死なれるのか(チラシより)
死ぬのか
チラシ中央に書かれたこの言葉がコピーなのかどうか。
一人の大学生を中心に、怒ってばかりいる姉、引きこもっている兄。空回りしている大学の友人は携帯ばかりいじっている妹にベッタリ。それから兄の元へ訪ねてくるおばさん。そして、自分の影の声。そんな登場人物たちが延々と織りなす、彼の周囲と彼の内面の騒がしい何か。
友人の妹と兄の関係とか、姉の素行とか、粗筋らしきものも無いわけではない。しかし全体に叙情詩的であり、最終的には外界の出来事も主人公の内面描写の一部として取り込まれていく。
そういう面でここまで徹底した作品は、ありそうで意外となかったように思う。受け止めるのに体力が必要だ。観て楽しいかどうかはさておき、見応えはあった。
色々あって、主人公は最後に自殺を選ぶ。唐突に出てくる展開で一瞬意外に感じるが、すんなりと納得できる流れでもあった。一見すると苦渋に満ちた生活に嫌気がさして逃げ出したかのようだが、恐らくそういうことではない。もっと冷静な選択、悪く言えば無気力な幕引きなのだろう。
なんとなくわかるような、わかってはいけないような、苦い後味と肩こりの残る観劇だった。
2007/10/13-19:00
コレクトエリット「ありがたき幸せ、つまりはありがとう」
-IST[イスト]零番舘/当日券2000円
台本:べかお
演出:松本絵理とべかお
出演:木原勝利/菅本城支/泉寛介/サリngROCK/松本絵理/杉田真吾/重田恵