2013年06月08日

千葉雅子×土田英生「姐さん女房の裏切り」

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なんで俺を見捨てたんですか?
あんたが私を「姐さん」と呼ぶからだよ
二十年前。暴力団組織の組長の妻だった女と鉄砲玉だった男。


二人は抗争の時、ホテルにいた。二人の関係が組関係者にバレることを恐れた二人は逃亡する。
その抗争では多数の死亡者が出た。それは男の犯行ということにされ、警察からも指名手配されてしまう……。
それから年月は流れた。彼らは名前を変えて、とある地方都市で隠れて暮らしている。
姉さん女房である女は五十歳を過ぎてもスナックで働き、少し年下の男はヒモのようになっている。愛情なのか、仕方がないのか、行きどころもない二人は仲睦まじく暮らして来た。近所でも評判のおしどり夫婦だ。そんな二人の日常に、忘れていた闇が忍び寄る。暴力団と警察による追跡。二人は再び逃げなくてはいけない。そして女は……。
(チラシより)

 劇団MONOの土田英生と猫のホテルの千葉雅子、共に劇団を主催して作・演出・出演する二人による二人芝居。アフタートークで語られた話によると、飲み会の席で発案された企画だという。「長く上演されるレパートリーを創作する試み」とあるように、恐らく様々な役者や演出家が様々なスタイルで上演できる、そして何度観ても楽しめる作品だと思う。

 厳然たる二人芝居だ。一人で何役もやるわけではなく、あくまでも登場人物は二人だ。電話で他の人と会話する場面はあるが、声や姿は出てこない。舞台は二人が暮らすマンション(いや、安アパートか)の部屋のみ。こういうシンプルな舞台は好みだ。

 二人の関係はあらすじに書かれているが、しかし微妙な力関係や立場はじわじわと変化する。いや、実際に変化しているのではなく、真実が少しずつ見えてくると言うべきだろう。最初は男が女を支配しているように見えるが、実際はうまいこと操縦されている。

 最終的に女は男を裏切る。それはタイトルから明らかで、大事なのは彼女が裏切りを決断するまでの感情の流れ、葛藤の様子だ。いやまあ、脚本も役者もうまいものだ。そして彼女に裏切らせてしまう男のバカっぷり、気づかなさっぷりを極めて自然に演じた土田英生もすごい。ああいう間抜けな悪人の役はしばしばやっているが、今回は実にはまっていた。

2013/06/08-18:30
千葉雅子×土田英生「姐さん女房の裏切り」
サイスタジオコモネ/当日清算3800円
原案・出演:千葉雅子
作・演出・出演:土田英生
舞台美術:奥村泰彦
音響:堂岡俊弘
照明:葛西健一
衣裳:今村あずさ
演出助手:須藤黄英
舞台監督:藤田有紀彦/佐々木智史
宣伝美術:榎本太郎
宣伝写真:引地信彦
宣伝ヘアメイク:大宝みゆき
制作助手:山岸萌
制作:垣脇純子/本郷麻衣/小山佳織/大橋さつき


posted by #10 at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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