2010年04月03日

ことのは「春の音、曇天。をつけてみる」

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 毎年同じ場所で合宿をしている大学の演劇部。卒業公演の演目は必ずマクベスで、部長が主役になる。演劇への思いとか、部員間の恋愛とか、学生たちの青春群像。それを、合宿所でずっと働いている女性が見守っている。

 演劇部とか劇団員が出てくる芝居というのはどうも楽屋ネタ的な匂いがしてあまり好きではないのですが、この作品はどっぷり演劇ネタに浸っているため逆に真っ当な話になっています。戯曲が書かれたのは10年前とのことですが、登場人物の世代はほぼ私と同じくらいのようです。宮沢りえと貴花田(貴乃花)の話など、出てくる当時の時事ネタが懐かしい。

 ことのはは今回が10回目の公演とのことですが、その割に演技は少々若い印象がありました。演劇部の話なので劇中劇が何度かありますが、本編より劇中劇の方が良かったような気がします。

 最後の最後で大道具(舞台装置?)がすごい動きを見せて驚きました。それまでの雰囲気からするとちょっとそぐわない気もしたので、バランスは一考の余地があると思いますが、でも大道具さんがんばりましたね。

2010/04/03-19:30
ことのは「春の音、曇天。をつけてみる」
アトリエS-pace/当日券1800円
作:深津篤史
演出:関川佑一
出演  江口祥子/大川舞/太田彩香/大森一広/岡崎由起子/小笠原愛子/金沢沙耶/久保田智美/米沢千草/阪田愛子/彦田知美/山内大輔/山本まつ理/吉田圭佑/米山真理


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2010年03月28日

夕暮れ社弱男ユニット「教育」

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 近未来の日本。妊娠するのも自然死するのも国家資格が必要となった。毎年、妊娠資格試験を受けるがちっとも合格できない女性と、死ぬための試験に落ち続けて際限なく延命治療されている女性。それから、ロボット兵士。彼女達をとりまく人々の風景。

 物語の内容はどうあれ、この作品のチャレンジは舞台配置に尽きる。スペースの中央に客先が四方を向いて組まれ、役者はその周囲をぐるぐる回りながら演技し続ける。

 ひたすら回り続けているので役者は体力勝負だろう。しかし細かい演技はほとんどなく、セリフだけで語られているに等しい。いや、細かく演技していたのかもしれないが、全体の三分の一くらいしか視界に入らないので、よくわからない。

 この舞台配置をとることで何が得られたのか。当人達は色々狙ったことがあったのだろうが、本作について言えばアイデア倒れな感が否めない。物語としては“客席を中央にしてぐるぐる回る”というスタイルで見せる必然性もないし、観客としてはどのみち全体が見えないのだから眼前の役者も見る必要を感じなくなり、むしろ全体の「音」を聴くために目を閉じてしまった。

 とは言え、このアイデアは一発ネタではない。上手に発展させれば色々なことができるのではないか。偏った視界になるのは円形劇場だって同じことなのだ。どうせならぐるぐる回ったりせず、本当に一部しか見えない作品にしても良かったのではないか。

 しかも全体を見ることができないと言ってもこのスタイルなら、振り返れば真後ろ以外は見える。客が能動的に動かなければ見えないし動けば見える舞台というのは、今までなかったように思う。せいぜい花道くらいだろう。

 せっかく面白いスタイルなのに戯曲はさほど練り込まれている感じがしなかった。だから本作自体が成功していたとは言えないが、次はもっと上手に工夫して挑戦してもらいたいと思う舞台だった。

2010/03/28-15:00
夕暮れ社弱男ユニット「教育」
芸術創造館/当日券2500円
作・演出:村上慎太郎
出演:稲森明日香/向井咲絵/関珠希/殿井歩/本間広大/松田裕一郎
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2010年03月27日

マレビトの会「ユビュ王」

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ユビュ親父はユビュおっ母にそそのかされ、ボルデュール大尉と結託し王を暗殺する。王冠を手に入れたユビュ親父は、貴族たちを次々と処刑、桁外れな税金を徴収し、ボルデュール大尉を投獄する。ボルデュール大尉は脱獄し、亡き王の従兄ロシア皇帝とともに、ブーグルラス王子(王家の生き残り)即位のために兵を挙げる。すぐさまユビュ親父も兵を挙げ戦場へ。「開戦」──だが、ユビュ親父は、一人そそくさと戦場から逃げだした。ユビュ親父が洞窟へ逃げ込むと、ユビュおっ母も逃げてくる。そこへ兵を連れたブーグルラスが襲いかかる。ユビュ親父はまた逃げていく。船の甲板の上、ユビュ夫妻とその一味。次の目的地へ向かうのであった。
(チラシの一種より)

 物語の内容は問題ではなく、演出が圧倒的だった。こんなヘタウマな芝居で、基本的に無表情で棒立ち、セリフ棒読み。多少動きがあるところでも操り人形のようにギクシャクした身振りだけ。本当に下手な役者たちがこれをやったら金返せレベルになるだろう。それでちゃんと観客を魅了する舞台ができているのだからたいしたものだ。

 しかし残念ながらこれは一発ネタだろう。同じことを別の戯曲や役者がやっても面白くはない。本作を知らなければ楽しめるだろうが、基本的に二度使える手ではない。そういう意味で、本作を観られたのは幸運だったと思う。

2010/03/27-19:00
マレビトの会「ユビュ王」
ART COMPLEX 1928/前売券2500円
作:アルフレッド=ジャリ
翻訳:窪田般彌
演出:松田正隆
出演:F.ジャパン/桐澤千晶/ごまのはえ/サリngROCK/筒井潤
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トリコ・A「クリスチネ」

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 タイトルはイプセンの『人形の家』の登場人物の名前ですが、作品の内容とはほぼ無関係だったと思います。シチュエーションは微妙に関係あるような気もしますが、人形の家をちゃんと読んでいないので語れません。

 芝居は優しい不条理系とでもいうような内容。空き家になっているはずのある部屋に集まった男女4人。ラジオから流れてくる“むちゅうじん”の話を背景に、いずれもどこか変な4人の物語がつづられる。

 “むちゅうじん”を漢字でどう書くのかわかりませんが、人としてダメな感じがむんむんする登場人物たちの、とぼけたやりとりと緩く不条理な空気はとても心地よく観られました。

 結局何がなんだったのか、全然わかってませんが。

2010/03/27-15:00
トリコ・A「クリスチネ」
アトリエ劇研/前売券2000円
作・演出:山口茜
出演:岩田由紀/鈴木正悟/筒井加寿子/仲野毅
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2010年03月22日

still life 静物画

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 京都芸術センター演劇製作事業「演劇計画2009」のうちひとつとして上演されたダンス公演。パントマイムなら観たことがありますが、コンテンポラリーダンスをちゃんと観るのは恐らく初めての経験になります。

 言葉はなく、音楽や照明も控え目。外の光や音も遮断されていない環境にふらりとやってきたダンサーが、時に個別に動き、時に協調する。バラバラで動いていると、どこまでが予定された動きでどこからがアドリブなのか判然としない。台本(またはそれに準ずるもの)はどんな風に書かれているのだろう?

 ダンサーはさすがに皆とても綺麗な体をしているので、なんでもない動きを見ているだけでもそれなりに感心する。ただ、こういう見方が正しいのかどうかよくわからない。

2010/03/22-15:00
「still life 静物画」
京都芸術センター/前売券2500円
構成・振付・演出:白井剛
出演:青木尚哉/鈴木美奈子/高木貴久恵/竹内英明/白井剛
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2010年03月20日

MousePiece-ree「英雄魂」

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ヒーローショーを運営している英雄商会は窮地に立たされていた。
2日後に大事なショーが迫っているのに、メンバーの殆どが欠けてしまったのだ。
そんな折二人の助っ人がヒーローになるべくやって来る。果たして二人はヒーローになれるのか?英雄商会の運命やいかに。
そもそもヒーローとは何なのか。あなたの心の中のヒーローは誰ですか?今回はそんなお話です。
(チラシより)

 私と同世代のおじさん三人による漫才のようなコント芝居。しょーもないトークとベタなネタが続く、チープな雰囲気でそれなりに楽しめるものでした‥‥が、ラストは驚くべきどんでん返しが待っていた。あれは小劇場でなければ不可能なエンディングだと思う。

2010/03/20-19:00
MousePiece-ree「英雄魂」
トリイホール/前売券2000円
作:早川丈二
演出:森崎正弘
出演:森崎正弘/上田泰三/早川丈二
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2010年03月13日

笑の内閣「THE SCHOOL OF THE RINGS -road to Abashiri-」

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 舞台上にリングを設置し、芝居の中で本格的にプロレスをやってしまうプロレス芝居・笑の内閣の第10回公演。

 10回目で5周年という今回は、「全道大会進出を目指す北海道の高校演劇部。部長が突然プロレス芝居をしようと言い出し、たまたま団体をクビになったばかりの人気レスラーの指導を受け、大会に挑む」‥‥という内容。

 なかば強引にプロレス芝居に繋げていくわけですが、プロレス芝居の劇中劇でまたプロレス芝居をやっているので、入り乱れて大変なことになっています。でも意外と破綻していませんでした。

 本物のプロレスを生で見たことはないのでリアリティは分かりません。ただ、こう言うとプロレスファンには怒られるかもしれませんが、元々プロレスというのはスポーツとショーの混合みたいな側面もあるので、芝居との親和性は高いのだと思われます。例えば「テニスの王子様」も舞台化されていますが、本当に舞台上でテニスをするのは無理でしょう。

 チラシ等を読むと劇中のプロレスが本格的であることのアピールが多いのですが、観ていて思ったのは逆に、演劇部分が稚拙で学芸会的だということです。しかし、ひょっとするとこれは意図的だったのかもしれません。演劇部分があまり本格的すぎると、プロレス部分が嘘くさくなってしまうと考えられるからです。演劇部分が学芸会的だからこそ、プロレス部分が本格的に見える。そこまで計算しているとしたら、たいしたものです。‥‥計算じゃない可能性も高いですが。

 演劇としてもプロレスとしても明らかにイロモノなので、正直それほど期待はしていませんでしたが、劇場から出てきた自分は多分、ものすごい満面の笑みだったと思います。完全に、してやられました。

2010/03/13-18:30
笑の内閣「THE SCHOOL OF THE RINGS -road to Abashiri-」
ART COMPLEX 1928/当日券2500円
作・演出:高間響
出演:野口雄輔/藤井麻理/鍋田幸治/末山孝如/栗山万葉/大下眞次/五藤七瑛/上蔀優樹/橋下千英/ちっく/ドッペル慈恵士/眞野もとき/川崎一輝/向坂達矢/HIROFUMI/社会窓太郎/高間響/嵯峨シモン/高田会計
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烏丸ストロークロック「八月、鳩は還るか」

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ケンという男がいた。大事な誰かに対して、大事な言葉を投げかけようとすると、決まってみんなどこかに行ってしまう。そういう男だった。

ノアは方舟から鴉を放したが、とまるところがなく還ってきた。
次に鳩を放った。しかし同じように還ってきた。
7日後にまた鳩を放した。すると今度はオリーブの葉をくわえて還ってきた。
さらに7日経って再び鳩を放したが、もうそれっきり、還ってくることはなかった。


おかえりなさい、ケン君。わたしたちはあなたのかぞくです。
(チラシより抜粋再構成)

 烏丸ストロークロックが5年かけて描いた「漂泊の家」シリーズ総集編。残念ながら私が観るのはこれが初めてですが、これまでの作品も織り込まれた形で構成されているため、単独で観劇しても問題はないとのことでした。

 その織り込み方はいわゆる劇中劇になりますが、本編と劇中劇がなめらかに繋がり、また空間的にも重なるような舞台構造が作られていました。具体的には、客席最前列の前に舞台装置としての椅子が1列並べられ、劇中で劇中劇を観ている登場人物がそこに座ることで、劇中劇の観客と本編の観客が同化したようになるのです。これはちょっとした技巧でしょうが、まんまと気持ちは劇中世界に取り込まれて行きました。

 語られる内容は悲惨というか切ないというか、そして何か不気味さを伴うエピソードの集成で、泣くべきか笑うべきか考え込むべきか難しいものです。口に入れたモノが食物なのか薬なのか毒なのかわからないまま噛み砕いているような気分になりました。

 ほどよく緩急のある展開は飽きることがなく、途中休憩を挟んで2時間半余りという長い上演時間にも関わらず、終わった時は「もう終わり?」と感じました。ただこれは、幕切れが唐突な印象だったことも原因でしょう。あのラストシーンはどう解釈すればいいのか、まだちょっと飲み込めていません。

 前作も観てみたかった。観なかったことが悔やまれます。

2010/03/13-13:00
烏丸ストロークロック「八月、鳩は還るか」
アトリエ劇研/前売券2500円
脚本・演出:柳沼昭徳
出演:阪本麻紀/ 片山奈津子/ 浅井浩介/ 犬飼勝哉/ 内田和成/ 大村史子/ 斉木りさ/ 崎田ゆかり/ 高橋志保/ 辻智之/ 中川裕貴/ 中嶋やすき/ 長田美穂/ 新田あけみ/ 長谷川直紀/ 松本S一/ 安田一平/ 山邉明日香
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2010年03月06日

バンタムクラスステージ「THE KISS,grants a name.(to you) /とはずがたりのマリア」

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1930年代、上海。アヘン農場を所有する中国人犯罪組織のボスの娘・一色は、身内同士の抗争で父親を謀殺され、自らの出自を厭うようになる。一方、売春宿に売られた名もない少女は、賽の目を読む天才的な才能を買われ、大陸浪人に身を崩した青年に拾われる。二人はともに若い「神父」に出会い、神の教えを説く彼に心ひかれる。二人の女の願うこと、それは彼からの洗礼を受け、「名前」を授かること。やがて、願いは苛烈な運命を引きよせる。
(チラシより)

 バンタムクラスステージを観劇するのは2回目ですが、前回(ルルドの森)と同様に重くて濃い空気を感じる舞台でした。映画的なイメージの作品を目指しているとチラシに書かれていましたが、スクリーンというケースに入れずにこの空気を実現するのは、映画よりずっと難しいことだと思います。下手な劇団が挑戦するとするとだいたい空回りしますが、ここは非常に安定しています。

 やや残酷な拷問シーンもありますが、その怖さも充分。舞台装置は非常に少なくほとんど素舞台なので、役者の力がすごいのでしょう。殺し屋(カレンダーとピアス)を演じた二人が特に良かったと思います。

 しかしこの劇団、(失礼ですが)あまり注目されている印象がありません。力量の割に、他所で話題に上っているのを見かけないんですよね。いわゆる「もっと評価されていい」劇団だと思います。

2010/03/06-19:00
バンタムクラスステージ「THE KISS,grants a name.(to you) /とはずがたりのマリア」
作・演出:細川博司
出演:福地教光/水谷有希/木下聖浩/山本香織/殿村ゆたか/森岡宏治/内村哲哉/るこ/hime/畠中歳雄/上舞/峯毛/若林賢太郎/樋上孝治/はたのさとし/さくらの/岡崎あかね/田中之尚/沖田さわ
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ピースピット「MOTHER」

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母になれなかった少女──小雪
母になる女──つるの

「子が将来何者になるかは未知のことに属する──」
永井荷風(1879.12.3-1959.4.30)
(チラシより)

 タイトルにあるように「母」をテーマとした内容ですが、実際は母になるまで(つまり妊娠期間から出産するまで)の話です。チラシにもウェブにも内容紹介が見当たらないので細かいことは書きませんが、ちょっと天然な主人公の“イマジナリーワールド(空想世界)”が話の大半を占めています。

 空想世界と言っても現実と完全に切り離されているわけではなく、むしろ過去と現在が同居する主人公の内面世界という様子です。キーワードは「子が将来何になるかは未知のことに属する」。

 なんというか、笑ったり泣いたりで顔の筋肉が忙しい観劇でした。脚本と演出の末満氏は男性なのによくこんなテーマで書けるものだと感心します。まあ、刑事でなくても刑事ドラマは書けるんだから同じことかも知れませんが、本物の刑事が刑事ドラマで感動したという話はあまり聞きません。本作ではたくさんの女性が泣き笑いしてました。

 ピースピットの作品は今回を含め舞台を2回とDVDを1回観ただけですが、どれも切ない愛に溢れている印象を受けました。次回作が楽しみです。

2010/03/06-14:00
ピースピット「MOTHER」
シアトリカル應典院/前売券3500円
作・演出・プロデュース:末満健一
振付:山根千佳
出演:前渕さなえ/山浦徹/岡本拓朗/清水かおり/山田かつろう/鈴木洋平/三谷恭子/立花明依/Sun!!/橋爪未萠里/中野裕貴/丹下真寿美/西分綾香/吉田青弘/末満健一
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2010年02月28日

極東退屈道場+水の会「家、世の果ての……」

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はな子が犬を連れておつかいにでかけると「スーパー不夜城」が見下ろしていた。
うすくれないの地図を頼りに、人混みをかき分けかき分け、道行きを急ぐ一人と一匹。
やがて、トーキョーが昨日と同じメロドラマの中に暮れるころ、錆止めの朱い階段上のアパートから、百合子、さらわれる。
残された紙切れ一片。
「家、世の果ての……」
辺境にある氷漬けの食肉工場で少女はつぶやく。

「ソレハ ユルギナキ 全体、絶対的ナ広ガリヲ持チ 把握ヲ許さず、息ヅキ、疲レ、蹴オトシ、──ソコデハ 全テガ置キ去リニサレテ、関ワリアウコトナシニ ブヨブヨト 共存スルノミ。個ハ辺境ニアリ、タダ 辺境ニアリ、楽シミハアマリニ稚ナクテ ザワメキノミガ タユタイ続ケル ──コンナ夜ニ 正シイナンテ事ガ 何ニナルノサ。」(後略)
(チラシより)

 伏線とも不条理とも思える、何か幻影のような空気の中で重層的に展開するため、ほぼ最後まで夢見心地の観劇となった。集中力が途切れそうになる(というか途切れた)ことが何度かあったが、奇妙に心地よい観後感が得られた。

 後でチラシをよく読んだら、初演は30年も前とのこと。これは意外だった。演出によってそうしたのかもしれないが、観ている時はそんな古さは全く感じることがなく、新作だとばかり思っていたのだ。

 ここで描かれている消費社会とか物質文明というのは、多分この30年でますます強化されたのだと思う。ある意味、そこで提起された問題はもはや問題と感じられなくなる程度に根を張ってしまったのではなかろうか。だからこそ私はそこで安心してウトウトできたのだ。

 作者が聞いたら嘆くだろうか。すでに他界されたとのこと、残念です。

2010/02/28-15:00
極東退屈道場水の会「家、世の果ての……」
アイホール/前売券2500円
作:如月小春
演出:林慎一郎
出演:原真/得田晃子/井尻智絵/北村守/うべん/後藤七重/片桐慎和子/小坂浩之/小中太/猿渡美穂/中元志保/福田尚子/安武剛
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2010年02月27日

ロヲ=タァル=ヴォガ「SILVER 30」

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 太宰治『駆込み訴え』を軸として、太宰治自身の姿を描いている。『駆込み訴え』はイスカリオテのユダがイエスを裏切った時の独白として書かれている短編で、イエスを非難したかと思えば誰よりも愛していると語るなど、激情にかられ興奮した様子が伝わってくる。本作では劇中で大宰が駆込み訴えを朗読する場面がある(つまりユダのセリフを言う)が、どちらかというとイエスのような人物として描いていた。

 幻惑的な舞台美術と演出に惑わされて、物語の筋が解りにくくなってしまったような気がする。別に筋が重要というタイプの芝居ではないと思うので問題はなさそうだが、しかし途中で集中力が途切れることがしばしばあった。

 余談だが当日はロビーで子供鉅人のメンバーがカフェを開いていた。こういう試みはとても良いと思う。

2010/02/27-19:00
ロヲ=タァル=ヴォガ「SILVER 30」
BLACK CHAMBER/当日券3200円
脚本・演出・音楽:近藤和見
出演:草壁カゲロヲ/ハ・スジョン/赤井正宏/足立昌弥/ゆかわたかし/岩橋功/松嵜佑一/横山直樹/ふくだまさと/袋坂ヤスオ
演奏・音楽:波多野敦子
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MONO「赤い薬」

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ウサギが跳ねてる……。
この薬のせいなのか?
スケールの小さい大脱走喜劇!!
(チラシより)

 それぞれ身寄りもなく、生活費にも事欠くありさまの情けない男たちが、高額報酬目当てで薬の実験台になるため、山奥の施設で共同生活している。しかし今回の薬はなにかおかしい。このままでは自分たちはどうなってしまうのか……?

 現実にそういう施設があるのかどうか知りませんが(多分ない)、シリアスにしようと思えばできる危ない設定で上質なコメディになっていました。単にゲラゲラ笑わせるだけでなく少々の涙も含ませるところがMONOの得意なスタイルでしょう。

 今回も、登場人物達の背景は笑えない要素がたくさんありました。けれどそんなものを吹き飛ばす勢いで笑いに変えてしまっているところが頼もしい。上っ面じゃないコメディです。

 医者役を演じた金替さんの演技がまた素晴らしい。あれを観ただけでも価値があったと思います。

2010/02/27-14:00
劇団MONO「赤い薬」
HEP HALL/前売券3800円
作・演出:土田英生
出演:水沼健/奥村泰彦/尾方宣久/金替康博/土田英生/山本麻貴
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2010年02月20日

兵庫県立ピッコロ劇団「真田風雲録」

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慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いで出会った落ち武者と戦場泥棒の浮浪児たち。むささびのお霧(霧隠才蔵)、離れ猿の佐助(猿飛佐助)、ずく入の清次(三好清海入道)……。のちの真田十勇士である。慶長19年(1614年)、徳川対豊臣の大坂の陣が勃発、知将、真田幸村とともに劣勢の豊臣方として参戦する真田十勇士。活躍の場を求めて必死に戦う彼らだったが……。
(チラシより)

 初演は1962年の作品。あらすじは上記の通りですが、学生運動や東西冷戦など当時の世相を反映した表現になっています。この点を知らずに観劇したので「なんだか活動家みたいな言い回しだなあ」と思っていて、後から解説を読んで納得しました。

 私が観に行く劇場としては最大級の会場で、さすがに巨大な舞台装置を使った演出は迫力がありました。大きい場所では大きいなりの手法があるのですね。出演者の数は40名以上と多いものの、主要登場人物はわかりやすく、素直に楽しむことができました。

2010/02/20-18:30
ピッコロ劇団「真田風雲録」
兵庫県立芸術文化センター/前売券4500円
作:福田善之
演出:内藤裕敬
出演:東龍美/荒谷清水/井田武志/今井佐知子/今仲ひろし/上田一軒/大塚雄也/岡田力/樫村千晶/加藤崇/加門功/川原田樹/木下出/木村保/杏華/坂上洋光/坂口修一/鈴村貴彦/角朝子/孫高宏/橘義/田米克弘/道幸千紗/中川義文/濱崎大介/原竹志/平井久美子/風太郎/穂積恭平/堀江勇気/松田卓三/森田真和/森好文/八百谷匡洋/や乃えいじ/山田裕/吉江麻樹/和田哲也/和田友紀
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2010年02月19日

精華小劇場製作作品「イキシマ」

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目を凝らせば見える 耳をすませば聞こえる
繊細にして大胆な 究極の“室内劇”
(チラシより)

 精華小劇場による製作作品として上演された本作は、脚本にマレビトの会の松田正隆、演出に維新派の松本雄吉を招き、出演者も実力派ぞろい。前評判も高く、非常に意欲的な企画だったのは確かだ。

 しかし私は、この作品をはっきり否定したい。賛否両論と聞くが、私は否に一票を投じる。こんな作品を発表することに意義があると本気で信じているなら、精華小劇場に未来はないと思う。なぜなら、この作品は何も成し遂げていないからだ。

 この作品は何を目指していたのか。チラシには以下のような文言がある:
かつて、舞台芸術はさまざまな芸術とつながっていた。美術、写真、音楽、または哲学や社会学など、お互いが緩やかに影響を与えあっていた。しかしそれぞれの分野で専門性が高くなり、お互いに越境することが難しくなった。今、芸術作品が普遍性を取り戻すためには、専門性を高く保ったまま芸術の分野を飛び越え、広い視野で社会を捉えることが必要となっている。舞台芸術作品が、遠い存在になってしまった現在、本作品は普遍性を取り戻し、現代社会を照射する作品となることを目指している。
 「現代社会を照射する」とはどういう意味なのか不明だが、そもそもこの試みと作品には決定的に欠けている点がある。それは、作品によって表現したかったコトは何か、だ。

 芸術というのは、手段であって目的ではない。美術も音楽も詩も演劇も、それによって表現したい「何か」が存在するから価値があるはずだ。もしそういう「何か」がないなら、それは“芸術”ではなく単なる“技術”だ。優れた芸術作品は、観賞者に何らかの変化を与える。さもなくば存在価値がない。松田正隆と松本雄吉は本作で観客にどのような変化をもたらしたかったのだろうか。

 少なくとも私にはイキシマから何も伝わってこなかったし、何を伝えようとしているかも読み取れなかった。私に見る目がないだけかもしれないが、見る目がある人にしか伝わらないなら、それこそ「遠い存在」と言うものではないか。

 この作品を構成している個々の“部品”はどれも上質だったと思う。役者はいい演技をしていた。舞台美術にも圧倒された。映像も音も光も魅力的だった。しかし全体像が意味不明なのだ。いわば、黄金のタイヤとプラチナのハンドルを付けた自動車のような印象。

 比較的よく劇場へ通っている私でさえこの調子なのだ。もし舞台芸術を観たことのない人がイキシマを観劇したら、どう感じるだろう。ほとんどの場合、「なんだかスゴイけど意味不明」となるのではないか。それで舞台芸術はどんな価値を持つと言えるのだろうか。演劇は現代社会にとって必要なものだと主張することができるのだろうか。

 神との対話を目指すなら客席は不要だ。現代社会における舞台芸術の役割と可能性は何か。社会はそこに何を求めているのか。説明はいらないが、次の作品では納得できる回答を示してほしい。

2010/02/19-19:00
精華小劇場製作作品「イキシマ」
精華小劇場/前売券3500円
テキスト:松田正隆
演出:松本雄吉
出演:芦谷康介/大熊隆太郎/岡嶋秀昭/沙里/金乃梨子/高澤理恵/速水佳苗/宮川国剛/宮部純子/山下残
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2010年02月11日

dracom Gala公演「対局時計」

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拘置所の独房に、喋り続けている男がいる。しかし、それはほんとうに喋っているのかどうか定かではない。
そして、そんな彼の隣の独房にひとりの男が新たに入った。そこで始まったふたりの会話は、思わぬ方向で盛り上がっていく……
(チラシより)

 簡素な舞台で戯曲は難解。恐らく役者の力量が相当に必要とされる作品だと思われる。主役はとても良かった。モノローグなのかダイアローグなのか判然としない(させない)語り方が逆に観客を取り込んでいく。

 物語の筋はいまいちわからない。状況はだいたい飲み込めるのだが、結局なんだったの?という疑問が残った。答はあるかもしれないし、ないのかもしれない。しかし、独特の雰囲気を醸しだしつつ延々と喋り続ける男の様子が良かったし、観ていて飽きない。多分、そういう味わい方で良い芝居なのだろう。

 “良く分からないけど面白かった”というタイプ。個人的には嫌いじゃないです。

2010/02/11-17:30
dracom「対局時計」
ウイングフィールド/当日券2300円
作・演出:筒井潤
出演:穴見圭司/筒井潤/村山裕希/神藤恭平
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2010年02月06日

劇団鹿殺し「スーパースター」

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 子供の頃から、スーパースターに憧れていた。でも、僕にはなれないことも解っていた。スーパースターになる人は星を持っている。僕の歩んできた人生の中にも星を持っている者はいて、彼らは僕と違った。『才能』だとか、『環境』だとかで言い訳できるものではなく………星を持って生まれたとしか言いようがない。今、彼らが何をしているかは知らない。大人になって星を手放してしまった者もいるだろう。僕はというと、相変わらず星を掴めないかと試行錯誤している。僕は一生悩み続けるドン・キホーテなのだ。
(チラシより)

 劇団鹿殺しの10周年記念公演第一弾。私がこの劇団の公演を観るのは「僕を愛ちて。」「ベルゼブブ兄弟」に次いで3回目。

 結論から言うと前2回に比べてインパクトは薄かった。期待が強すぎたのかもしれない。もちろん、ほとんどの他劇団に比べたらパワフルさは極めて高い。相変わらずの“アツさ”だ。舞台装置もすごかった。三階建てのアパートに見立てたセットを使った演出は客席を圧倒していた。

 ただ、描かれているテーマは兄弟と家族の確執みたいなもので、前に観た二作品と非常によく似ている。それがこの劇団あるいは作家の得意分野なのかもしれないが、私の中ではマンネリ感が生まれはじめているのだ。たまたま私が観た作品がそうだっただけかもしれないが、この劇団のパワーが発揮できるテーマは決して限定されるものではないはずなので、もっと違った手法も観てみたい。

2010/02/06-19:00
劇団鹿殺し「スーパースター」
アイホール/当日券3900円
作:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
音楽:李
出演:オレノグラフィティ/菜月チョビ/丸尾丸一郎/山岸門人/橘 輝/傳田うに/坂本けこ美/
高橋戦車/山口加菜/西田夏奈子/森貞文則/高木稟/政岡泰志/狩野 淳/田中蕗子/田中瑛祐/千田美智子/中本章太/和田真季乃
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2010年01月31日

劇創ト社 de ネクタルグン「10人写楽」

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時は、江戸の寛政年間。蔦屋重三郎率いる版元「蔦屋」では喜多川歌麿を筆頭に、多種多彩な才能がその腕を競いあっていた。そんな折、突然「東洲斎写楽」なる謎の絵師の浮世絵が売り出され、あっというまに人気沸騰!まさに寝耳に水の「蔦屋」の面々。んなヤツ、誰も知らねーし、「写楽」ってだれよ?丁々発止の写楽佐賀市が始まった!
一方、現代日本では、謎の美術品窃盗集団が暗躍中。狙いは、主に警備の薄い個人所蔵の二級の美術品。が、なにをとち狂ったのか、狙いを「東洲斎写楽」の浮世絵に絞る!何故、危険を冒してまで写楽を狙うのか?疑心暗鬼の強奪計画が発動する。
全く時代の違う二つの集団の物語が、『東洲斎写楽』というキーワードを軸に、コインの裏と表となり、進んで行く。そこに、浮かび上がる真実とは…
(チラシより)

 上手に造り込まれた戯曲と、動きの良い役者陣、適度なアドリブ。小劇場の芝居として実に正統派な演出で、観劇経験の少ない人にも安心して勧められる良作でした。

 舞台装置がシンプルなのに、江戸時代の場面の衣装が豪華なおかげか、貧相な感じはまったくありません。10人という役数は実際は江戸時代と現代があるので20人ですが、覚えきれなくならない適度な数で観やすかったと思います。

 ただ、江戸時代と現代で物語に何か繋がりがあるのかと思って観ていましたが、そういうわけではなかったのが少し残念でした。ラストはちょっとだけ繋がる感じもしますが‥‥。

2010/01/31-13:00
劇創ト社 de ネクタルグン「10人写楽」
シアトリカル應典院/当日券3500円
作・演出:城田邦生
出演:石原正一/木内義一/末満健一/田所草子/那伽けん/永見陽幸/濱本直樹/福山しゅんろう/前渕さなえ/山浦徹/湯浅崇
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2010年01月23日

ルドルフ×このしたやみ「熊」

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決、闘、です。
チェーホフの傑作一幕劇『熊』、2つの演出・キャストで同時上演。
(チラシより)

 夫を戦争で亡くしてただ嘆くばかりの日々を暮らす未亡人の元へ、夫の同僚だったという男が尋ねてくる。彼は夫に貸した金を返してほしい、明日までに銀行へ利子を払わなくてはならないと言う。しかし未亡人は、今は手元に金がないから明後日まで待てと応える。承知できない男はそのまま居座ろうとするが‥‥。

 約40分の短編で、基本的に喜劇だ。ルドルフは普通の舞台セットで最初から割と喜劇的な雰囲気を出す演出だったのに対し、このしたやみは極めてシンプルだが何か象徴的な舞台セットで、演出も喜劇的要素は控え目だった。

 どちらが優れているか決めるようなものではないので両方それなりの楽しみ方が出来たが、何より演出次第で同じ戯曲がこれほど違うものになることを見せつけられたのが心地よかった。同様な試みは昨年2月にも「人は死んだら木になるの」でも実施されて、その時もこのしたやみは参加している。今後もこういうスタイルの上演は観てみたい。

2010/01/23-15:00
ルドルフ×このしたやみ「熊」
アトリエ劇研/前売券2500円
作:チェーホフ
<ルドルフ>
演出:筒井加寿子
出演:岩田由紀/駒田大輔/中嶋やすき
<このしたやみ>
演出:山口浩章
出演:二口大学/広田ゆうみ
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2010年01月17日

ザ・パンタロンズ「ハラダマークII」

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「ルイちゃんの恋愛救済計画」
インターネットのコミュニティサイト、ニコニコシティで呼びかけられたその計画に本田祐二は参加するハメになった。
本田は目標のない日常から抜け出し、パソコンの中に非日常を求めるいまどきの青年である。

ルイちゃんがもてあそばれ、今も忘れられずにいる男の名は河野雅弘。
偶然にも、本田と河野は高校時代の友人であった。

計画の主催者である女は「真実の執行人」を名乗り、本田の働くコンビニに河野をおびき寄せ、河野を銃で撃つ!!

女の放った銃は「真実の銃」
放たれた銃弾は河野の心を貫き、河野の真実をむき出しにする。
しかし、女の口から告げられた名はルイちゃんではなく、高校時代の同級生「原田芳江」
女は原田芳江の恨みを晴らすために計画を実行したのだ!!

影の薄かった彼女の思いでは、本田と河野の記憶の奥底にしまい込まれ、消えようとしていた。
必死に思いだそうとしていたその時、本田は自分の記憶が曖昧な事に気づく・・・

イクエの言った、たった一言のヒント「原田芳江はチャダおなの!」
この言葉を鍵に、本田と河野は記憶の奥底を探す旅に出る。
(チラシより)

 出演者がAチームとBチームに別れて、10人中6人がダブルキャストという公演。どういう経緯でこうなったのかは分かりませんが、私はAチームを観劇しました。

 チラシにかなり細かく粗筋が書かれていましたがあまりよく見ていなかったので事前情報なしで観劇しましたが、特に問題はありませんでした。かなり忠実な粗筋なので内容には触れないが、なんとなく映画「トータル・リコール」を思いだす設定です。舞台での回想シーンなどはややこしくなりがちですが、そこそこ上手に作られていました。

 全体になんとなく若手劇団特有の未熟さと空回り具体が感じられました。盛り込みたいものが多いのはわかりますが、もっと洗練されると良いのではないかと思います。

 ただ、公演全体をお祭りのようなイベントに仕立て上げる努力と成果には感心しました。舞台は単に観賞するだけの作品ではなく、公演全体を含めた“ハレの場”なのですね。

 残念ながら客演でしたが、店長役の人が抜きん出て面白かったです。役柄もあるんでしょうが、風体がぴったり。

2010/01/17-17:00
ザ・パンタロンズ「ハラダマークII」
ロクソドンタブラック/当日券2000円
脚本:中沢祐輔・吉行由
演出:吉行由
出演:八田浩司/吉行由/恩地徹(B)/ハジメスモモ/丸山貴世(A)/赤坂桜(B)/凛子(A)/竹下佑美(B)/西野内仁志(A)/櫟原将弘(A)/日高尚志(B)/GA-KO(B)/中田一歩(A)/流石矢一(B)/藤本佳世子(A)/津川寛之
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