2004年05月31日

劇団ジャブジャブサーキット「動物ダウトver.04」

劇団ジャブジャブサーキット
「動物ダウトver.04」
港文化小劇場
04/05/27-29
作・演出:はせひろいち
出演:かとう雅敏/咲田とばこ/荘加真美/高木美千代/千頭麻衣/栗木己義/小山広明/岩木淳子/中杉真弓/土居辰男/永見一美/岡浩之


 さびれた元動物園が政府機関から秘密の依頼を受けた。それは研究過程で生まれてしまった危険な生物を、しばらく預かってほしいというものだった。しかしその生物を狙う何者かが刺客を差し向け、事件が起こる。犯人は誰?

 技術的には決して悪くないと思う。演技も演出も充分な出来だ。けれど心に響いてこなかった。物語も、解ったような解らないような消化不良の印象。原因はよくわからないが、様々なテーマが互いにあまり絡まず並立して焦点が定まっていないからではないかと思う。


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2004年05月23日

Moon Light Theater「風の志士」

Moon Light Theater
「風の志士」
ひまわりホール
04/05/22-23
作:柊アキラ
演出:野畑幸治
出演:矢野せい子/黒部聡/安藤元保/細江洋志/古井慎也/山本綾佳/小山愛/しなこ/鈴木梨花/杉浦紀行/斎藤明広/じゅん/柊アキラ/石田和也/野畑幸治


 時代が動く、幕末の世。口のきけない娘を育てる元女郎のお蘭と、彼女の働く居酒屋の常連達。ひょんなことから坂本竜馬と縁を持った名も無き彼らが、新撰組に捕らわれた竜馬を助けるべく一計を案じ、命を賭けることになる。

 必ずしも新撰組と坂本竜馬である必要はない物語だが、歴史上の有名人は背景説明が不要というメリットはある。ならばその分、松や仙十の経歴をもっと詳しく描いても良かったのではないか。また、人間関係を複雑に絡めるのは物語構成上重要だが、小梅の一目惚れ相手が沖田というのはちょっとご都合主義が過ぎる気がする。

 松役の黒部聡と、坂本竜馬役の杉浦紀行の演技が良かった。
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総合劇集団俳優館「あの大鴉、さえも」

総合劇集団俳優館
「あの大鴉、さえも」
俳優館アトリエ
04/05/14-16,21-23
作:竹内銃一郎
演出:右来左往
出演:稲吉直人/光永聖/森川倫行


 山田さんの家まで大きなガラスを届ける3人の作業員。しかし肝心の山田さんの家が見つからない。あったのは三条さんの家。山田さんの家はどこ? 三条さんとは?

 登場人物は三人のみ、シンプルな舞台装置。不条理な展開。どうも私はこういうのが好みらしい。大きなガラスの存在を示すパントマイムは、完璧ではないが充分な出来。後半、門に向かって延々と投げ掛けるセリフの嵐は見事だった。

 聞くところによると古典的な戯曲らしいが、単純な話だけに役者や演出の技量が問われる作品だと思う。
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2004年05月22日

伊沢勉の会「海が見たい」

伊沢勉の会
「海が見たい」
愛知県芸術劇場小ホール
04/05/20-23
作:伊沢勉
演出:竹下喜六
出演:石河美幸/小林正和/木村庄之助/田辺文美/長縄都至子/ジル豆田/栗林栗子/鬼頭卓巳/黒田裕之/中田裕子/エレガント浜田/金良華/スズキナコ/伊沢勉/国井美佐/小島志帆/横山一明/黒田奏


 入院患者や医者や看護婦が行き交う、ある病院の庭。妻にまかせた店が心配なラーメン屋店主、入院を長引かせようとする男、金を無心する男、女子高生の娘が心配な男、不倫する看護婦‥‥。それぞれに多々問題を抱えながら懸命に生きている姿を描く。

 伊沢勉の作品を観たのは初めて。現実から離れすぎない範囲で構成されたドラマなので違和感は少ないものの、相互に無関係な多数のテーマを盛り込み過ぎと感じた。その結果、登場人物が多すぎて焦点がぼけ、感情移入しづらかった。個々の役者はいかにも演技派な雰囲気を示しているのだが、結局何を見れば良いのかわからないままだった。
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2004年05月18日

劇団帰空管「DIE’S」

劇団帰空管
「DIE’S」
北文化小劇場
04/05/14-16
作・演出:瀬口かしす
出演:夏風雅/鎌田真紀/花丸幸太/草野.com/高野亮/六条幸丸/井通302/ありさ/葉月充/花村広大/佐東えり/山口鉄也/瀬口かしす


 ギャンブラーの一門・源氏と、ペテン師の一門・平家。両者が激しく覇権を争う時代。平家のイカサマに敗れて奴隷に身を落とした牛若丸だったが、打倒平家の勅命の元、運命を切り拓く。

 7年にわたって活動してきた劇団帰空管の最終公演。その千秋楽を観た。集大成と呼ぶにふさわしい、舞台の面白さが濃縮されたような作品だった。北文化小劇場を埋める満員の観客が一体になって笑った。いつもの帰空管にみられたクライマックスの引っ張りすぎ感もなく、ほどよく2時間弱で終わった・・・と思ったら2時間半ほど経っていた。

 脂が乗って、むしろこれからとも思える劇団が解散するのはとても惜しい。ただ、ずっと瀬口氏が一人で作・演出を務めてきた劇団でもあり、そろそろ休養が必要ということだろう。いくらかの充電期間を経て復活してくれれば嬉しい。

 先日ある所で別の劇団の主宰の方と話をする機会があったが、“高い目標のある劇団ほど解散する”という趣旨のことを言われた。漫然と続けるだけなら続けられるが、志があればこそ限界も意識できるということか。

 各メンバーが、これからも随所で活躍されることを期待します。
 お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
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ヨーロッパ企画「ムーミン」

ヨーロッパ企画
「ムーミン」
愛知県芸術劇場小ホール
04/05/14-16
作・演出:上田誠
出演:石田剛太/酒井善史/諏訪雅/瀬戸中基良/中川晴樹/永野宗典/本多力


 森の中。居心地の良い場所を見つけた彼らはしばらくそこで暮らすことにした。美味しい食べ物はあるし、冒険するにも事欠かない。キャンプのようなサバイバルのような、スリルと平穏の入り混じった日常が続く。

 と、無理矢理あらすじをまとめたものの、あまり意味のある筋はない。劇団HPに書かれた解説によれば「暮らしぶりそのものがまぬけで面白い芝居がいいなと思って」とのことで、確かに大きなイベントはないが楽しげな暮らしが描かれていた。

 コント調のネタや登場人物の個性的なキャラなどを見ると、脚本はうまいと思う。森の舞台装置も力作だ。途中から少しずつ明らかになる意外な時代背景もスパイスとして効いている。ただ、ひとつの作品としての完成度という点では疑問を感じる。正直、空気が穏やか過ぎて途中で寝そうになった。
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2004年05月16日

劇団クセックACT「ドン・ペルリンプリンの恋」

劇団クセックACT
「ドン・ペルリンプリンの恋」
愛知県芸術劇場小ホール
04/04/30-05/04
原作:フェデリコ・ガルシア・ロルカ、バリェ・インクラン
脚色:田尻陽一
演出:神宮寺啓
出演:榊原忠美/可児良友/山田吉輝/水谷友子/平井智子/清水絵里子/喜多千秋/火田詮子


 50まで結婚しなかったドン・ベルリンプリンが、若い娘ベリサと結婚する。ベリサは決して貞淑ではないが、その心を掴むべくペルリンプリンは倒錯的に愛を注ぐ。 ‥‥でいいのかな? あらすじは。

  アングラというのか、こういう芝居を見た経験がほとんどないので評価しづらい。もっとメリハリがあると良いのだが、ずっとその調子なので途中で眠くなった。後ろの席にいた子供2人が観劇後、「つまんなかったー」「面白かった、意味わからなったけど」と言っていた。確かに。はまれば面白いのだろう。
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芝居空間獏工房「朽発蝶」

−芝居空間−獏工房
「朽発蝶」
七ツ寺共同スタジオ
04/05/01-02
作・演出:足立盟
出演:西尾知里/今枝千恵子/小川麻美/佐東えり/清水やすひろ/山口鉄也/おおたけりな/西泉/南雲栄作/足立盟


 男が次々と謎の自殺をしていく。やがて人口バランスさえ狂いはじめ、一夫多妻も認められるようになる。その影にはある宗教団体の謀略があった。

 国を動かすほどの組織にしては不安定な印象で、話のスケールを大きくしすぎて説得力を失った気がする。風呂敷を広げすぎない方が良いのでは。個人的な好みとしては鏡子(今枝千恵子)と小鞠(西泉)のコンビが良かった。
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そらかん「B面ヤクザ式」

そらかん
「B面ヤクザ式」
北文化小劇場
04/04/24-25
原作:阿修羅男爵
脚本・演出:柴田潤一郎
出演:名取有史/じゅん/大塚峰春/中林俊介/原口昭教/菊正宗/へば/HURRY YUKI/加藤智子/宮崎陽子/カブトコウジ/林美和/あきお


 抗争していた組と手打ちを果たして解散することに決めた、あるヤクザ。ところが相手の組長が何物かに殺され、自分達にその疑いがかかったことで事態は急転する。

 若手役者が多いが、迫力満点でヤクザの世界が表現されていた。責任の重さに苦悩する組長や幹部、突っ走ろうとするチンピラ。もちろん実際のヤクザを知らないのであくまでもイメージにすぎないものの、ドキドキさせられた。そしてラストシーンでは実に暖かい気持ちになれた。
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『海辺の情景』上演プロジェクト「海辺の情景」

『海辺の情景』上演プロジェクト
「海辺の情景」
七ツ寺共同スタジオ
04/04/23-25
作:中村匡秀
演出:コヤマアキヒロ
出演:小熊ヒデジ/三浦周二朗/松田泰基/川瀬浩二/美月ノン/河野真理子/長江ヒロミ/小山広明/大竹章/川村晃一


 さびれた映画館にふらりと立ち寄った男が一人。突然、近未来から来たという奇妙な男女に取り囲まれる。彼らは、そこに映った海辺には特別な力があるという、不思議な映画を撮影した老人を探しているという。関わり合いになりたくなかった男だが、いつしか彼らのペースに巻き込まれていく。

 私が観に行ったのは平日にも関わらず、満席で立ち見まで出ていた。内容は幻想的だが、冷静に考えると陳腐な内容だ。演技や演出がまずければ退屈になってしまっただろう。役者の力量が高いと感じた。個人的な好みだが美月ノンさんが良い。
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うわの空・藤志郎一座「水の中のホームベース」

うわの空・藤志郎一座
「水の中のホームベース」
七ツ寺共同スタジオ
04/04/17-18
作・演出:村木藤志郎
出演:高橋奈緒美/キクチマコト/尾針恵/宮垣雄樹/水科孝之/小口泰司/村木藤志郎/谷口有/小栗由加/小林三十朗/あおきけいこ/佐川真勝/宇賀神明広/島優子


 とある小さな居酒屋に、かつて中学で一緒に野球部だった面々が集まる。はじめはお互いの顔もわからない程だったが、次第に思い出して懐かしい話が盛り上がる。しかし、みんなを呼んだ主将だけがなかなか来ない。やがて一人の女性客が語りだす。

 いつもたっぷり泣き笑いさせてくれるうわの空。今回は前回や前々回に比べると若干パワーダウンしたような気がするが、それでも充分に笑えたし、泣けた。東京からはるばる公演に来るため若干高め(三千円前後)だが、それだけの価値はある。
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2004年04月18日

試験管ベビー「僕じゃない!! 〜試験管ベビー版新撰組外伝」

試験管ベビー
「僕じゃない!! 〜試験管ベビー版新撰組外伝」
千種文化小劇場
04/04/17-18
作・演出:かこまさつぐ
出演:小林タロウ/池山正樹/則竹洋一郎/浅井拡敬/千賀好通/河瀬洋行/樋口友幸/西口貴之/高瀬英竹/かこまさつぐ/五坊良美/加藤奈々/前田恵子/吉森治


 新撰組副長土方歳三が、傷んだ刀の修復を和泉守藤原兼定に依頼する。だがそこには土方を夫の仇と狙う明里がおり、土方の刀を兼定から奪って叩き折ってしまう。焦った兼定はなんとかくっつけて納めるのだが‥‥。

 風林火山2003ではアートピアホールほぼ満席の観客を爆笑させた試験管ベビーが、ステージをホームグラウンドだったスタジオ・座・ウィークエンドから千種文化小劇場に移した。開場前から建物の外に大勢のファンが集まる様子は、試験管ベビーのステージが“芝居小屋”から“劇場”へ確実にステップアップしていることをうかがわせる。

 内容は、面白かった。面白かった作品についてあれこれ語るのは野暮でしかないので語らないが、満足のいく作品だった。

 ただし難点もある。恒例の客席参加がなく、次回予告の映像も見られなかった。オープニング映像が小さくて細かい部分がよく見えないとか、円形舞台を使いこなせていないなど、このサイズのステージにまだ慣れていないためと考えられる問題が残っている。しかしこれらは経験を重ねていくことで改善されるだろう。難点というより改善の余地ということで、今後に期待。

 少なくとも試験管ベビーはもう、客席数100以下のスタジオを会場とすることが許されない存在になりつつあると思う。苦労も多いだろうが、がんばってほしい。
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2004年04月07日

NGKプロデュース「彼女の愛した百鬼夜行」

NGKプロデュース
「彼女の愛した百鬼夜行」
愛知県芸術劇場小ホール
04/04/02-04
作・演出:竹内佑
出演:酒井アンナ/河村梓/市川幸代/浦麗/ギャリソン外城田/井上純徳/渡邊有紀/山下有美/山川美咲/相良真/横田亜矢子/杉本たみ子/村里春奈/堀江勇気/須川渡/石井雄介/中西洋介/川村晃一/杉本雪子/小山裕紀恵/古澤健二/木内貴大/加藤恵代/伊達朋香/来々舞子/竹渓潤


 アリスと百鬼の双子は、03地区と06地区に挟まれて戦争状態にある052地区で生まれた。2人は生まれる時に呪いを掛けられ、アリスは幸運を呼ぶが急速に歳をとり、百鬼は不幸を呼ぶが歳をとらない。百鬼は捨てられた先で出会ったフーガという娘の不思議な力で体を手に入れるが、不幸を招く力を武器にできると考えた兵士達に追われる。

 前回のNGKプロデュース公演(仔犬、大怪我)に比べるとかなり良くなったと思うが、それでも不満が残った。つまらなかったということではなく、もっと良いものができたはずだという不満だ。

 本筋の物語はよくできていたと思う。同じ作家による前作では、伏線を張るだけ張って放り出したような感があったのだが、今回はちゃんと収束していた。笑い所では充分に笑えた。また、前作の感想で私は「もしこの人数で一糸乱れぬ群舞でも見せてくれれば圧巻だったろう」と書いたのだが、今回はまさしくそれが実現していた。前作を上回る数の役者が一堂に会して歌い踊る様子はまさに圧巻だった。

 しかしながら、学園祭的な悪ふざけの部分(演劇というより舞台イベント的な演出)が少なからず含まれていたことで魅力が半減した。それが好きだと言う人がいるかもしれないが、それは出演者の身内だけではないか。ゲストトークにしても、そのゲストを知らない観客には付いて行けない。緊張の続く作品なら息抜き的にそういう部分を混ぜても良いが、この作品は基本的にナンセンスギャグなのだから、あえて弛緩させる必要はなかったと思う。

 人が毎年入れ替わる学生演劇においては、年々進歩するというのは難しいかもしれない。しかし去年に比べて今年の方が良くなったからには、きっと来年はもっと良いものを見せてもらえると期待する。
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2004年03月28日

総合劇集団俳優館「PEACH WARS」

総合劇集団俳優館
「PEACH WARS」
愛知県芸術劇場小ホール
04/03/18-21
作・演出:児玉俊介
出演:後藤好子/稲吉直人/木村好江/中田裕子/三日市弓子/宮地友子/森裕紀子/杉野実奈/榎本朋代/衣川志保子/工藤真/桑原博之/田中さおり/光永聖/森川倫行/山口大輔/石川巧/古賀公洋/佐野潤/高橋幸誠/つく音/永坂寛澄/福島太一/山田雅司/岩田和丈/坪井文孝/ティナ棚橋/久川徳明/松浦大/児玉俊介


 かつて桃太郎に制圧されて武器を捨てた鬼ヶ島。そこに突然やって来た三代目桃太郎は、島を帝国の属領にすると言う。その真意は島に湧く「濁り水」だった。戦うか従うか、鬼達は真っ二つに分かれてしまう。

 今回と同じ児玉俊介が作・演出を手がけたロードブラザイーズの「アーリオ・オーリオ」の印象が良かったので観に行ったものの、全く異なる作風。昔話になぞらえてはいるが、イラク戦争や北朝鮮の拉致問題などを元ネタとして民主主義の大切さを説くという作品だった。

 小中学校での巡回公演ならそれも良いが、大人が普通の劇場で見る芝居としてはやや興醒めする。とは言え客層も親子連れが中心だったので、そういうスタンスで作っていると思われる。それを差し引けば、チャンバラの勢いや展開のテンポなどは良かった。

 ところで、残念ながら出演者の身内らしい親子連れがフラッシュをたいて写真を撮っていた。学芸会じゃないんだから、民主主義よりまず公共マナーを教育してもらいたいものだ。それが重大なマナー違反であることを親も理解していないのかもしれないが、身内客なら教えておいてほしかった。
posted by #10 at 13:37| Comment(1) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

どくうかん「メサイア」

どくうかん(劇団帰空管+独房女子更衣室
「メサイア」
北文化小劇場
04/03/12-14
作:本山桜
演出:瀬口かしす
出演:ありさ/高野亮/葉月充/井通302/六条幸丸/山口仁美/夏風雅/草野.com/花丸幸太/西尾知里/花村広大/佐東えり/瀬戸内美雪/本山桜/瀬口かしす


 キリシタン弾圧の時代、天草四郎をメシアに掲げて起きた史上最大のキリシタン一揆、島原の乱。しかし一揆を起こす直前に四郎は死んでしまう。そこに現れた朱珠姫は四郎にそっくりだったが、彼女はキリシタンを憎んでいた。それでも人々は彼女をメシアの座に据えて決起する。

 少女漫画芝居を自称する独房女子更衣室の本山脚本を、少年漫画芝居と評される帰空管の瀬口演出で彩るコラボレーション。結論から言えば、非常にうまく融合していたと思う。テーマが歴史物である点は帰空管の色が強いが、登場する女性キャラの大半が誰かへの恋を貫こうとするのは、“理不尽なまでに女の味方”と言い切る独房らしい脚本だ。

 帰空管において瀬口かしすの演出は、クライマックスの盛り上がりがひとつの売りだろう。ただ引っ張りすぎの印象を受けることも多く、今回も一部そう感じる点があった。ああ、ここで死ぬんだなと分かってから実際に死ぬまでが長すぎて醒めてしまうのだ。

 しかし帰空管のホームグラウンドとなっている北文化小劇場の使い方はさすがにうまい。独房が前回公演でここを使った際はその空間の埋め方に不足を感じたが、今回は濃密な舞台ができていた。

 独房も帰空管も個人的にお気に入り劇団なだけに、このコラボにはかなり期待して観劇に臨んだが、その期待を裏切られることはなかった。そして帰空管が次回で最後と聞いてとても残念に思った。
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2004年03月15日

劇団あおきりみかん「プラクティス・プラクティス」

劇団あおきりみかん
「プラクティス・プラクティス」
千種文化小劇場
04/03/11-14
作・演出:鹿目由紀
出演:山中崇敬/松井真人/青木達郎/ヒート猛/とみィ/林本めぐみ/成田けい/大屋愉快/中本志津/木村仁美


 公民館の会議室二つ。男ばかり5人と女ばかり5人が明日の祭りの出し物を話しあっている。男の一人と女の一人は破局しかかっている恋人同士だが、他の顔ぶれもそれぞれに縁があり‥‥

 小演劇を知らない人にも安心して勧められる劇団として、あおきりみかんは筆頭に挙げられる。「ぽんかん劇場」と銘打った公演は客演中心で通常のあおきりとは異なる位置付けのようだが、やはり鹿目脚本・演出でいつもどおりに楽しめた。

 前回のぽんかんと同様に会議室を舞台にしており、千種の円形劇場の使い方としては無難で確実な線。しかし二つの部屋の入れ替わり方は斬新。見てない人のために補足すると、入れ替わるタイミングで全員がザッザッザッと足並み揃えて走るのだ。しかも途中から様々な趣向をこらすので見ていて飽きることも無い。

 展開もほどよく現実的でほどよくナンセンス。しかし一見ナンセンスでしかないと思えた「人の心を入れ替える」マジックがラストで巧妙に生きてくるあたり、実にうまい。ほのぼのと暖かい気分で劇場を去ることができた。
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avecビーズ「散るミライ」

avecビーズ
「散るミライ」
ナビ・ロフト
04/03/04-07
作・演出:北村想
出演:中島由紀子/田中智沙/スズキナコ/金原祐三子/神戸浩/小林正和


 死体がくるまれているとおぼしきシーツを前に4人の女。「未来のことを考えましょう」。

 これといった筋のない不条理劇。だがその割に楽屋オチ的なネタが多くて困った。なぜ困るかと言うと、楽屋オチは決して不条理ではないからだ。

 普通の芝居でも、芝居それ自体が現実から少し離れた虚構であり、ある意味全てが不条理だ。だから不条理劇と呼ばれる芝居は、それに輪をかけて現実離れした展開になっているものだ。これに対し楽屋オチは、虚構の中に現実を持ち込むことでアクセントを付ける技法であり、不条理とは対極に位置する。

 別の表現をすると、不条理劇とは極端に現実離れした芝居であり、楽屋オチは極端に現実的な芝居だ。だから両者が混在する芝居は何なのか、どんな視線で見ればいいのか、受け止め方に困るのだ。
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2004年02月24日

劇団フラッグ「トラフィックインフォメーション」

劇団フラッグ
「トラフィックインフォメーション」
スタジオ・座・ウィークエンド
04/02/21-22
作・演出:しゃれこうべ小田
出演:伊藤佐保美/ふーこ/そがゆり/山本健太/山下慎一郎/成瀬晋


 ヒッチハイクする一人の娘を2台の車が拾う。さらうどんが食べたくて長崎へ行く男2人と、買い物旅行で神戸を目指す女2人。あれこれあって、娘を元彼のいる長崎まで送り届けることになる。道中、悩む娘を力づけようと4人が一計を案ずるが‥‥。

 技術的には未熟だが好感の持てる芝居だった。

 まだ2回目の公演と新しい劇団で、残念ながら1回目は見逃したので今回が初見。役者もスタッフも若く、経験不足からか全体に荒削りでぎこちなさを感じることも少なくなかった。しかし、奇をてらうことなく素直に正面から作っている姿勢を評価したい。

 登場人物は慰めあったりケンカしたりふざけたり真剣になったりしながら、それぞれ少しだけ成長する。気恥ずかしくなるほど青春だ。嬉しくなるほど若者だ。

 芝居としては極めて普通で、何も変わったところはない。舞台装置は2台の車だけで、手作りらしさをも感じさせる張りぼてだ。登場人物が車中で歌うシーンはあるが、ダンスや映像はない。音楽はカーステから流れる曲だけで、照明は「はい次はこっち見てねー」と言わんばかりに観客の視線を誘導する。もうちょっとひねってもいいだろうと思うほど、基本に忠実な演出。

 だが、わかりやすい脚本を、丁寧な演技で表現し、でしゃばらない演出で彩る。それが結局一番大事なことだと感じさせる作品だったと思う。
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2004年02月23日

GEKIDAN GALAXY「スペースリズム」

GEKIDAN GALAXY
「スペースリズム」
千種文化小劇場
04/02/19-21
作・演出:フルヤカツトシ
出演:藤元英樹/ジル豆田/池野和典/渡辺真輔/尾張ゴール/佐野俊輔/若月智美/黒田郁美/桜井七菜/上田美鈴/おかひろみ/猪飼真代/纐纈千夏/FULL8/川合陽子


 新人ばかりの乗組員が動かす宇宙客船、アストロライナー地希生号。冷凍睡眠した乗客(=観客)を乗せ、240万光年先の惑星シマーンまで2年がかりで飛行する。その途中、様々な事件が起きる。

 GEKIDAN GALAXYは、演劇をビジネスとして扱う姿勢を明確に表明している。確かに、身内客が大半を占めたり作家の自己満足で終始するといった、小劇団にありがちな悪要素は排除されている。またトータルコーディネートが徹底しており、入場券は飛行機(宇宙船)のチケット、パンフレットはパスポート、受付は空港のカウンターで、場内放送も空港のそれをイメージしてデザインされていた。小劇場でここまでやっているのは初めて見た。

 しかし作品そのものの出来栄えはどうだったかと言えば、必ずしも高い評価はできない。コラボレーションのあり方に疑問を感じるのだ。

 異なるジャンルのものを融合することで単体より高い効果を生み出す手法を、コラボレーションと呼ぶ。表現に変化をつけたり固定観念を破ったりするために以前から行われており、小演劇でダンスがあるのは珍しくない。この作品では、歌とダンスと映像が取り込まれている。

 コラボレーション自体を否定する気はないが、それはあくまでも手段のはずだ。まず表現したい内容があり、それが通常の演出手法では表現しきれないか、他の手法を使ったほうがうまく表現できるような場合に使うのが本来のコラボレーションだと思う。

 ところが、この作品ではほとんどそれが目的か前提になっている感がある。演劇の枠にとらわれないというより、コラボレーションすることにとらわれているのではないか。演劇以外の要素を取り入れた分、演劇自体が後退してしまったのではないか。

 せっかく良い役者を集めているのに芝居としての厚みが感じられず、バラエティ番組のコントを見ているような印象を受けた。個々の役者の技量によって支えられてはいたが、コラボレーションやイメージ作りに凝りすぎて、肝心の芝居が学芸会のようになってしまったのでは意味が無い。

 エンターテイメントとして、このレベルで満足しているのだろうか。違うことを願いたい。
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2004年02月16日

演劇人冒険舎「エレクトラ」

演劇人冒険舎
「エレクトラ」
千種文化小劇場
04/2/13-15
作:ソフォクレス
訳:山形治江
演出:木崎裕次
出演:伊藤順一/松島宏至/東方るい/古田裕子/内藤美佐子/横井れい/和田誠/山崎リエ/内ヶ島寛美/伊藤香織/尾方香苗/粉川明子/佐藤実由妃


 ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソフォクレスの作品。実の母親とその愛人によって父親を殺された娘エレクトラが、弟と共に復讐を果たす。ギリシャの円形劇場に似た舞台配置を持つ千種文化小劇場をうまく使った公演だ。現代風の脚色や翻案を加えることもなく、原作通りに演じられていた。

 小劇場でギリシャ劇が演じられるのは珍しいが、こういった古典の上演はもっと増えて良いのではないかと感じた。

 現代劇を見慣れていると、古典戯曲はかなりベタなものだ。セリフは長いし感情表現はやたら大袈裟。それでいて結末に意外性はない。しかしもちろんそれは演劇の原点であり、現代劇はそういう作品を踏み台にして発展してきたはずだ。むしろ現代劇の方がひねりすぎとも考えられる。エンターテイメントとしては弱いかもしれないが、基礎としては大事だ。

 劇団の実力を測る上でも古典の上演は有意義だ。初めからネタバレしているのだから、たとえ展開や結末がベタでなくても意外性でひきつけることは期待できず、役者や演出の技術が前面に出ることになる。現代劇でも新作でなければ同じことが言えるが、古典の場合は小説のように出版されていることも多いから特にその傾向が強い。

 そこで今回の芝居はどうだったかというと、70点くらいの出来栄えだったと思う。エレクトラ役の声が枯れ気味で、途中からセリフのトチリがやや多いのが気になった。またオレステス(エレクトラの弟)を演じた役者も未熟な印象を受けた。しかし難点はそのくらいで、あとは堂々たるものだ。舞台装置はシンプルだが的確な作り方で、そこに質感を与える照明の使い方が巧かった。

 演劇人冒険舎にとってギリシャ劇の上演は初挑戦とのことだから、他の劇団にも挑戦してほしい。
posted by #10 at 03:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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