日本海に面した小さな港町。(チラシより)
地元の夏祭りが終わると男は性格が一変していた。
医師の診断は脳の障害という曖昧なものだった。
彼の妻はすっかり人格の変わった夫に戸惑いを感じつつ、世話をする。
そして、結婚以来これほど自分が必要とされていたことは無かったことに気づく。
彼女は密かに幸福を感じていた。
男は、街を徘徊し、誰かと出会い、何かを学習する。
一方、彼と出会った人々は何かを失ったようだった。
そして、徐々に町に奇病が流行りだす。
そんなある日、男は妻に打ち明ける・・・。
久々にうるっと来る舞台が観られた。ラスト間際はある意味ベタな展開なのだが、そうくるとは思わなかったのでやられたという感じ。
以前にも聞いたことのあるタイトルだと思って確認したら2005年にも上演しており、小説化したものがダ・ヴィンチに連載もされているので、どちらかを目にしたのだろう。いずれにせよ、再演の価値がある作品だと思う。
どの役者もハマリ役と思わせる演技だが、特に主人公の夫婦は上手かった。宇宙人に取り憑かれた夫が最後に妻からあるものをもらってほんの少しだけ変化するのだが、そのほんの少しの差が実に良かった。
また再演してくれたら誰かを誘いたいと思う。
2007/09/29-19:00
イキウメ「散歩する侵略者」
HEP HALL/当日券3500円
作・演出:前川知大
出演:安井順平/岩本幸子/宇井タカシ/盛隆二/國重直也/町田晶子/日下部そう/内田慈/浜田信也/瀧川英次