2005年01月17日

試験管ベビー「Baby Canival」

試験管ベビー
「Baby Canical」
スタジオ・座・ウィークエンド
05/01/15-16
作・演出:かこまさつぐ
出演:かこまさつぐ/五坊良美/浅井拡敬/加藤奈々/樋口友幸/前田恵子/千賀好通/則竹洋一郎/吉森治


 「(株)シケンカン商事の人々」「試験管日和」「試験管ベビーのスカイダイビング」の3本立て。前二者が1時間で後者が30分の総入れ替え制で、チケットの買い方がややわかりにくかった。作品自体は悪くないが、システムはもうちょっと洗練の余地があるだろう。

 「試験管ベビーのスカイダイビング」は昨年のE−1グランプリ出品作で、名古屋でトップ、全国大会で2位になっている。スカイダイビングの飛行機の中で交わされる、とにかくくだらない会話の応酬。3作の中で、一番いつもの試験管ベビーらしかったと思う。たっぷり笑えた。

 「(株)シケンカン商事の人々」は、何をやっているのか良く分からない会社を舞台にしたお話。まるで仕事していない先輩達の姿はナンセンスギャグの一種かと思いきや、ラスト近くでしっかり理由付けがされる。ただ、別に理由付けがなくても構わなかったのではないか。

 「試験管日和」はショートコント集。笑えるものもあったが、終わり方が締まりのない場合が多く、やや不満を感じた。

 全体として、作品のスタイルを今後どうしていくか試行錯誤している印象を受けた。もともとストーリー性のある芝居よりもコントと言うべき舞台を作ってきた劇団なので、悩むところも多いのだろう。ただ私は従来の試験管ベビーのスタイルが好きだし、それを望む観客はたくさんいると思う。外野からの無責任な発言ではあるが、これまで培ってきたスタイルを生かして発展してもらいたいと思う。
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2005年01月16日

爆烈K・A劇団「二月のディナー」

爆烈K・A劇団
「二月のディナー」
ひまわりホール
05/01/14-16
作:平石耕一
演出:平塚直隆
出演:中尾達也/金良華/ジル豆田/斎藤ちひろ/美月ノン/下郷鍵


 途中に10分間の休憩をはさんで40分の芝居を二本。こういうペースも悪くないと思う。
 第一話。三人の元エレベーターガールが友人の結婚を祝うため、その友人の弟が経営するレストランに集まる。彼女達は昔話と共に弟から姉の言葉を引き出していくが、お互いの秘密と確執が次第に浮き彫りになっていく。
 第二話。イギリスの田舎町で日本人女性が経営するレストランに、新婚旅行中の日本人カップルが訪れる。喜んで地元の見所を教えたりしてもてなすが、カップルの仲はぎくしゃくしている。やがて二人は喧嘩をはじめてしまう。

 爆烈K・A劇団の作品を観たのは初めてだが、劇団名から想像していたような賑やかな舞台ではなく、セリフが中心の静かな芝居だった。しみじみした作風も悪くはないが、いまいち物足りなかった。本編より、休憩時間に中尾達也ともう一人(誰?)がおこなったコントみたいなものの方が面白かった気がする。

 セリフ中心の作品は、一層の演技力が求められると思う。下手な役者だととかく過剰な演技になる。今回の役者は決して下手ではないと思うが、やや自然さに欠ける印象を受けた。
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2005年01月02日

カルマツイ「恋愛耐湿」

カルマツイ
「恋愛耐湿」
G/pit
04/12/29-05/1/2
作・演出:刈馬カオス
出演:松井真人/鹿目由紀/加藤裕子


 男のアパートのバスルーム。下着を脱いでバスタブに横たわる女と、傍らに立つ男。そこへもう一人の女が訪れる。何これ、どういうこと?‥‥そして始まる泥沼の愛憎劇。二人の女は先輩後輩。浮気がばれて慌てる男の言動は女の確執に包まれながら理解できないほどに崩れていく。まともなのは誰か。立ち去るべきは誰か。

 45分が2時間以上に感じるほど息苦しく、ずっと手に汗を握りつづけていた。全身に力が入っていたため、観劇後はひどい肩こりに襲われた。心地よい観後感を得たければ刈馬作品を観てはいけない。この作品はそんな説を強く裏付けるものだろう。救いの無いディープな空気に浸りたい人にこそ最適だ。

 狭い舞台に数少ない客席で、観る者としても逃げ場がない。逃げ場があれば逃げていたかもしれない。一生に2回くらいはこんな泥沼を経験してみたいものだが、実際その場に立てば死ぬほど嫌だろう。自分は男なので男の立場に我が身を重ねて見たくなるが、ここまで狼狽する見苦しい人物に感情移入もできない。痛々しいまでに愚かな男に同情の余地もなく、狂気じみた言動に恐怖すら感じた。かと言って女二人が正常かと言えばそうでもない。ラストのセリフが最後に残された救いの道すら砕いて暗転する。

 松井真人はハートフルコメディを得意とする劇団あおきりみかんの看板俳優。彼がこういう役を演じるのは初めて見たが、役者としての力量を再確認させられた。正直、始まってしばらくはこの男優が松井真人だと信じられなかったほどだ。鹿目由紀はその作・演出を務める主催者で、役者として見るのは初めて。しかしこういう芝居ができるのなら、もっと舞台に立って欲しいと思う。加藤裕子は所属するB級遊撃隊とは別の舞台で見たことがあり、その時はさほど注目しなかったのだが、今回の舞台で見直した。

 とにかく濃いことこの上ない作品だった。ぐったり疲れて帰途に着きながら味わう気分は、マゾヒスティックな快感なのかもしれない。
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2004年12月14日

愛知県文化振興事業団プロデュース「water witch 〜漂流姉妹都市〜」

愛知県文化振興事業団プロデュース
「water witch 〜漂流姉妹都市〜」
愛知県芸術劇場小ホール
04/12/10-12
作:スエヒロケイスケ
演出:寺十吾
出演:夕沈/寶満公子/茂手木桜子/ジル豆田/畠中晴代/高橋由希/ヒート猛/中村榮美子/矢野健太郎


 30年近く引きこもりの長女、長女に虐げられながら離れられない次女、二人を放置して遊びまわる三女。いびつな三姉妹が経営する女性専用マンションの屋上で繰り広げられる、“ハードメルヘン/中年少女ブラックコミック”。三姉妹の憎悪と依存、怪しい計画で暴走する住民、半分偶然に越してきた女性警官、それらが微妙にからみあいながらも混ざることなく物語は進行する。

 第4回AAF戯曲賞受賞作とのことで、場所や団体を違えて何度か上演されている作品だが、私が観たのは初めて。スエヒロケイスケ氏の戯曲は今年1月の「XCOW XICOカフェイン/036ウォーター」を観たことがあるが、やはり醜態をさらし罵声を飛ばす人物が何人も登場する、濃密な作品だった。

 好き嫌いが分かれる‥‥という言葉はこの種の作品を評するときの常套句なので使いたくないが、あまりアングラ系の舞台を観たことのない客には刺激が強いのは間違いない。ただ少なくとも、今では社会問題として広く認識されている「引きこもり」について、安直なドキュメンタリーよりは長く心に残る「光景」だったろう。特に明確な結末がないことも手伝って余韻の残る舞台だと思う。

 ちなみにこの作品は、「AAF戯曲賞ドラマリーディング」として来年8月にも上演されることになっており、今年4月に長久手で公演して好評だったOrt-d.dが手がける(サイトプレマガの記事)。都合がつけばそちらも観に行って比較してみたい。
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2004年10月19日

双身機関「それは私の名前じゃない」

双身機関
「それは私の名前じゃない」
橦木倶楽部
04/10/01-02
作:双身機関
演出;中村公彦
出演:みすず、佐伯智佳子、山本健太、杉本雅彦、山田マネナ、獅子見琵琶、奥谷なほみ、小川泉、藤城悠香、古屋彰久、中村真貴子、岡田菜穂子、岡嶋正恵、作野綾、作野謡、梅村貴志、楓子


ギリギリの演出だったと思う。決して奇をてらう訳ではなく演出によってそうなったという印象ではあるが。要は客席を舞台にしたというよりも舞台の中に客席を用意した感じ。
芝居を観にきたというより芝居を覗きにきた感覚にされてしまった。
でもギリギリだった、ついつい巻き込まれ参加しそうになった、芝居を壊してしまえる位置に客席があるというのは緊張感を通り越してストレスが溜まる。安全な場所からみせてくれないので臨場感や興奮と怖さが同居している。どうも芝居を観るという行為を特殊なことにされてしまった気もするが、実はこちらが正しいのかもしれない。
セリフは必要最低限、照明、音響にも無駄がない。それでも十分に考えさせるし伝わるのは表情や動きといった身体表現のすばらしさだろう。
正直あっという間に終わってしまった。もっと観てみたいと思わせるに充分な内容だった。

(しおこんぶ)
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劇団ジャブジャブサーキット「しずかなごはん」

劇団ジャブジャブサーキット
「しずかなごはん」
七ツ寺共同スタジオ
04/09/28-04/10/03
作・演出:はせひろいち
出演:小山広明、村松綾、荘加真美、永見一美、小関道代、岩木淳子、高木美千代、岡浩之、中杉真弓、栗木己義、江川由紀


なにやら建物の内部が複雑な心療内科クリニック、ある日ここに摂食障害で入院している患者の弟や元患者で自殺してしまったモデルのHPの管理人、元ルポライターなどが訪れる。また、分室長は懸賞金を目当てに通院患者である女子高生と共同執筆で戯曲を作成しているのだが、患者の書くストーリーがどうにも示唆的に感じた。。。そんな時、彼女が摂食障害になった原因は私だと同級生が尋ねてくる。

なかなか衝撃的なテーマで見応えがあった。摂食障害という病を個人のレベルだけでなく社会の問題として捉え、誰が悪いのかというアプローチではなく、どうすれば良くなるのかという問題提起の仕方で真摯な描写が非常によかった。深刻になりすぎないように上手くバランスがとれており面白おかしく、かつ、真面目に考えさせる。

摂食障害についてはあまり知らないが過食症や拒食症の総称といった感じ。イメージとして女性に多い(ダイエットなどが原因で発症することが多いため)が男性でも起こり得る。
ダイエットで発症するタイプはあまり嘔吐はしないそうだが、過食嘔吐タイプはさまざまな原因(ストレスなど)で発症する。

この演劇を観て摂食障害は戦争と似ているなと感じた、現在の戦争の原因はなんだろう?
他人(他国)への恐怖が摂食障害(戦争)へとはしらせる原因なのかもしれない。
いずれにせよ、どうすれば戦争がなくなるのかを人類は考える時期にきているような気がする。原因を無くすという方法は間違いではないが実現は極めて困難だ、摂食障害の場合はストレスが原因といわれている以上、全てのストレスを無くそうとしても無理だろう。
肩の力をく必要がありそうだ。
どうも出発点には恐怖があるような気がする、他人からどうみられているのか気になり(恐怖)、無理なダイエットをしたり(自分への攻撃)、ゆえに現実にこれらの症状から脱した方たちはすごいと思う。それだけすさまじい症状であるからだ、なにせ衣食住の内、食のコントロールが効かないということだ、場合によっては死につながるだろう。
患うということは何かに依存するということか。

ジャブジャブサーキットは文化劇場でも十分公演できると思うが、この公演は七ツ寺共同スタジオの雰囲気が最も合う、会場選びも重要な演出だと思う。

(しおこんぶ)
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メガトンロマンチッカー「カロカリ−8月の蝉時雨と、見事なまでの貞操観念−」

メガトンロマンチッカー
「カロカリ−8月の蝉時雨と、見事なまでの貞操観念−」
千種文化小劇場
04/9/24-26
作・演出:刈馬カオス
出演:浦麗、花村広大、西尾知里、来々舞子、岸良端女、大久保明恵、渡辺真輔


パキスタンの悪しき風習「カロカリ」不貞行為の疑いのある者を殺しても、復讐と制裁のもと罪に問われることはない。
8月の最後の日、美術家ユニットは廃工場を利用したアトリエを持つ。その改装中、それは見つかった−拳銃と実弾7発。
貞操観念と、おびただしい嘘の果てに残ったものは一体。

張り詰めた緊張感はとても感じられたが、キャストが揃った時に三竦み、四竦みになってこない感じがしたのは残念。そういった意味では冒頭のシーンはよくで来ていた。

ピストルを中心に不可思議な緊張感とリアルな現実逃避へと引き込まれていくのだが、ある人物Aとある人物Bの間で緊張感を作り出してそこに第三者である人物Cが加わることで変化が起こるかと思えばあまり起こらない。つまり劇的ではないのだ(ピストルがあるという点では劇的ではあるが)いわゆるリアルさという意味では正しいのだろうが、なんとも化学反応しきれていないようなもどかしさを感じた。いわゆるアンサンブルがあまり感じられなかった。今時の若者らしいといえばそれまでだが、社会への接点を何とか見出そうとするのだが、第三者(あまり知らない人)にはクールというより無関心な印象、不器用さを感じた。この辺りは芸術家というのが布石になっているのかもしれない。

個人的には、アトリエ所有者の夫婦二人の緊張感が一番よかった。これは夫婦ということで社会との接点をすでに持っている夫と問題を抱える妻という関係だからこそという気がした。日本の貞操観念というか女性へのプレッシャーも描かれている所は鋭い。
一般的な考え=正しい考えとはいえないといったところか。

脚本面では、ピストルの件を警察に届け出たかどうかを疑うより誰かが隠し持ってないかを疑う方が自然で緊張感を保てた気がする。大体警察に届け出たら事情徴収くらいはされるのでは?流れが不自然に感じた。

浦麗さんの「これからもセックスしてくれる?」ってセリフが卑屈さではなくズルさ、したたかさがでてたのが印象的でとても良かった。
隆平役はもっと飄々とした感じで演じても面白そう。花村さんがやるとやっぱカッコ良すぎる(笑)。花村さんしかできない隆平役になっていた。

(しおこんぶ)
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劇団うりんこ「弟の戦争 −GULF−」

劇団うりんこ公演
「弟の戦争 −GULF−」
アートピアホール
04/9/24
作:ロバート・ウェストール、訳:原田勝
脚本・演出:鐘下辰男
出演:佃典彦、西尾栄儀、青山千代佳、長田光世、長谷川真由、和田紀彦、三雲一三、平山真由美、高田博臣、松田大


父は建設業。スポーツマンで地元のラグビー・チームのキャプテンだった。母は市会議員で、人の世話をすることが好きなみんなの母とも言うべき人だった。人より寂しがりやだったトムは「フィギス」という空想上の友達を考えだしてどこえへ行くのも一緒のつもりだった。3歳の時、弟のアンディが生まれた。トムはアンディをフィギスと呼んで遊ぶようになった。フィギスには憑依ともいうべき不思議な能力をもっていた。フィギスの身体はこちら側にありながら、心はイラクにあった。少年兵の魂が入り込んだフィギスが病院の一室で戦争のまっただ中のイラクの生活を再現してみせる。。。

市会議員の夫が体育会系で家事の手伝いをあまりしてなさそうで理不尽な印象。どうにも釣り合わない。結局遠くにある戦争を弄んでしまった印象になってしまったようで残念。戦争の悲惨さ、愚かさ、虚しさ、怖さ、これらがあまり舞台上にでてきておらず、この芝居を観てもやっぱり戦争は遠い話だなと感じただけになってしまわないか心配になった。唯一フィギスの友人たちが死んでしまったシーンだけは良かったように思うが、全体として不満が残る。
舞台装置などはとても凝っていたし迫力もあった。役者さんではラシード先生役の三雲さんは精神科の先生役みたいな役ばかりやってきたのでは?と思わせるほどで、かえって現実味をそいでしまった。板につきすぎるというのも考えもので
ある。

(しおこんぶ)
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劇団トーフ「チェンジ」

劇団トーフ
「チェンジ」
スタジオ座ウィークエンド
04/9/18-19
作:ビーン高野
演出:山本裕子
出演:近藤隆、中島三幸、高柳翼、濱田あゆみ


父、母、姉、弟の4人家族。ちょっとしたきっかけで家族の立場をチェンジすることに。。。

面白かった、テンポ、間、そして適格なツッコミ。特にリサ役の濱田さんは絶妙だった。内容は激しくわかりやすい(笑)が。ものすんごく普段着な演技というかアドリブが大分はいっていたんじゃないかと思うほど自然、ホントの家族みたい。役者がセリフを喋っているという感じがしない、つまり役者が役を自分のもの
にしている。
次回公演が楽しみ。こういう劇団があるから観劇はやめられない。

(しおこんぶ)
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劇団シアターガッツ「メガトンチェリーボム」

劇団シアターガッツ
「メガトンチェリーボム」
愛知芸術劇場小ホール
04/9/2-5
作・演出:品川浩幸
出演:大岩篤史、山崎淑子、藤元英樹、広瀬愛子、小島敬子、寺西栄美、欅智昭、脇山烈、中川弘樹、永井裕子、家道希、川浦君英


娘が彼氏を連れてやってきた。喜ぶ母と押し黙る父、そして緊張する彼氏。実は娘のお腹には二人の愛の結晶が宿っていた。半ば強引に同居生活を始める二人、冷ややかに見つめる弟。ある日弟が見たアダルトビデオには姉と彼氏が出演していた。。。

シアターガッツの公演はホントに安心して観ていられる。今回もとっても楽しい公演だったが、公演中に地震が起こるというハプニングはあったのは不運としかいいようがない。予想外又は予定外のことが起こった場合、全く無かったこととして流してしまうか、アドリブとして受け入れてしまうという2択に迫られる。今回は進行上シリアスな場面であったためにアドリブとして受け入れるにはキツイ状態だった。そんな中、寺西さんは淡々と演技を続け、大岩さんは戸惑っていたがあれだけ揺れれば(しかも長い)大岩さんの反応はやむを得ないもの。演技を続けた寺西さんが立派だった。

序盤ベットの上で服を脱ぐ大岩さんが色気たっぷりでカッコよかった。客演の広瀬さんは演技の端々にホチキスっぽさというかキャラの濃さがあって、客演しても所属劇団の色を失わない。広瀬さんだけがそうなのか、ホチキスという劇団に所属する役者が皆そうなのかは判らないが、まるで大阪弁みたい(地方にいっても変わらないという意)で笑えた。

(しおこんぶ)
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2004年10月03日

ミラクルスペース「魔女がいっぱい」

ミラクルスペース
「魔女がいっぱい」
うりんこ劇場
04/8/28
作:Gみか
演出:イクラ タラコ
出演:Gみか、松山由起子、本田竜生、小嶋隆之、二宮信也、Kaori、牧泰弘、松尾一代、川口未話、成田大介、鈴木ゆうこ、関戸哲也


町外れ住む魔女の家に、二人の少年が迷い込んだ。魔女の家ではガラクタが一杯だったが魔女にとってはとても大切なものだという。少年の一人ゲンは最近母親から「もうじきお兄さんになるんだから」と怒られてばかり。ある日ゲンは家を飛び出して魔女の家に転がり込むが。。。

ややメルヘンな感じで子供向けな気はするが面白かった。
出演者一人一人に見せ場がしっかりあるあたりはさすがといった感じ。
子供の視点と大人の視点を上手く描かれていた。特に兄や姉になる子供の心境はよく描かれていて面白かった。兄、姉でしか味わう事ができない期待と不安が入り混じった特殊な感情は十分に伝わってきた。(ちなみに私は末っ子)役者さんでは、客演の関戸さんがあまりにも濃ゆい役すぎて(面白かったんですがね)バランスが悪かった。松山さんと松尾さんのお二人はホントの子供みたい。
あんな天然の子役は初めて観た、ヘタな子役よりずっといいです、恐るべし。
ちなみにゴロウの一家は、一人一人はものすごく無理があると感じたが、一家全員がそろうとこんな家庭があってもいいかも(あるかも)と思わせるあたりは面白かった。

(しおこんぶ)
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ホチキス「おやじとビーズと弾丸と」

ホチキス
「おやじとビーズと弾丸と」
東文化小劇場
04/8/21-22
作・演出:米山和仁
出演:橋本哲臣、村上直子、加藤敦、齋藤美和子、小玉久仁子、船戸健太郎、広瀬愛子、細野今日子、米山和仁、宮本実和、山崎雅志、中川智咲子、山本洋輔、他


携帯で小説を連載する女子高生、佐倉魔美、スマッシュヒット作家である彼女には、ある特別な能力が備わっていた。旅館の女将を目指し、温泉を掘り続ける母と、日々創作料理に明け暮れる父を巻き込みつつ、今日も彼女の試練は続く。そんなとき、佐倉家に「3億円強奪事件」を捜査しているという男が現れる。。。

 とにかく面白かった。スピード感があって、それでいてストーリーが崩れてないのはセリフの量などや各キャラクターの全体的なバランスが絶妙なのだと思う。
 家族について各登場人物がおのおのの視点でしっかり描かれているので一見ばらばらなストーリーが自然に収束されていく。
 
 自分の過去を知らないことを悩んでいる父親がでてくるが、普通、大人は自分の過去の行いを棚に上げて子供に理想を押し付けようとするものだ。でも子供にとっては親の過去なんてどうだって良くて、今この時が大事。こういう世代間のズレをストレートにそしてコミカルに描いている。きっと家族で観ても楽しいし、いろいろな世代でそれそれ感じるものがあると思う。

劇中、歌やダンスがあったがちゃんと表情もあり観ているだけでも楽しくなってくる。
折角ダンスを入れたのに役者が必死で全然楽しそうじゃないとこもあるだけに是非見習って欲しいものである。(もちろんダンス=楽しいって訳じゃないけど)

(しおこんぶ)
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ATOMIC☆GOOSE「サークル・ジョーク」

ATOMIC☆GOOSE
「サークル・ジョーク」
千種文化小劇場
04/08/20-22
作・演出:西田正也
出演:下郷鍵/荒井公介/松ヶ崎亜彩美/瀬戸川夕輝/小野由加里/市谷もめん/川本貴浩


小さなサーカス小屋にテレビ局が取材にきた。しかし連絡ミスで取材を受けるべき主力メンバーがいない。とりあえず今いるメンバーでごまかしながら取材を受けることに。
一方、テレビ局のディレクターはライバルが他局で大手サーカス団の取材をしていることを知り、対抗意識から過剰な演出を行おうとするのだが。。。

ディレクター役の市谷もめんさんの意地を張って素直になれない演技は良かった。
アットホームな雰囲気と下郷さんのコミカルな動きは相変わらず面白い。荒井さんは八嶋智人のような切れのある演技は良かった。
んが、登場人物のキャラクターの掘り下げが不十分な印象。例えば最初のシーンで四方に礼をして小屋を去るという律儀な性格を描写しておいて、退団するためのちゃんとした手続きを執っていないなど、どうもキャラクターに一貫性がない部分があると気になる。

(しおこんぶ)
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2004年08月22日

燐光群「私たちの戦争」

燐光群
「私たちの戦争」
LOST IN THE WAR/BLINDESS
04/8/19
作:マリオ・フラッティ/渡辺修孝/坂手洋二
訳:立木火華子
構成・演出:坂手洋二
出演:中山マリ/川中健次郎/猪熊恒和/下総源太朗/大西孝洋/鴨川てんし/Kameron Steeie/Ivana Catanese/江口敦子/宮島千栄/内海常葉/向井孝成/瀧口修央/工藤清美/裴優宇/久保島隆/杉山英之/小金井篤/亀ヶ谷美也子/塚田菜津子


イラク戦争開戦時、公衆便所に「戦争反対」と落書きしただけで拘留され、軽犯罪法ではなく器物破損罪に問われた青年。米国大使館前で抗議デモを続けていた女性への弾圧。イラクで誘拐された日本人。
アメリカでは、戦闘の負傷で盲目になった復員兵が、死んだ戦友の家族たちを訪ねる。

「ほとんど全てが、フィクションではなく現実なのである。」とリーフレットにあるとおりの内容で実際に起こった出来事をオムニバス風に上演されていく。

正直、こんな演劇もあったのかと思った。事実であるが故、非常に生々しく、そして淡々と上演されていく、演劇の持つメディア性を強く感じた。
非日常的な現実がそこにあり、われわれはもう既に踏み込んでしまっていることに気づかされる。リーフレットでは現在を「戦時下」といっているが、正にその通りだ。自衛隊を派遣している以上、対岸の火事ではすまない。
私たちは真実についてどれだけ知っているというのだろうか。真実や事実は求めないと手に入れられない。あまりにも知らないことが多過ぎて、わけもわからず手が震え泣いていた。
この劇は現在進行形である。

戦争に対してどの様に向き合うかを考えさせられた、少なくとも戦争反対を訴える事ができない世の中にだけはしたくない。そうでなければ人間の歴史とはなんだったというのか。

ただ、Blindnessはお国柄が異なるせいか違和感があった。ドキュメンタリー調だったのが急に芝居に引き戻された感じ。これはアメリカ人と軍隊との関わりが日本人とは決定的に異なることと、観る側(私)に文化的な知見が足りないことが原因かもしれない。

(しおこんぶ)

(#10注:訳者の立木さんの名前「火華子」は「火華」が一字ですがJIS外のためこのように表記させていただきました。出演者の裴優宇さんの「裴」は正しくは亠が非の上にある字体ですが、JIS外のため裴で代用させていただきました)
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燐光群「だるまさんがころんだ」

燐光群
「だるまさんがころんだ」
天白文化小劇場
04/8/18-19
作・演出:坂手洋二
出演:中山マリ/川中健次郎/猪熊恒和/下総源太朗/大西孝洋/鴨川てんし/江口敦子/宮島千栄/Kameron Steele/Ivana Catanese/樋尾麻衣子/宇賀神範子/内海常葉/向井孝成/瀧口修央/工藤清美/裴優宇/桐畑理佳/久保島隆/杉山英之/小金井篤/亀ヶ谷美也子/塚田菜津子


派兵先の戦場で地雷原を歩き続ける自衛官コンビ、地雷入手の命令を親分から受け地雷を探す旅にでるヤクザ、地雷撤去に憧れを抱く女性の「冒険」、地雷製造会社で働く父親と家族の日常、増え続ける地雷のために村を追われた難民の物語……。
「地雷」をめぐる様々な物語が交錯する。いま、名前や形を変え世界中に存在する子供達の遊び「だるまさんがころんだ」が、戦場の現実を堪え忍ぶ人々の祈りとして再生する……。

戦争という大きな枠組みではなく戦争兵器である地雷という絞込みをしたことで、より具体的で現実的に感じることができた。重たい話のように思えるがシンプルで非常にとっつきやすい作品だと思う。(ただし、心臓の弱い人にはお勧めしない)

当日のリーフレットに「多くの嘘のような事実によって構成されている」とあり、笑えない現実を突きつけられ背筋が凍るような思いがするが、ラストシーンを観ていると世界平和は決して難しいものではないと目頭が熱くなった。
個人個人は仲良くできるのに、国と国は仲良くできない、現実の馬鹿馬鹿しさに憤りを感じずにいられなくなった。
今後、数百年、数千年に渡って世界各国で上演して欲しいと思う良作。
?「
(しおこんぶ)

(#10注:出演者の裴優宇さんの「裴」は正しくは亠が非の上にある字体ですが、JIS外のため裴で代用させていただきました)。
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2004年08月18日

劇団とりあえずプレゼンツ「蒲田行進曲」

劇団とりあえずプレゼンツ ドラゴンプロジェクトIII
「蒲田行進曲」
七ツ寺共同スタジオ
04/08/14-15
作:つかこうへい
演出:盗賊頭
出演:渡辺浩司/夏風雅/瀬名祥太郎/加藤良樹/草野浩之/山口鉄也/吉本きまた治/池山正樹/他


京都撮影所の大部屋役者・ヤスはスターの銀ちゃんから妊娠した恋人・小夏と結婚するよう要求される。やがて彼女と結ばれ、彼女と生まれてくる赤ん坊のために仕事に燃えるヤスだったが…。

蒲田行進曲である。階段落ちである。
ヤス、銀、小夏の心の動きは良かったが、階段落ちに対する恐怖がちょっと弱かったように思う。死への恐怖、新しい命への責任、この二つのバランスがとれているから心が動くと思うのだが、やや消化不良の感。

銀ちゃん役の池山さんはキャラクター的には合っていそうだが、今一色気がなかったのが残念。最初から最後まで新人の役者という印象のままで終わってしまった。
どうしても深作欣二監督の映画の印象が強くなってしまう作品だけにラストはもう少し変えてもよかったのではと感じた。

(しおこんぶ)
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アーノルド.S.ネッガーエクスプロージョンシステム「マリーの結婚相談所」

アーノルド.S.ネッガーエクスプロージョンシステム
「マリーの結婚相談所」
東文化小劇場
04/08/14-15
作・演出:シルベスタ・カヒローン
出演:石田なをみち/一丸博昭/大和田忍/加藤真/鎌田真紀/川村晃一/鮫島順一郎/鈴木克哉/鈴木祐子/内藤瑛亮/南雲栄作/牧野謙/山下有美/よしかわさやか


あまり流行らない「マリーの結婚相談所」、720時間テレビの生中継に割り込み、相談所の宣伝を行う。その中継を見てゲイの男、結婚後の悩みを相談に来る夫婦や邪魔された事を怒るテレビレポーターが押しかけてくる。ところでマリーって誰だ?13年に一度生まれる蛍は中継できるのか?マラソンはどうなる?

全体的に小ネタが多く大笑いはできないが、クスッと笑える感じ。平田オリザの「リアルさが足りない」とかマニアックなネタも多く、判る人がいるのか心配になるものもあった。「ハードロックが好きな障害者がいてもいいじゃない」とサラリと織り込んでみたり実は社会派なのかもしれない。
ちなみに、今年アメリカ東部で17年周期で大発生する蝉の当たり年だそうで、他にも13年周期で大発生する蝉もいるらしい。蛍の出所はこの辺りか?また、お盆の上演ということで広島に原爆を落とした爆撃機の名前がエノラ・ゲイ、でゲイを出したとか?ここまでいくと流石に考えすぎか。

役者の動き(リアクション含む)が普通過ぎてピンとこなかった。もっと判りやすい動きのキャラクターがいても良かったと思うが、セリフだけで笑わせようとするのが見えちゃうと何を言ってもつまらなくなってしまう。そんな中で、加藤さんと大和田さんはキャラクターがはっきりしていて良かった。

(しおこんぶ)
posted by #10 at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

劇団愛の狩人「Ω反魂の牙」

劇団愛の狩人
「Ω反魂の牙」
ひまわりホール
04/08/14-15
作・演出:柊アキラ
出演:黒部聡/柊アキラ/じゅん/野畑幸治/松尾有香/山本綾佳/古井慎也/米丸茜/杉浦紀行


時は2059年、かつて大和とよばれし国「楽園」と名高い街があるという。その街にいけば、死人と化した者も甦るのだというのだ。
愛する者を失った人々はみな、骨を抱いて、その街を目指す。

ラスト公演ということで好きなことを目一杯やったと言うように、いかにも我儘なストーリーだった。人ならざる力を持つ者たちが墓泥棒を取り逃がしたり、墓泥棒が死人を生き返らせようとして骨を盗むってのもよく解らない。世界観が見えてこないままストーリーが進んでいくため、ご都合主義な感じが拭えない。

役者さんでは、思い切った演技で子供っぽさと狂気を表現した松尾さんと、山本さんの強さと弱さ、戸惑いの感情を良く伝えた表情が良かった。男優陣は骨太で迫力があるが、あまり表情がなかったのが残念。

(しおこんぶ)
posted by #10 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(有)ともだち「Cafe ステイション ケンジ」

(有)ともだち
「Cafe ステイション ケンジ」
愛知芸術劇場小ホール
04/08/10-12
作・演出:北村想
出演:伊沢勉/黒川慶一/深山義夫/木村庄之助/西山諒/久川徳明/知嶋大貴/福井博章/梅林憲太/堤里砂/青山晃子/阿部一恵/服部朋之/手塚功二郎/中野敬裕/宮田大輔/佐藤陽子/神山千佳/馬場美恵子/渡部陽子/鈴木恵理/久野智美/國井美佐/西脇真穂/大津有加里/安江明日香/山住悠/伊左治麻里/伊藤麻子/松本優子


宮沢賢治が37年の生涯を終えて、自らあの世に向かう汽車に乗り込む、その待合室(また汽車そのもの)での彼の回想をステージ中の劇中劇として上演。

劇中劇ということではあったが、内容的にはいわゆる死ぬ前に今までの人生が走馬灯のようにというあれだろう。この場合は人生ではなく宮沢賢治が作った作品の登場人物たちが次々と舞台上に立つ。

多くの役者さんを器用し贅沢な舞台ではあったが劇中劇でおこなわれる芝居に必然性は感じられない。宮沢賢治の作品を紹介しようという趣旨であればまだ判るが、演劇でそれをやられてもなぁというのが正直な感想。ただ、宮沢賢治の文章はやはり凄いなとは感じた。舞台上のセリフよりも宮沢賢治の言葉、文章の方が印象に残った。
ラストのいい人生だったというセリフが全て、あそこまで言い切られるといっそ清々しい。人生の最後でいい人生だったといえるように努力しようと思わせる。

(しおこんぶ)
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2004年08月15日

よこしまブロッコリー「グルグルPlanet 六畳半と彼方のアイツら」

よこしまブロッコリー
「グルグルPlanet 六畳半と彼方のアイツら」
愛知県芸術劇場小ホール
04/08/14-15
作・演出:にへいたかひろ
出演:関戸哲也/中尾達也/浅野まど香/川畑沙織/平野百合江/黒田郁美/古川聖二/井池泰紀/大矢武志/澤村一間/野口真理/坂本紀子/阿部優也


 ある晩ヒサウチが家に帰ると見知らぬ娘がいた。何を聞いてもタダイマしか言わない彼女は、新しくはじめたデリヘルの女の子だと友人のカトーは言うが、帰る場所がわからない。一方、ヒサウチの弟は兵士として砂漠の国に派遣され、遭難して現地の部族の神殿に運び込まれていた。言葉の通じない相手と必死で意思疎通を図るが、やがてその村に軍の攻撃が始まる。

 面白かった。明確なドラマがあるわけではなく、二つの場所で起こる出来事が淡々と描かれているような舞台だが、何かが伝わってくる。随所に盛り込まれたギャグは素直に笑える。そして全編を通じて流れるのどかな、でもどこかに切なさを残す空気感は絶妙。

 日本で少しだけアウトローな生活を送る兄の元に現れた異国の娘と、言葉の通じない異国で捕らわれた弟。遠く離れた兄弟に並行して起こる非日常な出来事。自然体の演技に照明や音響の巧みさも手伝って、非常に心地よい雰囲気を生み出していた。特別ぬきんでた部分があったわけではないが、でしゃばらずすっきりと伝わってくる芝居だった。終わった後、もうしばらくその世界に浸っていたいと思った。

 あえて難を言えば、エンディングが素っ気無さすぎ。時節柄ビミョーにイラクを彷彿とさせるが展開上はあまり関係ない。娘の出身と弟のいる国が同じなのだが、結局それも特に意味を持つことなく終わる。え、これで終わり?と拍子抜けするほどクライマックスがない。無理に盛り上げるよりは好感が持てるが、もう少し結末らしい結末があってくれたほうが見やすいと思った。

 ただ逆に言えば、この状態で作品を完成にできるのは作り手に相当な自信があるということかもしれない。そして、その自信は決してうぬぼれではないと思う。

(#10)
posted by #10 at 01:39| Comment(2) | TrackBack(2) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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