2012年09月15日

アマヤドリ「フリル」

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けっこう、毎日は戦争だ

もうフリルなんかいらない
美少女フィギュアコレクターを夫に持つ主婦の「リコ」は、ある日、友人に夫の趣味を気味悪がられたことをきっかけにして彼の所有するフィギュアをすべて処分してしまいました。すると夫は、まるで魂が抜けたようになって一切のモノを所有・購買することを拒絶して暮らすようになってしまいました。やがて夫は、「僕には君を所有する意欲がない」と言い残して妻のもとを去っていきます。「リコ」は夫を理解しようと懸命に様々なマニアたちとの接触を試み、やがて裏原宿系のファッション・サークルのカリスマ的リーダー「アヤカ」と出会います。いつしかサークルの中核を担う実力者となったリコは、アヤカと共同でファッション・ブランドを立ち上げ、過激なスタイルを追求するそのブランドで少女たちの絶大な支持を得て嘘みたいな成功を収めます。自信を取り戻した「リコ」が冷やかしでかつての夫に会いに行くと、彼はなんと、「己の肉体のみを所有する」との理念をかかげる暗黒舞踏カンパニーのリーダーとなっており、遂にはすべてを所有しようとする「リコ」と夫との間に最終戦争が勃発したのでした。
(チラシより)

 ひょっとこ乱舞から改名?したアマヤドリの第0回公演。5月に横浜で「幸せはいつも小さくて東京はそれよりも大きい」、8月には利賀で「しあわせな日々」を上演して事実上3回目なのにまだ0回とか言ってるのはどういうつもりかと思うが、好意的に解釈すれば改名に伴って作風変更を意図しつつもまだコンセプトが固まっていないので、模索中ということなのでしょう。

 明白な起承転結はないけれど、いくつかの組の人間関係(夫婦だったり同僚だったり)の微妙な機微を描いたもの。面白かったり辛かったり、楽しそうだったり悲しそうだったり、でも総じてただよう雰囲気は「滑稽」だったように感じた。悪い意味ではなく、愛すべき人々の滑稽さだ。

 王子小劇場を横向きに使って横長のスペースを作り、さらにそれを奥と手前で細く分けるように巨大なフリンジカーテンが横断するという舞台装置。役者は時折そのカーテンを通り抜けるし、向こう側に置かれた椅子などがうっすら見えるので、仕切られ方の緩さが面白い。

 冒頭ではひょっとこ乱舞を思わせるダンスもあったが、全体としては踊り控えめ。乱舞が好きだった自分としては物足りないが、これもスタイルとしては悪くないと感じた。アフタートークで主催が語る言葉からも、まだ方向性が定まっていないことが伝わってきた。今後に期待したい。

2012/09/15-19:30
アマヤドリ「フリル」
王子小劇場/劇場支援会員
作・演出:広田淳一
出演:松下仁/根岸絵美/糸山和則/田中美甫/渡邉圭介/小角まや/榊菜津美/伊比井香織/鈴木由里/長瀬みなみ/中村梨那
舞台監督:上野智
舞台美術:大泉七奈子
照明:木藤歩
音響:相馬麗
衣装:矢野裕子
宣伝美術:山代政一/是永彩希
撮影:赤坂久美
制作:木村若菜/炭田桃子
posted by #10 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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