曖昧な衝動は誰のため?(チラシより)
県庁所在地から遠く離れた所に、今では合併し、市となった町があった。
そこは漁業や養殖を主としている海端の、さびれた町。
姉妹が小さな家に住んでいる。
家に帰ると、突然母は消えていた。
姉妹は、母の親類から月々生活できるだけの金額を振り込んでもらっている。
姉妹は普通に暮らしている、頼れる人間がいなくなった事を除けば。
姉妹は喪失感を、何とか昇華させようとする。
そこには、いつも猫がいた。
頭のいかれた姉妹が普通の男女を拉致して地下室に監禁し、意味不明な虐待を続けていく。囚われた男女もまた、徐々に徐々におかしくなっていく。
久々にコテコテのアングラ芝居を観たと思う。説明もなく、救いもなく、教訓もない。この作品が何を描こうとしたのかも理解できないが、何かを描こうとしていると思うこと自体が野暮なのだろう。
芝居の質は十分に高いと思う。客演でうまい役者を揃えており、ともすれば陳腐になりがちな狂気と狼狽の演技がじわじわと伝わってくるものだった。
赤星マサノリはどんな役でもハマリ役に見えるからすごい。そして稲田真理は目を合わしたくないくらい怖かった。次にどんな作品をぶつけてくれるか楽しみだ。
2008/04/20-13:00
伏兵コード「棄権」
in→dependent theatre 1st/当日券2800円
作・演出:稲田真理
出演:赤星マサノリ/山浦徹/遠坂百合子/安元美帆子/チャーハン・ラモーン/稲田真理