
仕事。というか会社の話です。私は会社員を10年やったという経験の持ち主です。ふ。みなさんの中にはアルバイトをしている人も多いでしょう。その目的は言うまでもなく、生活の糧、お金を稼ぐことです。もちろん会社員だってそうです。しかし、昔はお金というより、仕事自体が生きる目的になっている会社員も多かった。今でもずいぶんそうでしょう、国民性でしょうか。「会社」ってなんだったんだろう、って震災後思ったりしています。(チラシより)
演劇的な抽象や象徴みたいなことでは少しもなくて、ただ単に、例えば、わたしはあなたが嫌いで仕方がない。しかしこの仕事のために好きになる努力をしている。もし、仕事を一緒にしていなかったら、とっくにあなたを殺しているだろう、大げさに言えば。あなたはこの仕事のおかげでわたしに殺されずにすんでいるのだ、みたいなことです。よろしくお願いします。
(青年団の山内健司さんとは別人のかつて会社勤めをしていた山内ケンジ)
どこかの会社のオフィスが舞台。何を売っているのかはよく分からないが、営業部隊らしい。バリバリのキャリアウーマンといった雰囲気の女性部長と、真面目そうだが頼りなさそうな課長。その下で働く営業マンたちと、それを支える若い女性事務員という顔ぶれ。
物語の中心は仕事ではなく、社員同士の恋愛やら痴情のもつれ的なドロドロ展開。そのくせ、大問題が生じると「そんなことより仕事だ」と言って見て見ぬふりをし始める。効率の優先というタイトルはそういう部分を皮肉ったものだろうが、しかしこの話で皮肉るべきポイントはもっとあるんじゃないかと感じた。
会社が舞台というので、リアルな中身だったらろくに仕事のできないダメ社員に自分を重ねてしまうのではないかと心配したが、しっかりと荒唐無稽なストー リーだったので大丈夫でした。いや、色恋沙汰なら現実にそんな感じの会社もあるかもしれないが、あんなに全然仕事してない職場はないだろう。
もちろん、リアルじゃないからこそ面白いし笑えるのだが。
2013/06/15-15:00
城山羊の会「効率の優先」
東京芸術劇場シアターイースト/事前入金3500円
脚本・演出:山内ケンジ
出演:鈴木浩介/石橋けい/岡部たかし/岩谷健司/金子岳憲/松本まりか/白石直也/松澤匠/吉田彩乃
舞台監督:森下紀彦/神永結花
照明:佐藤啓
音響:藤平美保子
舞台美術:杉山至
衣裳:加藤和恵/平野里子
宣伝美術:螢光TOKYO+DESIGN BOY
イラスト:コーロキキョーコ
制作助手:平野里子/渡邉美保
制作プロデューサー:城島和加乃