会議は踊る、(チラシより)
外はもう夏。
かつては自主自律を旨とし生徒による自治を誇っていたが、今はそんな伝統も死に絶えたどこにでもある進学校、国府台高校。
ある夏の日、唯一残った伝統にして、やたら長いだけの文化祭の為の会議“ナイゲン”は、惰性のままにその日程を終わろうとしていた。
しかし、終了間際に一つの報せが飛び込む。
「今年は、1クラスだけ、文化祭での発表が出来なくなります」
それを機に会議は性格を変え始める。
―――――どこのクラスを落とすのか。
かくして、会議に不慣れな高校生達の泥仕合がはじまった…!
高校の文化祭に向けて各クラスの代表者が集まってそれぞれの実施内容を検討する「内容限定会議」、略してナイゲン。奇妙な名前の会議だが、何かモデルがあるのだろうか。自治とは程遠い、ただひたすら誰かが作ったルールに縛られるだけの高校生たちの会議が踊る。
芝居としてはかなり面白かった。最初は退屈で不毛な会議が延々続くかと思いきや、途中から高校生特有の恋愛ネタが入り込むと爆発的に疾走し始める。話の緩急も各登場人物のキャラクターもよく際立っていて、戯曲として秀逸だと思う。再演を望む声が多かったというのも頷ける。
20代から30代の役者が高校生役を演じていたわけだが、違和感はほとんどなかった。本当の高校生が演じるより良いかもしれない。
そこに描かれた内容については思うところもある。個人的には、学校側の要求を拒否すべきと主張し続けた三年生に共感する。あんな理不尽なことになんであの程度しか反発しないのかね(フィクションだけど)。
自分はむしろ生徒の自主性をまったく尊重しない管理教育の高校で文化祭の実行委員をやったので、「いかにして自分たちのやりたいことを学校側に認めさせるか」が最大の課題だった。自主自律を重んじる校風なんていうのは、実際にはそういうものを養わないのではないかと思う。与えられた自由は、簡単に奪われてしまうのだ。
2012/09/23-14:30
アガリスクエンターテイメント「ナイゲン」
シアター・ミラクル/当日券2000円
脚本・演出:冨坂友
出演:甲田守/鹿島ゆきこ/金原並央/木村ゆう子/さいとう篤史/榎並夕起/長谷川一樹/斉藤コータ/淺越岳人/細井ひさよ/矢吹ジャンプ/信原久美子/塩原俊之
演出助手:濱洲史孝/山本佳耶
舞台美術:新保瑛加
音響プラン:安藤達朗
照明プラン:南雲佑
照明操作:南雲佑/和田麻里子
宣伝美術:清水桃菜
WEB製作:西川瑞己
制作:Aga-risk Entertainment制作部
上席特別顧問:小林大陸