声が聞こえた(チラシより)
様な気がした。
それが気のせいである事をあなたは知っている。
あなたの耳は随分と前から聞こえないし
最近では目もほとんど見えない。
でも確かに聞こえた気はするので、
あなたはゆっくりと後ろを振り返ってみる。
(後略)
五人の役者と四台のラジカセで演じられる芝居、芝居というか前衛的なパフォーマンスというか、断片的な情景描写のような心象風景のような何か。普通の演劇を見慣れた目には新鮮で意外なものだったが、それでも魅力的な作品だった。
テープに録音された声と役者が掛け合うのはなんとも奇妙だが面白い光景で、これに似た手法はもっと使われてもいいような気がする。そうすることによって何がどうなるというものでもない(つまりその手法でなければ表現できないものがあるというわけではない)が、下手に映像を使うよりよほど印象的な効果になるだろう。
正直者の会の作品は初めて観劇したが、いつもこういう特殊な演出なのだろうか? 少なくとももう一度は観てみたいと思う。
2008/03/08-19:00
正直者の会「届かない所」
精華小劇場/当日券3000円
作・演出:田中遊
出演:朝平陽子/岡嶋秀昭/田中遊/豊島由香/藤原大介