弥次と喜多は、この世の“リアル”を求めて江戸を出発し、お伊勢参りへと旅立つ。とある宿にたどり着いた二人は、雨で足止めをくらう。幾日も降りしきる雨の中、そこは次第に行く当ての無い想念で満たされ、二人は“夢”と“現(うつつ)”の狭間を揺れ動く。もはや江戸を出発したのかどうかでさえ定かではなくなり、幻想的な時間と空間が交錯し、二人の悪夢がユーモラスで不条理に展開していく。(サイトより)
サイトに書かれている「日本演劇界の至宝」「小劇場演劇のひとつの到達点」という評価はさすがに大袈裟だが、全くの誇大妄想というわけでもない。少なくとも日本の小劇場における不条理演劇としては究極だと思える。芸術的あるいは耽美なナンセンス芝居だ。
伊勢に行くはずの弥次さん喜多さんが宿の一室で繰り広げる物語は、ひたすらグルグル回るばかりでちっとも前に進まない。しかし通常の少年王者館に見られるリピートとは趣向が異なり、エスカレートして輪から逸脱して、また新しいグルグルが始まる。
10年前に七ツ寺共同スタジオで観劇した作品だが、意外と覚えていた。冒頭で飛んでいってしまうところや出前のくだりは今でも斬新だ。さらにあと10年くらいは残してほしい作品だと思う。
2013/09/28-14:00
KUDAN PROJECT「真夜中の弥次さん喜多さん」
こまばアゴラ劇場/事前入金3305円
原作:しりあがり寿
脚本・演出:天野天街
出演:小熊ヒデジ/寺十吾
舞台美術:田岡一遠
美術製作:小森祐美加/山中秀一/中村榮美子
照明:小木曽千倉
音響:岩野直人
映像:浜嶋将裕
小道具:丹羽純子
衣装:田村英子
作曲:珠水
振り付:夕沈
舞台監督:井村昂
宣伝美術:しりあがり寿/アマノテンガイ
制作:山崎のりあき/加藤智宏/山本麦子/小熊秀司
運営:西村和晃