2005年05月22日

しずくまち♭「穴ヲ食ベル」

 すべての女性が死滅し、残った男達は不老となった世界。ダンディズムに生きるよすがを見出した男達は、失われた女の記憶を取り戻すために女と子供と“造った”。彼女たちの出現によって男達は少しずつ変わっていく。

 女のいない世界の男達を女優が演じ、造られた女を男優が演じる少々奇妙な舞台。最初は滑稽だったが、不思議なものですぐに見慣れて、シリアスな場面でも違和感なく観られた。

 設定は明らかに無理があるが、それは言うまい。「男らしくない」と言われることが最大の侮辱となっている世界の男達が、女の出現によってどんどん心をかき乱されていく様子は物悲しい。奇抜な設定の世界でややベタな展開、そして少々意外なエンディング。バランスのとれた秀作だったと思う。

 音楽が全て生演奏なのもとても良かった。「芝居者と音楽家の表現ユニット」と書かれているのでここはいつものことなのだろうが、是非他の劇団でも取り入れて欲しいスタイルだ。録音されたBGMは舞台の外から投げ込まれる音にすぎないのに対し、舞台上での生演奏は(たとえ奏でられる音がわずかだったとしても)何倍も確かな効果を持ち得ると思うから。

2005/05/22-19:30
しずくまち♭「穴ヲ食ベル」
麻布die pratze/当日券3500円
作・演出:ナカヤマカズコ
出演:諏訪友紀/伊藤美紀/下中裕子/坂本華子/飯野さくら/由田豪/ナカヤマカズコ/山崎龍一/岡島仁美/朴井明子
演奏:堀米綾/海月たか子/生形憲市郎/侘美秀俊
posted by #10 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(1) | 東京観劇1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
名古屋で芝居をしていました七待と申します。
名古屋にいらっしゃった時から、#10さんの観劇の記事は楽しみにしていました。

実は昨年、私も「しずくまち♭さん」のお芝居を観たのです。
生演奏素敵だなー、と思いました。

あんまり今回の記事へのコメントではないんですが、
なんとなく知っている劇団の名前があがっていたので、コメントしてみました。
これからも観劇記事楽しみにしております。
では。
Posted by 七待 at 2005年05月25日 19:26
 コメントありがとうございます! 七待さんの舞台拝見したの覚えていますよ。なんだか頼りになりそうなお姉さんでした。
 なかなかコメントしてくれる人がいなくて寂しいので、どんどん突っ込んで下さい。
 ところで「七待」って何とお読みするのでしょうか?
Posted by #10 at 2005年05月26日 21:31
舞台見ていただけたのですか。
とても嬉しいです。ありがとうございます。
ちなみに名前は「ななまち」と読みます。
Posted by 七待 at 2005年05月27日 08:46
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しずくまち♭「穴ヲ食ベル」
Excerpt:  芝居者と音楽家の表現ユニット「しずくまち♭」の公演「穴ヲ食ベル」が麻布die pratzeで開かれました(5月19日-23日)。2002年に改名していますが、前身の劇団から数えると、活動歴は14年に..
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Tracked: 2005-06-16 15:30