咲子はゆく(チラシより)
夜桜散り乱れる本州北端
青森恐山へ
ブラウン管からブラウン管へ
映り行き行き移りゆく
駄目な彼氏を血で染めて
その代償に片目を失くし
誰もが惚れゆく笑顔を振りまき駆け抜ける
男は弄ばれる!
不遇の姉妹は見送るばかり!
イタコは死人を呼ぶばかり!
嗚呼!!
全てを晒して
全てを晒され
咲子はゆく!
行方不明の少女を探す尋ね人のポスターがある。最初はテレビでも報道され、しかしやがて忘れられていく。そんな少女のことを忘れられず、探し続けた青年が恐山にたどりつく。イタコの口寄せで少女と対峙すると共に、自分自身の姿とも向き合うことになる。
オカルトというかアングラというか、一種独特なおどろおどろしい雰囲気が漂う作品。時々息抜きのように軽いギャグが交えられるが、それがちょうどよくスパイスになってテーマが引き立つ。
どうやら少女は猟奇的な犯人に誘拐されたようなのだが、少女自身もまた普通の人ではなくなっていて、青年を止めようとする連中はこの世の者か否かも曖昧であり、そして青年もまた・・・。という具合に絡み合いながら物語は深みにはまっていく。
特に主人公を始め男性キャラの不気味さが良かった。ウイングフィールドの狭い舞台の持つ閉塞感とあいまって、精神がどっかに行っちゃってる人の持つ悪い空気がどよどよと迫ってくる感じだった。こういうのは小劇場の味わいどころだと思う。
2008/01/20-18:00
尼崎ロマンポルノ「映りゆけ咲子」
ウイングフィールド/当日券2000円
作・演出:橋本匡
出演:森田真和/西川さやか/橋本匡/村里春奈/堀江勇気/平井佐智子/松田卓三/花田綾衣子