そこは、とある戦場。最前線に送り込まれた部隊と、(チラシより)
彼らに救援物資を持ってきた部隊とが、最前線を挟んでなかなか会えない。
腹は減る。幻聴が聞こえる。上空を飛行機が行く。現実から逃れるためフォークダンスを踊る兵士たち。
踊っていれば、機は来るさ。そう、彼らに言い渡された指令はひとつ。最前線にて待機!
再演希望アンケートでダントツ1位だったという本作、私が観るのは今回が最初ですが、なるほど再演希望が寄せられるのもうなずける内容です。
両側に観客席が設置された舞台は円形で、物語に合わせて時々回転するという趣向。舞台が回ること自体が実は伏線になっているのですが、細かい話をすると全てネタバレになってしまうので言及しません。
惹句にあるように、これは戦場の物語です。しかし敵は登場せず、前線部隊と補給部隊が「本隊に戻るかここで待機するか」で延々としょーもない議論を繰り広げる場面が続きます。
その間抜けな会話がなんともおかしいのですが、衝撃のラストシーンまで含めて考えると、極めて日本的な戦争劇と言えるでしょう。欧米人やイスラエル人は多分こういう芝居は作らない。彼らの国家と戦争に対する思想はこういう視点ではないから。
しかし日本人にとっては心の琴線に響く作品だと言えるだろう。もしまた再演されることがあったら、誰か友人を誘いたいと思った。
2008/05/31-15:00
売込隊ビーム「最前線にて待機」
新・ABCホール/前売券2800円
作・演出:横山拓也
出演:山田かつろう/三谷恭子/梅本真里絵/宮部謹次/小山茜/西田和輝/杉森大祐/草野憲大/尾方宣久/真心