そこは未来の日本の町工場。(チラシより)
未来といっても、
そこに広がる光景は我々になじみある、
むしろどこか懐かしさを感じさせるものである。
その工場で働く三兄弟。
そのネジが何に 使われているのか、
三人は知らない
三兄弟がギリギリ運営する田舎の工場に、ある日突然、腹違いの妹だと名乗る女とその彼氏がやってきて、工場をよこせと言う。
人情芝居的な雰囲気だが、「アレ」で次々と人が死んで喪服をしまう暇もなく、申請書を作って補償金を得て生活したり遠くへ移住を考えるなど、“汚染された土地”をイメージさせる表現が多々あった。直接的に原発の話が出てくるわけではないが、控えめながら重く問いかけてくる印象を受けた。
ただ物語にとってそれは背景に過ぎない。見所は三兄弟の掛け合いと、自称妹のツンツンぶりと彼氏のクズっぷり、そして(クロムモリブデンの板倉チヒロ演ずる)運送屋のすっ飛び具合だろう。あくまでも背景は背景として飲み込んだ上で、その世界に生きる人々を見守るように観劇した。
途中で何カ所か展開が飲み込めない部分もあった点と結末がいまいち飲み込めなかったのが難点だが、それ以外はよくできた作品だったと思う。
2012/06/23-19:30
タカハ劇団「ネジ工場」
駅前劇場/当日清算3600円
脚本・演出:高羽彩
出演:有川マコト/夏目慎也/山口森広/かんのひとみ/大佐藤崇/板倉チヒロ/春日由輝/水谷妃里
舞台監督:藤田有紀彦
舞台監督補佐:陶山浩乃
舞台美術:稲田美智子
照明:吉村愛子
音響:角張正雄
音響オペレーター:内野智子
宣伝美術・宣伝写真:羽尾万里子
プリンティングディレクター:青山功
舞台写真:林亮太
制作:feblabo
制作協力:嶌津信勝
制作補佐:丸山緑
プロデューサー:池田智哉