真夜中。潮の香り。爆音。煌々と照らされる白い顔。(チラシより)
海の近くに生まれ育って、潮の香りを嗅ぐとイヤでも青春を思い出しちゃう。
その思い出す青春の風景っていうのは、電気消して闇に潜り込んで色んな動画を見て過ごした夜の部屋なんだけど、夏場に窓を開けてたから、そこから入り込んでた潮の香りがフラッシュバックして青春を思い出すんだ、きっと。
実家からすぐの浜には、海なのになぜか河童が住んでるとか言われていて、まあ誰も信じてないわけだけど、高校生くらいのときに、その浜に浮浪者のオバサンが住み着くようになって、
町の人間から魔女だとか呼ばれてた。
河童は信じてないくせに、オバサンは本当に魔女だと思ってた。
「愛に溺れてるのよん。こんなでもまだ自分に期待してるのよん。」
魔女のオバサンは口癖のように言っていた。(続きは劇場で)
30歳になる女性が東京に出てきてからの10余年を振り返る話だが、回想と妄想が混然一体となっている上にカオスとしか言いようのない舞台美術と照明に飲み込まれて、だんだん頭がボーッとしてきた。観劇の体感としては悪くない。
女性が10余年を振り返ることから、トープレの「IN HER TWENTIES」を思い出した。比較するようなものではないが、トープレの描き方があまりに斬新だったので、悪い芝居がオーソドックスに見えてしまった。
河童の話は妄想なんだろうか、それとも本当に河童という設定だったんだろうか。そこがよくわからなかったが、演じた吉川さんが実に魅力的だった。サイトの説明に「紆余曲折を経て少しばかりセクシーさが増した」と書かれていたが、確かにそうだと思う。
悪い芝居はだんだん評価が上がっているようだけど、個人的にはもっとぶっ飛んでいた昔の方が、観ていて腹が立ったけど面白かったように思う。
2012/07/15-14:00
悪い芝居「カナヅチ女、夜泳ぐ」
王子小劇場/劇場支援会員
作・演出:山崎彬
出演:池川貴清/植田順平/大川原瑞穂/呉城久美/畑中華香/宮下絵馬/森井めぐみ/山崎彬/村上誠基/大塚宣幸/渡邉圭介/吉川莉早
音楽:岡田太郎
舞台監督:大鹿展明
舞台美術:東野麻美
照明:西崎浩造
音響:中野千弘
衣装:小柴友美恵
演出助手:進野大輔/北岸淳生
宣伝美術:植田順平/進野大輔
WEB:植田順平
広報:渡邊真
制作:有田小乃美
制作助手:池川貴清