昨日は続くよどこまでも(チラシより)
長女、長男、次男。長女が亡くなり、次男が家を出て、長男の両親が残った家。大掛かりなリフォームの途中で母が倒れ、家事などしたことのない長男が一人残っている家に次男が帰ってくる。
個人的には、人の死を用いて感動を演出する舞台は安直な気がして好きではない。この作品のように「優しい幽霊」を登場させるのは特にそうだ。まだ生きている母親までも半分その役回りで。加えて兄弟の確執とその和解と来たら、感動させるためにちょうどよいテーマを並べ立てたようにしか思えない。
しかし裏を返せば、そういうベタベタな展開を堂々と演じる芝居も決して多くはない。アンチテーゼがいつの間にかテーゼの座を得ると、過去のテーゼがアンチテーゼとして復活するのか?
テーゼとアンチテーゼが輪廻のように繰り返されるとしても、観客の目線がどんどん高みに昇っていくわけでもないのなら、作品として新鮮さは失われることなく持続するのだろうか。
周囲の観客はかなり真剣に感動していたと思う。そんなにウルウルするほどの作品とはどうにも思えなかったのだが、それは私が芝居を観すぎたせいなのかもしれない。
2007/10/21-18:00
空晴「きのうのつづき」
作・演出:岡部尚子
出演:上瀧昇一郎/平本光司/川下ともこ/小池裕之