先日観劇した風琴工房「ゼロの柩」で主役の娘の先輩役を好演していた好宮温太郎が長男役で出演していたので観に行くことにした。ニューフェイス公演なので本来は別の役者が演じる予定だったのが変更になったようで本チラシには載っていなかったが、たまたま変更を知り得たので足を運ぶことが出来た。
芸能花伝舎は廃校になった小学校を改装して文化施設としたもので、今回の会場も完全に「教室」だった。1階なので窓の外は校庭。その構造を生かして窓から人が出入りしたり、出ていった人がはるか向こうまで走って行くのが見えたりする演出も楽しかった。
複雑な過去とすっきりしない現在を生きる長男を中心に、兄弟・夫婦・親戚・同居人・友人・仕事相手・昔の先輩といった様々な人間関係が混然とした集団が、慣れ合いと緊張の微妙なバランスを保ちながら物語が進む。
長男のしている仕事は何だか怪しげではっきり言わなかったり兄弟の父親が失踪した理由だとか長男と同居人の関係とか色々なエピソードが現れるが、最後まで何かの結論がでることはない。ラストも特にクライマックスはなく穏やかに幕が引かれる。
しかし好感の持てる舞台だった。明確な起承転結を示すのではなく、そこに流れている空気が心地よいタイプの芝居だったと思う。確かに心地よかった。
2005/11/5-19:00
タテヨコ企画「まつりのあとのまつり」
芸能花伝舎/ウェブ予約1800円
作・演出:横田修
出演:好宮温太郎/青木慎一/市橋朝子/服部健太郎/青木亜希子/舘智子/児玉敬子/佐藤真義/舘完