れる先輩たちに気を使わなければならなかったりするのは普通の会社と何も変わらない。会社ができて十年くらいでも、もう「昔話をする先輩」は現れる。そして後輩はとりあえず先輩を持ち上げておかないといけない。むしろその様子が強調されすぎて、一歩間違えると宗教団体のような気持ち悪い集団になりそうな気配すらあった。

 そんなオフィスの柱についている「光沢のある赤いスイッチ」は、どうやら国際政治にすら影響を与えるとんでもないスイッチらしいのですが、はっきりとは語られません。あの先輩は奥の部屋で何をしていたんだろう。訪れた男は何者だったのだろう。もやもやした状態で幕を閉じます。

 それはともかく、IT系の職場ってやっぱりあんな感じなんでしょうか。あるいは作者のイメージだけなのか、ちょっと気になるところでした。

2015/01/25-12:00
とくお組「光沢のある赤いスイッチ」
ギャラリー・ルデコ/当日精算3500円
作:徳尾浩司
演出:篠崎友
出演:篠崎友/堀田尋史/鈴木理学/柴田洋佑/上田航平/豊永英憲/山中雄輔/加藤啓
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2015年01月24日

劇団あおきりみかん「身辺生理」

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 −僕、あることを確かめたくて、身辺「生」理してるんです。

峰岸は、30代の男だ。
峰岸は、身辺整理を始めた。
思い出の品を捨て、彼女とも別れ、
遺影用のすてきな写真を用意した。
日記も、書いた先から破り捨てている。
病気もなく、至って健康である彼は、
何故、こんなことをしているのか。
「人間は、生まれた時から死ぬために生きている」
そう言い残して死んでしまった、
親しい友人の面影を求めて。
(チラシより)

 あらすじだけ読むとなんだか暗いシリアスな話のようだが、あおきりみかんの作品でそんなわけがなく、ハートフルな物語だ。主人公とその友人に何があったのか、彼が何を思って身辺整理をしているのか。謎めいたエピソードがにぎやかにコミカルに語られ、少しずつ真相が明らかになっていく。

 持ち物を容赦なく捨てていく主人公の部屋が舞台になるが、片付け中で散らかった場面ときれいに整理された回想シーンの転換が秀逸だった。普通なら暗転して切り替えるところだが、ダンスを交えて巧みに片付け、そして散らしていく。あおきりみかんは昔からあまり暗転を使わなかったと思うが、こういうスタイルはもっと普及してもいいのではないかと思う。

2015/01/24-19:00
あおきりみかん「身辺生理」
シアターグリーン BOX in BOX THEATER/当日精算2800円
作・演出:鹿目由紀
出演:松井真人/山中崇敬/カズ祥/花村広大/篠原タイヨヲ/ギャバ/川本麻里那/近藤絵理/真崎鈴子
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鳥公園『空白の色はなにいろか?』

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光が射し込んで、明るい部屋が燃えます。拍手と笑顔の誕生日が灰になる。
祖先になるために生きるというマダガスカルの民族に会いたくて、決死の覚悟で部屋を出た。

もちろんまた帰るつもりでした。
帰ったらもう一生、温かい部屋で穏やかに過ごすつもりでいました。

しかし帰ると、部屋がない。
モノも家族も何もなく、ただ空白が広がって、親切な人が教えてくれた。

「あなたの部屋は蒸発したよ」
・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・
五月からつくり続けてきた「空白の色はなにいろか?」最終公演。
最近はすっかり「自然」に飽いてしまって、人の身体の使い方、声の出し方、喋り方、それらをいかに工作して遠くへ行けるかばかり考えています。
私たちが「自然」だと思っているもの、「人間」だと思っているものの、拡張、凝縮、増幅、さまざまな変形を探します。
(チラシより)

 上記のコピーでは内容がまったくわかりませんので補足。ある日突然失踪した夫を待つ妻のところへ、謎の女が訪ねてくる。夫の不倫相手かと疑うが、女はのらりくらりと意味深なことを繰り返すだけで、夫の居場所は明かさない。確かに夫は妻に黙って借りた部屋で女と過ごしていたが、愛人とかいう様子ではない。二つの部屋が交錯し、様々な時間が交錯し、失踪の真意は藪の中。

 60分程度の短編で出演者は3人だけで、上下に作られた舞台装置はなかなか工夫されている。照明もうまく作られていて、しっかりと世界を構築していた。

 しかしとにかく肩がこる芝居だった。座席に背もたれがなかったせいかもしれないが、観ている間ずっと全身にひどい疲労感があり、終演後は首やら肩やら関節がバキバキ鳴りまくるはめに。内容は決してきらいではないのだが、体に合わなかったのかもしれない。せめて背もたれのある椅子だったらよかったのに。

2015/01/24-14:00
鳥公園「空白の色はなにいろか?」
STスポット/当日精算2800円
作・演出:西尾佳織
出演:浅井浩介/武井翔子/西山真来
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2015年01月17日

水素74%「こわれゆく部屋」

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社会に順応していくことを成長と見ることもできるし、麻痺だと見ることもできると思います。
おかしいとか許せないとか思っていたことに目をつぶり、仕方ないと飲み込むのが大人。
あるカップルが同棲する部屋が舞台です。
彼女は彼の純粋なところが好きだと思っていたが、生活の中で純粋さは幼稚さに見えてくる。
彼には、社会の中で成長していく彼女が麻痺していくように見えてくる。
ふたりの関係が崩壊していくまでを描きます。
(チラシより)

 早くに両親を亡くした姉妹。妹は16歳で家出して10年帰ってこなかった。その妹が彼氏を連れて帰ってくると、姉は近所の頼りない男と同棲していた‥‥というシチュエーションから始まり、静かだが重い数日間。

 妹が家出した理由は何だったのか。妹の彼氏という男は本当に彼氏なのか。姉とその同棲相手はうまくいってるのか。いろんなことが結局はっきりしないまま、淡々と物語は進む。そしてラストシーンの姉妹の会話に全てのエピソードが集約される。妹のあの一言の意味を示すためににここまで語られてきたのだと、納得させられるのだ。

 物語の描き方はとても秀逸だと思った。平田オリザ的なスタイルかもしれないが同時発声などはなく、沈黙を効果的に使った演出は染み入ってくる。登場人物各人が抱える背景と葛藤が少しずつ示されていくが、本当に大事なことは語られず、観る者の察しに委ねられる。

 派手さは無いが的確な演技の役者陣も良い。多くの作品が語りすぎる中で、こういう描き方はとても好ましく思う。

2015/01/17-19:00
水素74%「こわれゆく部屋」
こまばアゴラ劇場/当日精算2500円
脚本・演出:田川啓介
出演:兵藤公美/柳沢茂樹/工藤洋崇/富田真喜/木下崇祥
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ヨーロッパ企画「カレの居ぬ間にビッグフット!」

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森とインターネットのステキな関係──
(チラシより)

 南米のジャングルでビッグフットを探す探検隊の一行。沼や断崖を越えてきたのに実は携帯が通じることがわかり、これで連絡も取れるから安心と思いきや、急にSNSが気になり始めてしまう…

 デート中の携帯いじりとかSNS中毒など、ネット上のコミュニケーションを目の前にいる相手より優先してしまう人がいる問題は、スマホが主流になってますますひどくなっているだろう。歩きスマホの危険性は社会問題にすらなりつつある。

 都会の病理と考えがちなことだが、あえてジャングルを舞台にすることでより一層その滑稽さが際立つ。この辺のコントラストはイエティのパターンなのかもしれないが、今回も上手に構成されていた。

 笑いながら見ていたが、実際自分もこれに近いことをやらかしているので、苦笑にならざるを得ない。ネットの使い方を少し見直そうかな…などという文章を今、下北沢の喫茶店にてiPadで書いている。簡単な感想はTwitterにも書いたし、帰宅したらブログにアップするんだ。やれやれ…

2015/01/17-13:00
ヨーロッパ企画「カレの居ぬ間にビッグフット!」
駅前劇場/事前入金3000円
作・演出:大歳倫弘
出演:石田剛太/酒井善史/角田貴志/池浦さだ夢/満腹満/望月綾乃
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2015年01月12日

趣向「奇跡の年 ANNUS MIRABILIS」

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わたしは、時間が止まった未来からきました。
世界の言葉を翻訳するあなたに、
お願いがあってここにきました。
「わたしたちの時間を、どうか、動かして。」
翻訳をする男とその編集者、未来からきたという女、
複数の物語によるモザイク模様の一年の話
(チラシより)

 内容は上記のコピーで語り尽くされている。重なりあう物語は翻訳家が書いている内容だろうか。少女を監禁する男(『コレクター』みたいな)。ギリシャから来たと言いはる少年たちと、ブタ(こいけけいこにブタをやらせるとはいい度胸だ)。春夏秋冬の人形(人形であることは後でパンフ見て知りましたが)。

 「奇跡」という言葉は非常に良いことがあったという意味かと思ったら、逆でした。チラシの解説によると、奇跡の年とは1666年のロンドンをさす言葉とのこと。ペストの流行、第二次英蘭戦争による大きな海戦、そしてロンドン市内のおよそ五分の四を焼く大火災があったという。ただしこの作品が1666年を舞台にしているわけではありません。舞台は現代。そこに未来から来た女。

 現実の社会を映すようなセリフもしばしば織り込まれ、その度ドキリとさせられる。出てくるエピソードは総じて嫌なことばかりだけど、なぜか悲観的ではありません。未来から来た女も悲壮な様子ではなく、困ってるんだけど何とかならへん?みたいな雰囲気。

 作者が何を語ろうとしたか多分完全には理解できていないのだろうけれど、ステキな諦めとそれなりの希望が感じられました。

2015/01/12-14:00
趣向「奇跡の年 ANNUS MIRABILIS」
神奈川芸術劇場大スタジオ/当日精算2800円
脚本:オノマリコ
演出:扇田拓也
出演:井内勇希/池田朋子/大川翔子/こいけけいこ/桑原史香/斉藤まりえ/笹野鈴々音/芝博文/関森絵美/扇田森也/吉田能/和田華子/和田真季乃
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2015年01月11日

劇団ウミダ「だいなし」

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 「本日昔噺」と二演目を同時上演ですが、私が観たのは「だいなし」のみ。

 “公演直前になっても脚本ができていない”という劇作家の悪夢みたいな状況と、それでどうやって公演をしのいだかという話。どこまでリアルでどこからネタなのか判然としませんが、わりとリアルだったんじゃないかと感じました。

2015/01/11-15:30
劇団ウミダ「だいなし」
王子小劇場/支援会員
脚本・演出:海田眞佑
出演:前園あかり/津和野諒/もなみのりこ/菅山望/木原実優/横井達也/山ア丸光/濱津隆之/前田友里子/平岡美保/海田眞佑
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2015年01月10日

危婦人「毒花─DOKKA─」

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さあ咲かせましょう、あなたの毒の花を……。
「僕たち家族を助けてほしい」
ルポライターの浅宮恭介の元に、SNSを通じて突然メッセージが届く。
もう10年も会っていない大学時代の友人からだった。
意味深なメッセージ。気になった浅宮は友人の元を訪ねた……。
日本海に面した古びた街、
色ノ気町(いろのけまち)で代々続く老舗ホテル
「波々伯部館(ほほかべかん)」で起きる連続殺人。
【ホホカベノ ドッカミソカニ マンカイス】
怪しい犯行声明文に、おののく人々。
果たして犯人は、誰!?
危婦人2015年新作公演は、大胆奇抜なミステリー!!
(チラシより)

 ミステリーだがコメディタッチでサスペンスドラマ的な展開なので、観客が謎解きを楽しむようなスタイルではない。定番の効果音やステレオタイプな登場人物が多く、それが心地よい安心感につながっていたと思う。個別にはロリータ男爵の丹野晶子が演じるおばあさんが実に良かった。

 座席が二種類、舞台かぶりつきの毒席と通常の花席があり、自分は花席だったが駅前劇場は割りと客席が舞台から遠くなるので、毒席の方が良かったと思う。

2015/01/10-19:00
危婦人「毒花ーDOKKA-」
駅前劇場/当日精算3900円
脚本・演出:スギタクミ
出演:小野真弓/山ア雅志/ウチクリ内倉/那珂村たかこ/丹野晶子/田中淳之/長尾純子/森田桂介/椎名歩美/斎藤このむ/おくむらたかし/江幡朋子/杉水流由真/田端玲実/農塚誓志
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南河内万歳一座「ジャングル」

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 得体の知れない生き物がうごめくジャングルの中にある小さな小屋。サプライズ登場する予定の花嫁とその家族と司会者、不動産屋を探す女優志望の娘、カニを食べに行きたい家族、ジョギング中の娘、修学旅行生とガイド、実演販売スタッフ、タクシー運転手、などが入れ代わり立ち代わり現れるが、この場所の正体は一向につかめない。花婿はどこにいるのか、本当にいるのか?

 どこにもあらすじらしきものが書いてないので事前情報ゼロの状態で観に行きましたが、だいたい上記のような話。結局真相解明的なものは何もなく、いわゆるナンセンス不条理系のお話でした。

 南河内万歳一座は以前「ラブレター」という作品を観ていますが、たしかこれもちょっとファンタジー気味な世界観のドタバタ劇でした。劇団名やチラシデザインからするともっと下町人情風な作品をイメージしますが、そうでもないようです。

 物語は正直意味不明ですが、要所要所の勢いはとても熱く、楽しめる作品となっていました。

2015/01/10-15:00
南河内万歳一座「ジャングル」
ザ・スズナリ/当日精算3500円
作・演出:内藤裕敬
出演:河野洋一郎/鴨鈴女/ 藤田辰也/荒谷清水/三浦隆志 /木村基秀/福重友 /皆川あゆみ/鈴村貴彦/松浦絵里/谷奥弘貢/内藤裕敬/小池裕之/吉井希/和田亞弓/ことえ/駒野侃/村上陸/本木香吏
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2014年12月21日

ガレキの太鼓「止まらずの国」

tomarazunokuni.jpg

地球のどこかで会いましょう。

持ち物はこの背に背負ったバックだけ。
大事なものを詰め込んで、パンパンなこいつを引き連れて。
こんなとこまで来てしまった。
バザールが立ち並び、街中には水パイプの香り。
つい昨日まで、成田でコーヒーを飲んでたハズなのに。
笑顔で寄ってくるヒゲ面のおじさんたち。
「We are friend!」
そんな言葉を叫んだ自分の素直さに笑えてくる。
ここは、地球の裏。まーるい地球のうらっかわ。
世界一周の旅の取材を元に放った、渾身の作。
初演から8年。
エネルギーに満ち溢れたこの作品に、新たな命を吹き込む。
異国の風吹き荒れる宿の、一夜の物語。
幸せ手に入れた大人たちの、今日という日。
あの頃の自分よ、悔しかったらここまでおいで。
ここは、どこだ。飛行機は、どこへ飛んでいく。
(チラシより)

 どこの国かわからないが中東っぽい場所にある、日本人向けの安宿が舞台。旅慣れた人もいればまだぎこちない人もいる。すぐ水になってしまうシャワーに悩まされながら、反対から来た旅人と情報交換したり、去る人の送別会を企画したりなど楽しく過ごしている。そこに銃声が響いて…

 現地の人々との陽気な会話から危ない目に遭う話、さらにジワジワと緊迫していく様子を手に汗握りながら堪能しました。ラストはどうも唐突すぎて飲み込みづらい気がしましたが、結論を求める作品ではないのであれで良いのでしょう。

 私自身は一回しか海外に行ったことがなく、しかも仕事だったのでこういうドキドキするような経験は皆無だ。行ってみたいという憧れと、あんな目に遭いたくないという恐れが両方。でもたぶん遠くない将来に海外赴任することになると思うので、嫌でも経験することになるんだろうけど。そんなことを考えながら観ていました。

2014/12/21-13:00
ガレキの太鼓「止まらずの国」
こまばアゴラ劇場/当日精算3000円
作・演出:舘そらみ
出演:海老根理/家田三成/木山廉彬/酒巻誉洋/龍野りな/千田美智子/藤松祥子/結城洋平/山本陽子/今井慶
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2014年12月20日

犬と串「うぶ」

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走れ、世界と逆の方!!

私は私。あなたはあなた。
いらない。理解も友情も、愛情も。
全部いらないの。
凍える冬なら、無意味の炎で溶かせばいい。
犬と串13回目の本公演は、壮絶なロリータの狂い咲き。
(チラシより)

 ゴスロリファッションに身を包み、学校では友達もなく孤高を気取る女子高生。同じく孤独な男子に気遣われてもいにかいさない。しかしひょんなことから死んでしまい、閻魔大王に改心を約束して戻ってくる。

 こんな風にあらすじを書くと普通だが、やはり犬と串なので相当にエログロナンセンスだ。同級生たちは意味不明なギャグで盛り上がり、主人公の兄は子供達に紙芝居で下ネタを教えまくり、妄想に登場する耽美な恋人はハッピーターンを撒く。裏での早着替えの苦労がしのばれる、学芸会チックなごちゃごちゃ感も強い。。

 ただ、犬と串と言えば何かやらかしそうでハラハラしながら観ていたのに、今回はむしろ綺麗にまとまっていた感じです。何作か前までは強い主張と挑戦が感じられたのに前回も割と「いい話」だったので、モラルさんが今後どういう路線を目指すことにしたのか興味深いところです。

2014/12/20-19:00
犬と串「うぶ」
駅前劇場/当日清算3000円
作・演出:モラル
出演:満間昂平/鈴木アメリ/藤尾姦太郎/堀雄貴/萩原達郎/板倉武志/石澤希代子/竜史/綾乃彩/日比野線/山田勇亮/藤本紗也香/帯金ゆかり
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IQ5000「ジャングル 〜柔和なジャングルの猛者〜」

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車より速く走れ、ドガラ!
飛行機を捕まえろ、ドガラ!
機関銃を黙らせろ、ドガラ!
泣く子を黙らせろ、ドガラ!
世界の嘘を駆逐しろ、ドガラ!
そして、柔和な者が土地を手に入れるまで
走り続けろ、ドガラ!
(チラシより)

 南米の資源利権を巡って先進国のエージェントが争う中、日本の雑誌記者が訳も分からず巻き込まれててんやわんや。架空の話ではありながらリアルな風刺を交え、考えさせられる内容。

 ある意味ステレオタイプなんだけど、それゆえに安心感のある仕上がり。パワーマイムな芝居は久しぶりですが、客席まで含めて暖かい空気を確実に作り出す手際は見事です。

 しかし扱っているテーマからするとやや単調にも思える。展開はそこそこ派手ですが内容的に。現実はそう単純ではないわけで、芝居としてももう一捻り欲しいところ。

 あまり本質ではありませんがサル族の動きが焼き付いて脳裏から離れない。

2014/12/20-15:00
IQ5000「ジャングル 〜柔和なジャングルの猛者〜」
シアターグリーンBOX in BOX THEATER/当日清算3500円
脚本・演出:腹筋善之介
出演:朝田博之/石谷力/五十嵐聡子/大友美香子/久保田寛子/坂本泰久/佐治彩子/ドン・タクヤ/巴里マリエ/べっち。/渡部愛/奥田美樹/キタタカシ/中西浩/腹筋善之介 他
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2014年12月14日

万能グローブ ガラパゴスダイナモス「ボスがイエスマン」

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 横暴な社長が取り仕切る芸能プロダクションを飛び出して独立することにしたタレント達が、半地下の元倉庫を借りて事務所にする。そのスタート祝いに集まった彼らだったが、独立に加わらないはずの売れっ子タレントがひょっこり顔を出して、仲の悪い女同士でギスギスした雰囲気に。さらにその日初めて加わるちょっと場違いなサラリーマンや、ワル気取りのミュージシャンなど個性的な面々がカオスな展開を繰り広げる。ところがあるきっかけで入口のドアノブが取れてしまい、外に出られなくなる…

 福岡からはるばる東京公演に来た劇団。笑いあり泣き?ありの王道的な展開で、奇をてらったところは全くなく、安心して人に勧められるタイプの劇団だと思います。

 終演後には生コメンタリーと称して、主催の川口さんとゴジゲンの松井さんがコメントしながら役者が芝居の一場面を演じるというイベントがあり、これが本編にも増して面白かった。本編より面白かったと言ったら怒られるだろうか。

2014/12/14-14:00
万能グローブガラパゴスダイナモス「ボスがイエスマン」
王子小劇場/支援会員
脚本・演出:川口大樹
出演:阿部周平/椎木樹人/松野尾亮/横山祐香里/石橋整/田崎小春/早樋寛貴/針長亜沙美
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2014年12月13日

ミナモザ「みえない雲」

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何も知らなかったとはもう言えない

遠くの国で事故が起きたとき、「私」はまだ小学生だった。
それからまもなく図書館で出会った一冊の本『みえない雲』。
そこに描かれていたのは、ひとりの少女がたどった道。
今、現実をもとに描かれた物語は、再び現実に追いついた──。
(チラシより)

 ミナモザは2011年に「ホットパーティクル」で原発事故を扱ったが、これは事件直後のパニック状態にも似た作者の想いを舞台に叩きつけるような作品だった。その後3年あまりを経て、じっくりと煮詰められた形で完成させたのが本作と言えるだろう。

 ドイツの作家が書いた同名の小説を舞台化しているわけだが、そのメタ物語として「私」が登場する二重構造になっている。「私」がドイツまで行って小説の作者に会うくだりが全部実話とすると、ここは芝居というよりドキュメンタリーに近い。「ホットパーティクル」ではほぼ全体がそういう構成だったが、その手法を今回も使ったのは、瀬戸山美咲自身の想いを叫ばずにいられなかったからだろうか。

 「みえない雲」の主役を演じた上白石萌音がなんともすごい存在感だと感じたが、調べてみたらそれなりにすごい経歴の持ち主のようで納得しました。

2014/12/13-18:00
ミナモザ「みえない雲」
シアタートラム/当日精算4200円
原作:グードルン・パウゼヴァング
訳:高田ゆみ子
上演台本・演出:瀬戸山美咲
出演:上白石萌音/陽月華/塩顕治/中田顕史郎/大原研二/浅倉洋介/橘花梨/石田迪子 /つついきえ/佐藤真子/間瀬英正/大森美紀子
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