扱われるテーマは重い。借金癖の母と鬱病の父を支えて店を切り盛りする娘が、やがて耐えきれず父を殺してしまう。その境遇に裁判官も涙したというが、彼女の友人は複雑な心境を整理しきれない。
芝居の大部分は、友人による回想だ。高校時代に、自転車で遠くまでひたすら走った記憶。それから久しく会わずにいた後に再会した時の、彼女の変化へのとまどい。全体的にこの作品が何を描こうとしているのか、観ている間はよくわからなかった。ただ主人公のラストの台詞で理解できた気がする。
2006/12/02-19:30
清流劇場「鬼の顔」
アイホール伊丹/当日券3300円
作・演出:田中孝弥
出演:船戸香里/魔瑠