
わたしのココロ、勝手に癒やさないで。(チラシより)
脳科学と心理学の進歩により、「心の病」はこの世からなくなろうとしていた。
ある事件で心に深い傷を負った緒方は、熱心なケアによって心の平穏を取り戻した。
今ではケアする側に回って、日夜、悩み苦しむ人々の治療に取り組んでいる。
そんな緒方の元に、ひとりの患者が送り込まれてきた。
自らの犯した罪を悔やみ、重度の精神疾患を患うその患者は、
かつて緒方を絶望の淵に叩き落とした、張本人だった。
家族を失うといったトラウマはまだ抱えていないが、心の病と仕事の悩みは他人事ではない。この話に出てくる人々の症状と状況はある意味とても身近だ。そして、こういう治療法が登場したらきっとかなりの人がそこにすがるだろう。嘘でもいいから幸せに浸りたいという叫びは実にリアルだ。
壁と床にペンキをぶちまけたような抽象的な舞台セットが、ほどよくリアリティを和らげる効果を発揮していた。アフタートークでも触れられていたが、こういう話であまりにリアルなセットを組んだら観る方も疲れてしまうだろうから、良いバランスだったと思う。
この劇団を観たのは初めてだが、良い印象。次回作にも期待したい。
2013/08/24-19:00
ガラス玉遊戯「癒し刑」
王子小劇場/支援会員
作・演出:大橋秀和
出演:菊地奈緒/菊地未来/園田裕樹/立蔵葉子/林剛央/ヒザイミズキ/星野恵亮/松下仁/宮崎雄真/与古田千晃
舞台監督:本郷剛史
照明:工藤雅弘
広報写真:キベジュンイチロウ
舞台写真:奥山郁
宣伝美術:サノアヤコ
広報宣伝:寺坂智子
制作:はっとりとみえ/井上恵子
制作協力:岩田直子/こうのみか/荻沼恵