2012年08月04日

ミナモザ「国民の生活」

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「私たちはまだ、ショックが足りないの?」
2012年1月、東京の渋谷の近くに引っ越した。 外国人モデルの写真の横に¥999と書かれたH&Mの看板の下で、
大音量の音楽を流して走る広告カーが渋滞を起こしているこの街で、 私はたくさんのものを買った。
木製の大きなテーブル、赤いリュック、コンビニの傘、 1600円もするノンシリコンシャンプー、
アメリカンアパレルのストライプのワンピース、100均のスポンジ、 トマトとモッツアレラチーズのパニーニ、古着のTシャツ、
マニキュア、マスカラ、ファンデーション、ザクロのジュース、ダウニーの柔軟剤、スマートフォン、充電式の掃除機。
全部欲しかったし、全部私を楽しい気持ちにさせてくれた。全部が必要だったかはわからない。
たくさんのモノにまみれながら、私は電気のスイッチを切り、コンセントを引っこ抜く。
この「生活」は何? 「生活」は私たちを守る。「生活」は私たちを殺す。殺される前に、することがある。
今ここにあることと、これからのこと。資本主義と、その罪と、勇気、をめぐるショートピース。
(チラシより)

 四話オムニバス。外貨FX取引の勧誘員としょぼくれたサラリーマンの会話。デートクラブの女と彼女を買ったはずの男。自称詩人のダメ男とその彼女。反原発でもに向かう途上の女性二人。

 作者が“資本主義なんか糞くらえ”という気持ちを込めたとどこかで読んだ気がするが、むしろ、“資本主義に踊り踊らされながら懸命に生きてる人間万歳”といった感覚だろうか。

 タイトルに掲げた「国民の生活」という対象をこういう視点で切り取るセンスはすごいと思う。たしかに今日もこの国のどこかでは、こんな対話が繰り広げられているのだろう。それがドラマになるとは思いもせずに、目の前にいる人に向かって真摯に語りかけているのだろう。

 いわゆる劇的な展開もなく、悪くいえばダラダラと描かれる景色に、それでもある種の愛おしさを感じさせられる奇妙な舞台だった。

2012/08/04-15:00
ミナモザ「国民の生活」
Space雑遊/当日清算3000円
作・演出:瀬戸山美咲
出演:外山弥生/西山宏幸/西尾友樹/藤原慎祐/志水衿子/石田迪子/首藤健祐
舞台監督:伊藤智史
照明:上川真由美
音響:前田規寛
ドラマターグ:中田顕史郎
宣伝写真:服部貴康
宣伝デザイン:高田唯 
演出助手:オノマリコ
制作:おさださちえ


posted by #10 at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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