
バカげた天啓が新谷家に降りてきたのは、初夏のことだった。(チラシより)
新谷桂蔵は、ぴんと来た。この丸い地球を負かすための、**が降ってくる。それもそう遠くないうちに降ってきて、人類は滅亡する。
桂蔵は**に勝つための訓練を始めた。
ほぼ同じ頃、桂蔵の妻である和子もぴんと来て、和子もまた、**に勝つための訓練を始めた。
互いが互いの行為に気づいたとき、ふたりは確信する。
ああ、大丈夫だ。私たちは、永遠に、終わらない。
こゆび侍、第11回本公演は、今さらの世界の終わりの話と、その終わり方を知ってしまった家族の話。
上記のあらすじにある「**」が何なのかは結局わからないが、そこは重要ではないのだろう。隕石でも恐怖の大王でもなんでも、どうしようもない何かによってとにかく世界が終わろうとしている。そのことになぜか気づいてしまったら、最後の時をどう過ごすだろう。
この物語の中心となる夫婦は、家族であることをとても大切にしようとしていた。二人をとりまく人々は、それぞれ悩んだり戦ったり遊んだり、立場も態度も色々だ。全体としてのまとまった方向はなく、淡々と人々を描く群像劇だ。
ラストシーンはまさに世界が終わろうとする瞬間だ。その時彼らがどうしてあの行動をとったのかわからない。主人公夫婦は当然そうするだろうけれど、他の人までがそうしたのは、その瞬間を迎える寸前に同じ天啓を受けたのだろうか。
2013/06/22-14:00
こゆび侍「きれいなお空を眺めていたのに」
王子小劇場/支援会員
脚本・演出:成島秀和
出演:廣瀬友美/佐藤みゆき/島口綾/小園茉奈/小野寺ずる/近藤茶/篠原彩/白川哲次/墨井鯨子/勢古尚行/富山恵理子/日暮玩具
脚本協力:セリザワケイコ
舞台監督:橋本慶之
照明:兼子慎平
音響:佐藤こうじ
美術:原田愛
小道具:辻本直樹
宣伝美術:オカヤイヅミ
プリンティングディレクション:青山功
WEB:川連太陽
配信ディレクション:神澤俊也
演出助手:阿部ゆきのぶ
演出部:長友美聡/松田七美
制作:塩田友克