大鋏が実にお似合いで御座います、マダム。(チラシより)
ご婦人足るもの、大鋏で細部を刈り取るのは嗜みと言っても差し支え御座いませぬ。
虐げられ、身体の細部を切り取られて死んだ婦人は世を憎み、
「ジョギリ婦人」として刈込鋏を手に都市を闊歩します。
婦人と出会ってはいけません。
出会ってしまったらすぐに指を全部隠して──。
‥‥という都市伝説をモチーフにした物語。いつものように血が流れ人が殺し殺され死んでいくスプラッタな話だが、最近のデス電所の作品の中ではとても切なさや悲しさがしっかり描かれていたと思う。
前作「ストライクバック先輩」は“嫌な奴”が前面に押し出されていたのに対し、今回は“かわいそうな親子”、とりわけ悲嘆にくれながら狂気に走った母の話だったと思う。結末はある意味救われたとも言えるが、逆に完全に地獄に堕ちたという解釈も可能だろう。
比較的小さな劇場でしかも最前列で観たことが印象の違いになっているのかもしれない。次回からはもっと前で観るようにしたい。
2012/03/25-14:00
芝居流通センターデス電所「ジョギリ婦人」
「劇」小劇場/当日清算3500円
作・演出:竹内佑
音楽・演奏:和田俊輔
振付:豊田真吾
出演:山村涼子/田嶋杏子/丸山英彦/豊田真吾/福田靖久/浅見紘至/根田亜夢
舞台美術:吉野章弘
音響:大木裕介
照明:吉村愛子
衣装:itimiちゃん
小道具:原田鉄平
演出助手:小林佐和
舞台監督:デス電所演出部
制作:荒川ちはる/西谷加奈子/上村幸穂