これは、ある一家の4年間にわたる大晦日の夜を綴った物語。ひとつの戯曲、ふたつの土地の言葉。年を越え出会う、鎌倉と会津の冬。それぞれの夜のしじまを、ぜひ2本合わせてお楽しみください。(チラシより)
4年間の、鎌倉の家の大晦日。同じような会話が繰り返されながら、少しづつ状況が変わっていく様子が穏やかに描かれる。最初は田舎の古くて大きな家の話かと思っていたが、そうではなくもっと普通の住宅街の話だった(鎌倉編と会津編があって私が観たのは前者だけなので、後者は旧家だったかもしれない)。
劇的なことが起こるわけではないが、ゆっくりと確実に変化していき、戻ることはできない切なさが醸し出される、しみじみした舞台だった。
地域全体が一気に造成された住宅街は、住人の世代が揃っているため、街が一様に歳をとってしまう。これはまさに私の実家に当てはまる状況で、すっかり年寄りの街になっている。いつか自分もこういう状況になるんだなあと終盤に思い至ってグサリときた。
2013/01/04-19:00
青☆組「初雪の味 -鎌倉編」
こまばアゴラ劇場/当日清算3500円
作・演出 * 吉田小夏
出演:荒井志郎/福寿奈央/林竜三/藤川修二/大西玲子/羽場睦子
舞台監督:森山香緒梨
舞台美術:濱崎賢二
照明:伊藤泰行
音響:泉田雄太
制作:新居朋子
演出助手:坂田駿/高橋ゆうき
方言指導:高橋ゆうき
芸術監督:平田オリザ