
あの夏、僕はお節介な母ちゃんの頭めがけて金属バットをフルスイングした。(チラシより)
短い野球人生で僕の金属バットから響いた最初で最後の快音だった。
やみくもに逃走したが、どこまで逃げても誰も追ってこない。お腹もすいたし、恐る恐る帰ってみたら居間からいつもと変わらないTVの音と母ちゃんの笑い声!?
なんか知らんが母ちゃんが生きていた。そして、更なるお節介を焼きだした。
あれから14年、東京で「売れないバンドマン」から「売れなかったバンドマン」になろうとしている解散ライブの日、いつものように母ちゃんが楽屋でバンドメンバーにおはぎを配っている。
暴走しすぎるお節介な母ちゃんにもう一度フルスイングで決着をつける。だけどもう僕の手元に金属バットはない。
もちろん神戸アキコが演じる母ちゃんのキャラは強烈で面白いのだが、実際?はすでに死んでいるという事実と、解散ライブという場面設定から根底に流れる切なさがあり、泣き笑いに近い。あのラストは予想できたはずなのにできなかったので、ほろりとした。
印象としては前作「ウォーターバック」よりは今回の方が良かったと思うが、神戸さんのキャラに頼っているウェイトは今作の方が大きい。もしかすると前作はその点の意識もあったのかもしれない。まだ当分は期待して観ていきたい。
2014/08/16-18:30
ぬいぐるみハンター「おせっかい母ちゃんリビングデッド」
駅前劇場/事前振込3300円
脚本・演出:池亀三太
出演:神戸アキコ/猪股和磨/梅本幸希/森崎健吾/土田香織/羊田彩佳/ジェントル/結城洋平/浅見紘至/辻沢綾香/橋口克哉
舞台監督:本郷剛史/小川陽子
音響:角田里枝
照明:中佐真梨香
イラスト:佐野恵一
衣装:横内なつみ/藤井美沙
演出助手:田中優佳里
制作:田村浩子/mono.TONE
制作協力:会沢ナオト
企画協力:嶌津信勝