
くちづけを待ってるくちに花を挿す入れ物みたいな女はひとり(チラシより)
ミュージカルならぬ妙ジカルと称する音楽的な演劇作品。タイトルはもちろんオスカー・ワイルドの「サロメ」を下敷きにしているのだが、ストーリー展開は全然違う。数組の男女の仲が交錯して描かれるが、名前はみんなサロメとヨカナーンであるという不思議な状態。
ナンパ男と通りすがりの女性だったり、恋人だったり夫婦だったり、行きずりだったり熟年夫婦だったり。どの組も決して順風満帆とは言えないが、様々な「愛」の形を表現しているようであり、反復される音楽は中毒性すら感じられた。そして3000個のチュッパチャプスを天井から吊り下げるという舞台美術が印象的だった。
音楽劇なので上演中はとても中毒性を感じる音楽が反復されるのだが、あまりにサラサラとした印象は感覚をすり抜けてしまうようで、少し時間が経つと感想だけ残して音の記憶は消えてしまう。同じようなことを言っている人が他にもいたが、これが意図したことならすごい。でも多分偶然だろう。
2013/02/10-14:00
FUKAIPRODUCE羽衣「サロメvsヨカナーン」
東京芸術劇場シアターイースト/当日清算3200円
プロデュース:深井順子
脚色・演出・音楽:糸井幸之介
出演:深井順子/日高啓介/鯉和鮎美/高橋義和/澤田慎司/伊藤昌子/西田夏奈子/大西玲子/浅川千絵/中林舞/加藤靖久/代田正彦/岡本陽介/ゴールド☆ユスリッチ/藤一平/枡野浩一
原案:オスカー・ワイルド
舞台監督:渡辺了
照明:松本永
音響:佐藤こうじ
音響操作:寺澤光
編曲:堀田秀顕
振付:木皮成
映像:杉田協士
衣装:吉田健太郎
宣伝美術:林弥生
チラシ絵:糸井幸之介
チラシ短歌:深井順子
制作:坂田厚子/大石丈太郎/林弥生