2015年01月17日

水素74%「こわれゆく部屋」

kowareyukuheya.jpg

社会に順応していくことを成長と見ることもできるし、麻痺だと見ることもできると思います。
おかしいとか許せないとか思っていたことに目をつぶり、仕方ないと飲み込むのが大人。
あるカップルが同棲する部屋が舞台です。
彼女は彼の純粋なところが好きだと思っていたが、生活の中で純粋さは幼稚さに見えてくる。
彼には、社会の中で成長していく彼女が麻痺していくように見えてくる。
ふたりの関係が崩壊していくまでを描きます。
(チラシより)

 早くに両親を亡くした姉妹。妹は16歳で家出して10年帰ってこなかった。その妹が彼氏を連れて帰ってくると、姉は近所の頼りない男と同棲していた‥‥というシチュエーションから始まり、静かだが重い数日間。

 妹が家出した理由は何だったのか。妹の彼氏という男は本当に彼氏なのか。姉とその同棲相手はうまくいってるのか。いろんなことが結局はっきりしないまま、淡々と物語は進む。そしてラストシーンの姉妹の会話に全てのエピソードが集約される。妹のあの一言の意味を示すためににここまで語られてきたのだと、納得させられるのだ。

 物語の描き方はとても秀逸だと思った。平田オリザ的なスタイルかもしれないが同時発声などはなく、沈黙を効果的に使った演出は染み入ってくる。登場人物各人が抱える背景と葛藤が少しずつ示されていくが、本当に大事なことは語られず、観る者の察しに委ねられる。

 派手さは無いが的確な演技の役者陣も良い。多くの作品が語りすぎる中で、こういう描き方はとても好ましく思う。

2015/01/17-19:00
水素74%「こわれゆく部屋」
こまばアゴラ劇場/当日精算2500円
脚本・演出:田川啓介
出演:兵藤公美/柳沢茂樹/工藤洋崇/富田真喜/木下崇祥
舞台美術:角田知穂
照明:山口久隆
音響:池田野歩
衣装:正金彩
舞台監督:大地洋一
演出助手:粕谷知世
宣伝美術:根子敬生
宣伝写真:伊藤佑一郎
制作:松尾愛海
芸術監督:平田オリザ
技術協力:鈴木健介
制作協力:堤佳奈


posted by #10 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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