次の朝、目覚めると(チラシより)
僕の彼女が増えていた。
ある夜、彼女が泊まりに来て、次の朝目覚めると彼女が増えていた。
その日から、僕と増えた彼女(たち)との共同生活が始まる。
若い君、大人の君、一途な君、嘘をつく君。どれも本当の君なの?
やがて彼女(たち)は僕に告げる。「話があるの」と。
マンガかアニメみたいな設定ですがストーリーはむしろ恋愛モノの王道に近い気がしました。主題はあくまでもカップルの気持ちと行動であって、彼女が増えたというのはそのための小道具に過ぎません。荒唐無稽なファンタジーかと思ったらものすごくシビアな現実を観せられたような舞台でした。
「彼女」の人格の様々な側面が独立した5人に分裂して、どの彼女が好きなのか…みたいな話を想像していましたが意外にそうでもない。分裂じゃなく増殖というか、「増えたらもっと一緒にいられると思った」とセリフにあるように、付き合い方の理想として増殖を試してみたような感じ。それでやっぱり一人がいいと思って戻ったり、もう一度増殖してみたり。それで彼氏の本音を探るような。
前半で普通に演じられた場面が、後半で心の声を重ねて再度演じられる。実はあの時こんなことを考えてたんだ、という種明かしのような演出。これ自体は珍しいわけではないが、脚本を書いたのが男性でありながら女性の心の声を描いているところがスゴイなあと思いました。上野友之はきっと半分女性に違いない。
2012/01/07-14:30
TOKYO PLAYERS COLLECTION「全 員 彼 女」
王子小劇場/当日清算2500円
脚本・構成・演出:上野友之
出演:加藤岳史/黒木絵美花/小鶴璃奈/近藤瑞季/冬月ちき/三谷有紀/安川まり/安田友加/李そじん
舞台監督:本郷剛史
照明:内山唯美
音響:田中亮大
演出助手:伊豫田一成
サポート:入倉麻美
宣伝美術:立花和政
広報:ギグルTV
制作:mono.TONE
制作協力:会沢ナオト