勝さん、悟さん、一人とばして翔君なの。(チラシより)
確かに彼女はそう説明したらしい。
ここに同じ写真がある。
悟兄さんと翔の間‥‥そこに移っているのは私だ。
いつも私だけが忘れられる。
悔しいわけではない。
むしろ当然のことだと思える。
私はなるべく派手な服を着ている。
四つ子を含む男六人兄弟。
MONOの新作はとても愚かな兄弟達の話です。
うまいなあ、というのが第一の観後感。主人公は四つ子の兄と養子の弟に挟まれた目立たない五男という設定で、最初はいかに彼が忘れられやすいかというエピソードで楽しく盛り上がる。それが次第にどろどろした愛憎劇になっていくが、すべて最初からちゃんと伏線が張られているため展開に違和感がない。
兄弟達の愚かさ加減も実にほほえましく、愛憎劇と言いながらも最終的には(ほぼ)ハッピーエンドになるため、心地よく観終えることができた。
HEP HALLで公演するような作品はそれなりにお金もかかっているのか、舞台装置も立派だった。おそらくこの作品の場合、立派な舞台装置がある方が軽い雰囲気になるだろう。もし素舞台でやろうとしたら、もっとずっと重くなってしまう気がする。
それにしても、「派手な服を着ていても存在感の薄い主人公」という難しい役を演じた尾方宣久は大変だったろう。しかしちゃんとそういう雰囲気を出していたから立派なものだ。
2008/03/01-15:00
MONO「なるべく派手な服を着る」
HEP HALL/当日券3800円
作・演出:土田英生
出演:奥村泰彦/水沼健/金替康博/土田英生/尾方宣久/本多力/亀井妙子/山本麻貴/松田暢子