イラストレーターで作家の沢野ひとし氏の自由奔放な半生を、自伝調のナレーションをリーディングするように描く。映画の予告編のように目まぐるしく場面転換が続き、普通の演劇とは少々イメージが違う。
燐光群と言えば社会派的な舞台が多い印象だが、今回は一味違うエンターテイメントだった。沢野ひとしの作品はほとんど知らないが、戦後の混乱期に米軍相手のバンドに飛び込んで以来、芸術家にありがちな?女性遍歴や家庭崩壊まで実にドラマチックな半生が押し寄せてくる。
舞台の組み方が工夫されている。少し客席側に傾斜した大きな板が、舞台上の舞台のように鎮座しており、多くの芝居がその上で演じられる。だが派生的な、あるいは注釈のような部分はその外側に置かれた小道具を使って表現される。周囲にはごちゃごちゃとモノがあって、中央はまっさらな板張りという構造だ。これが視覚的に良い効果をもたらしていた。
2007/07/14-19:00
燐光群「『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に改題されたか、あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか。」
精華小劇場/当日券3600円
原作:沢野ひとし
作・演出:坂手洋二
出演:中山マリ/鴨川てんし/川中健次郎/猪熊恒和/大西孝洋/江口敦子/樋尾麻衣子/内海常葉/宮島千栄/久保島隆/杉山英之/小金井篤/桐畑理佳/阿諏訪麻子/安仁屋美峰/高地寛/伊勢谷能宣/嚴樫佑介