
いつの時代かは分からない。(チラシより)
とにかく、そこには窃盗団を名乗る男たちがいた。
世界に爪痕を残そうと、次々と悪事を繰り返す。
しかし、手応えがないのだ。うぶな彼らは今日も空をさまよう。
海賊ならぬ空賊と言ったところか、飛行機(飛行船?)を使って飛び回る窃盗団が主人公。そして舞台はずっとその飛行機の中だ。この設定はどうしても以前とくお組がやった「雲をつかむような話」を思い出してしまう。ただし話の展開はまったく違う。そして、ちょっぴりだが風刺らしきものが伺われた。
いつものようにMONOの作品に出てくる人たちは大体がヘタレだ。窃盗団と言ってもそんなに荒っぽいことはできない。子供の頃に窃盗団のかっこよさに憧れてただけで窃盗団になったような連中だ。実際に略奪行為をするような場面はなく、準備段階でつまづきまくって何もかも失敗する。
窃盗団としての迫力は皆無だが、人間的な面白さはあふれている。決して魅力的な人物ではない。変なプライドがあったり、些細なことで微妙に傷ついたり、ネガティブに落ち込むとキリがなかったり、はっきり言ってめんどくさい。そのめんどくささが何ともリアルで、一緒に仕事するのはごめんこうむるが眺めているだけなら楽しい。
ただ、展開や結末はあまりパッとせず、せっかくの設定が生かせていなかった印象だ。5人しか出てこないからだろうか。つまらないわけではないのだがMONOの他作品と比較すると物足りない。好きな劇団なので、次回はがんばってほしい。
2013/03/24-14:00
劇団MONO「うぶな雲は空で迷う」
赤坂レッドシアター/事前入金4000円
作・演出:土田英生
出演:水沼健/奥村泰彦/尾方宣久/金替康博/土田英生
舞台美術:柴田隆弘
照明:吉本有輝子
音響:堂岡俊弘
衣裳:大野知英
演出助手:磯村令子
舞台監督:青野守浩
宣伝美術・宣伝写真:西山英和/大塚美枝
制作インターン:斎藤美和子
制作:垣脇純子/本郷麻衣/小山佳織