2007年12月16日

桃園会「追奏曲、砲撃」

〜木元敏弘の祖母が亡くなって百日法要が行われる。その後の財産処理の為、彼は父親に相続権の問題をどうするか連絡した。父親はおよそ三十年前に家族を残して家を出て、現在は沖縄に住んでいる。新しい家族がいる。敏弘は中学の頃に一度会いに行ったきりで、それ以来会っていない。祖母の葬式にも彼は顔を出さなかった。音信は途絶えたまま、父親も、彼も、お互いの声を聞くのは二十数年ぶりである。物語は冬の大阪の繁華街と、冬の沖縄の海の見える父親の家を行き来しながら展開する。…〜
(当日パンフより)

 桃園会を観るのは二度目。前回は岸田國士の戯曲だったが、今回は主催の深津氏による作・演出。要約すれば、失踪した父と残された母子の難しい関係と、そこに引っ掛かりながらもどう振る舞うべきか決めかねて逡巡する息子の物語。

 簡素な舞台装置は橋になったりバーのカウンターになったりしながら、少しだけ幻想的なエピソードも絡みつつ、沖縄と大阪が交錯する。これといって大きな仕掛けはないが、穏やかに組み上げられた演出で心地よく芝居の世界に引き込まれた。

 終演後のアフタートークで深津氏が語ったところによると、大部分が彼自身の実体験だという。文字通りドラマみたいな人生だが、それであのひょうひょうとした風体が得られるのは作家になったからだろうか。

2007-12-16-19:00
桃園会「追奏曲、砲撃」
精華小劇場/当日券3000円
作・演出:深津篤史
出演:紀伊川淳/寺本多得子/はたもとようこ/亀岡寿行/長谷川一馬/小坂浩之/アマノテンガイ/生田朗子/樋上真郁/川井直美/橋本健司/森川万里


posted by #10 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関西観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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