光が射し込んで、明るい部屋が燃えます。拍手と笑顔の誕生日が灰になる。(チラシより)
祖先になるために生きるというマダガスカルの民族に会いたくて、決死の覚悟で部屋を出た。
もちろんまた帰るつもりでした。
帰ったらもう一生、温かい部屋で穏やかに過ごすつもりでいました。
しかし帰ると、部屋がない。
モノも家族も何もなく、ただ空白が広がって、親切な人が教えてくれた。
「あなたの部屋は蒸発したよ」
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五月からつくり続けてきた「空白の色はなにいろか?」最終公演。
最近はすっかり「自然」に飽いてしまって、人の身体の使い方、声の出し方、喋り方、それらをいかに工作して遠くへ行けるかばかり考えています。
私たちが「自然」だと思っているもの、「人間」だと思っているものの、拡張、凝縮、増幅、さまざまな変形を探します。
上記のコピーでは内容がまったくわかりませんので補足。ある日突然失踪した夫を待つ妻のところへ、謎の女が訪ねてくる。夫の不倫相手かと疑うが、女はのらりくらりと意味深なことを繰り返すだけで、夫の居場所は明かさない。確かに夫は妻に黙って借りた部屋で女と過ごしていたが、愛人とかいう様子ではない。二つの部屋が交錯し、様々な時間が交錯し、失踪の真意は藪の中。
60分程度の短編で出演者は3人だけで、上下に作られた舞台装置はなかなか工夫されている。照明もうまく作られていて、しっかりと世界を構築していた。
しかしとにかく肩がこる芝居だった。座席に背もたれがなかったせいかもしれないが、観ている間ずっと全身にひどい疲労感があり、終演後は首やら肩やら関節がバキバキ鳴りまくるはめに。内容は決してきらいではないのだが、体に合わなかったのかもしれない。せめて背もたれのある椅子だったらよかったのに。
2015/01/24-14:00
鳥公園「空白の色はなにいろか?」
STスポット/当日精算2800円
作・演出:西尾佳織
出演:浅井浩介/武井翔子/西山真来
舞台監督:本郷剛史
舞台美術:中村友美
照明:中山奈美
衣裳:藤谷香子
宣伝美術:鈴木哲生
制作:萩谷早枝子