知らねえよ、お前の気持ちなんか。(チラシより)
派遣社員である箕輪は、人と触れ合うこともなく孤独な日々を送っていたが、ある日、それに耐えられなくなり、隣室に住む大学生の木田を脅迫し、無理やり自分の親友にさせる。そして、より多くの友人を獲得するため、木田が入っている大学のサークルに入り込む。そのサークルは「まなざしの会」というもので、活動内容は会員同士お互いに見つめ合うこと。誰がなにをしているのか絶えずケータイで連絡を取り合い、お互いに気を使い合って優しく話を聞いてあげること。「まなざしの会」に箕輪が入り込み、気を使わずに本音を吐露することによって、表に出ていなかった会員たちの疑心暗鬼や不満が表面化し、会は崩壊の一途を辿る。
上記のあらすじでは箕輪という人物が異常者で木田などは被害者のようだが、実際は全員が異常者だ。ある場面で異常者に絡まれている正常者に見えた人物が次の場面では異常者の本性を表していく。というパターンが繰り返される。実に気持ち悪い。
最終的にはやっぱり箕輪が一番異常者なのだが、もしかしたら一周りして彼が一番正常かもしれないと思わされたりする。いや違うだろ。
水素74%はいつもちょっと(または、とても)頭のおかしい人物が出てくるが、今回はスカッとするほど全員おかしい。こういうのが好きな人にはたまらないだろう。私もその一人だ。でも小劇場に慣れていない人を連れて行ったら吐くかもしれない。
いい意味でとても気持ち悪かった。
2015/04/18-19:00
水素74%「誰」
こまばアゴラ劇場/当日清算2800円
脚本・演出:田川啓介
出演:浅井浩介/鮎川桃果/折原アキラ/野田慈伸/前原瑞樹/長谷川洋子/吉田彩乃/山科圭太
舞台美術:袴田長武
照明:山口久隆
音響:池田野歩
衣装:正金彩/荒川智都
舞台監督:大地洋一
宣伝美術:根子敬生
宣伝写真:伊藤佑一郎
制作:松尾愛海
芸術監督:平田オリザ
技術協力:鈴木健介
制作協力:堤佳奈