わたしは、時間が止まった未来からきました。(チラシより)
世界の言葉を翻訳するあなたに、
お願いがあってここにきました。
「わたしたちの時間を、どうか、動かして。」
翻訳をする男とその編集者、未来からきたという女、
複数の物語によるモザイク模様の一年の話
内容は上記のコピーで語り尽くされている。重なりあう物語は翻訳家が書いている内容だろうか。少女を監禁する男(『コレクター』みたいな)。ギリシャから来たと言いはる少年たちと、ブタ(こいけけいこにブタをやらせるとはいい度胸だ)。春夏秋冬の人形(人形であることは後でパンフ見て知りましたが)。
「奇跡」という言葉は非常に良いことがあったという意味かと思ったら、逆でした。チラシの解説によると、奇跡の年とは1666年のロンドンをさす言葉とのこと。ペストの流行、第二次英蘭戦争による大きな海戦、そしてロンドン市内のおよそ五分の四を焼く大火災があったという。ただしこの作品が1666年を舞台にしているわけではありません。舞台は現代。そこに未来から来た女。
現実の社会を映すようなセリフもしばしば織り込まれ、その度ドキリとさせられる。出てくるエピソードは総じて嫌なことばかりだけど、なぜか悲観的ではありません。未来から来た女も悲壮な様子ではなく、困ってるんだけど何とかならへん?みたいな雰囲気。
作者が何を語ろうとしたか多分完全には理解できていないのだろうけれど、ステキな諦めとそれなりの希望が感じられました。
2015/01/12-14:00
趣向「奇跡の年 ANNUS MIRABILIS」
神奈川芸術劇場大スタジオ/当日精算2800円
脚本:オノマリコ
演出:扇田拓也
出演:井内勇希/池田朋子/大川翔子/こいけけいこ/桑原史香/斉藤まりえ/笹野鈴々音/芝博文/関森絵美/扇田森也/吉田能/和田華子/和田真季乃
ムーブメント:小林真梨恵
照明:富山貴之
音響:島貫聡
衣裳:富永美夏
舞台監督:小野哲史
制作:趣向制作部(石田よめ/飯塚なな子)
サポートメンバー:浅見絵梨子/佐々木啓成/FRAN)
宣伝美術:秋澤一彰
舞台写真:牧野智晃