父親のいない「私」は、恐山の麓の村で母と暮らしている十代の少年。楽しみはイタコに父親の霊を呼び出させて会話をすること。「私」の家の隣には他所から嫁入りした若い人妻が住んでおり、意中の人。ある日、村にやって来たサーカス団員から「私」は、外の世界の事を聞かされ、憧れを抱く。「私」は家出を決心し、同じように生活が嫌になった隣の人妻と共に村を離れる。駅で待ち合わせ、線路を歩く二人・・・・・ここまでが映画監督になった現在の「私」が製作した自伝映画の一部。「もし君がタイムマシーンに乗って数百年をさかのぼり、君の三代前のおばあさんを殺したとしたら、現在の君はいなくなると思うか」と批評家に尋ねられる。・・・・「私」は、少年時代の自分自身に出会う。映画で描かれた少年時代は脚色されており、真実ではないと言い放つ。「私の少年時代は現在の私の嘘だった」「作られた記憶の暗闇に少年が見たものは何か?」(サイトより)
…という説明文はあるものの、演出が天野天街である。あまりに特徴的なスタイルに脚本が飲み込まれ、結果的に流山児事務所による少年王者舘とでもいうべき作品になっていた。
流山児事務所のファンで少年王者舘を観たことがない人にはなかなか新鮮だったかもしれないが、両方知っていると、コラボレーションによって何か新しいものが生まれているという印象はなく、単純にふたつのスタイルを合わせただけのように感じられた。
もちろんクオリティは高いレベルにあるので、何かこう、せっかくのコラボなんだから何かもう一工夫欲しかったと思う。
2014/03/08-14:00
流山児★事務所「田園に死す」
ザ・スズナリ/当日清算4200円
脚本:寺山修司
演出:天野天街
出演:大内厚雄/伊藤弘子/小川輝晃/木暮拓矢/深山洋貴/小林七緒/冨澤力/柏倉太郎/平野直美/沖田乱/中田春介/蒲公仁/眞藤ヒロシ/坂井香奈美/阿萬由美/山下直哉/荒木理恵/山丸莉菜/小寺悠介/竹田邦彦/辻京太/飯塚克之/日下部そう/後藤英樹/桜井玲奈/藤村直樹/酒井和哉/藤村一成/小林夢二/鶴田理紗/宮川安利/佐原由美/艶嬢さとみ/さとうこうじ/流山児祥
音楽:J・A・シーザー
美術:水谷雄司
照明:小木曽千倉
音響:岩野直人
振付:夕沈
映像:浜嶋将裕
舞台監督:伊東龍彦+小林岳郎