変な住人ばかりが暮らす古いアパートに男女がやってくる。女は昔、生まれたばかりの赤子を殺して服役していた元看護士。同行してきた男は彼女が出所して社会復帰する上で再犯撲滅のため、生活を共にすることになる付き人。新生活ははじめから波乱続きだったが、被害者夫婦が彼らを見つけ、破綻へと突き進む。
この劇団のカラーらしいが、登場人物は一人としてマトモではなく、みんなどこか歪んでいる。やることなすこと暗いし陰湿。物語もひたすら不幸と破綻に向かい、救いもない。こういう芝居は絶対メジャーになりえないと思うが、その一方で中毒になる人もいるだろう。
幸せな気分になれる作品や笑える芝居は他にいくらでもある。ただ暗い気分になるしかないような舞台をなぜ金を払って観に行くのか、自分でもよくわからない。不幸な人を見て自分の幸せを確認したいのだろうか。平凡な生活にちょっとだけスパイスを求めるにしては悪趣味すぎる。とは言え、こういう作品が見られることこそ小劇場に足を運ぶ醍醐味ではないかと思う。
それにしてもまさかあのシーンで終わるとは思わなかった。救いがないにも程がある。でも個人的には嫌いではないので、次回も観に行くのではないかと思う。
2005/06/11-18:00
乞局「耽餌〜たぬび〜」
王子小劇場/前売2500円
作・演出:下西啓正
出演:秋吉孝倫/下西啓正/田中則生/三橋良平/石井汐/酒井純/古川祐子/安藤裕康/佐野陽一/吉田海輝/五十嵐操/加藤めぐみ/松岡洋子
2005年06月11日
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