
死ぬための友達は(チラシより)
本当のトモダチ
果たせなかった
夢のカケラを
笑いながら葬ってくれる
優しい友達
死ぬための友達は
本当のトモダチ
明日のランチの
話などしながら
不意に命すら奪ってくれる
力強い友達
死ぬための友達は
本当のトモダチ
もしかしたら
最期の刻まで
友達だと気づかせもしない
頼もしい友達
───ナト族の古い詩歌より
福島の立入禁止地域のそばにアトリエを借りた病気の画家とその主治医。そこにジャーナリストや国会議員になった旧友、路頭に迷いかけていた女芸人達などがやってくる。
最初は何の話かよくわからなかったが、少しずつ原発と隠蔽に関するものだとわかってくる。批判や風刺というよりも、強烈な憤りが台本の裏側でふつふつと湧いているような印象を受けた。比較的現地から遠い岐阜の劇団がこれを作って東京で演じることには勇気がいったのではなかろうか。
ラスト近くなってから主人公が本当の目的─現地への潜入調査─を始めるのだが、それまで彼がさほど語らなかったのでやや唐突だった。それは周囲を欺くためのことだったかもしれないが、この場合に観客まで欺いてもしょうがないのではなかろうか。
総じて、作者の思いは何となくわかりながらも、作品としてのメッセージは少々受け取り辛いものになっていた。
2012/07/14-19:30
劇団ジャブジャブサーキット「死ぬための友達」
ザ・スズナリ/当日精算3300円
作・演出:はせひろいち
出演:栗木己義/はしぐちしん/荘加真美/コヤマアキヒロ/小関道代/岡浩之/なかさこあきこ/相川出后/野村美幸/田中里実/柿野正人
照明:福田恒子
音響:松野弘
舞台美術:JJC工房
舞台監督:岡浩之
宣伝美術:奥村良文
制作:咲田とばこ/中杉真弓
制作協力:高橋俊也