2011年11月19日

悪い芝居「駄々の塊です」

dadanokatamaridesu.jpg

芝居を観よう。芝居を観よう。どうせ観るなら「悪い芝居」を観よう。

何もかもが中途半端な街にデンと山があった。
山の頂きにその動物園はあった。
麓の町を追われた一万は飼育員として働いていた。

ある夜、動物園の動物がすべていなくなるという事件が起こる。

事件の翌朝、
動物園に突如現れた股間が光る男は、ツタヤにDVDを返しに行きたい。
事件の翌朝、
麓の街から直は、兄のいる動物園に向かう。
事件の翌朝、
体の側面に火傷跡がある誰太は、点子を後部座席に乗せ、
そのリムジンを動物園へと向かわせる。

動物園に偶然居合わせることになった人間たちが再び、
動物を追って麓の街を目指すとき、街は最後の夜を迎える。

当事者じゃないすべての中途半端な人々に送る、
最初の朝に起きた中途半端な希望の物語。
悪い芝居が満を持して放つ、1年ぶりの待望の本公演
『駄々の塊です』

すべてのことが、起こる。
ご期待ください。
(チラシより)

 展開としては上記のあらすじの通りで、加えるなら動物園のオーナーはホームレスを拾って雇ってあげているがろくな給料も払わない偽善者。動物がいなくなったことを知った時の彼の激怒ぶりがイマイチ理解できなかった。その他各登場人物がそれぞれ何かモヤモヤしたものを抱えているのだが、どれもスッキリしない。そのスッキリしなさ加減を巧みに舞台に載せた作品だとも解釈できるだろう。クライマックス的な演出のラストまでたどり着いても、モヤモヤは何ひとつ解決しない。もう、それでいいじゃんといった態度で幕を引く。

 演出面では、回転する舞台を巧みに使ってスピーディな場面転換を可能にしていた。さらに最後はチビ黒サンボのトラのようにぐるぐる回って全部溶け合ってしまうような形だ。回すのは人力だがあれだけスムーズに回るのはかなりのしっかり作られていたのだろう。それから今回はこれまでより派手な音と光も多用していた気がする。舞台装置は以前から凝っていたが、音響と照明におる演出でこんなに露骨なやり方は何か方針転換だろうか。しかしやや安直な印象があり、もっと役者による演技を活かしてほしかった。

 そして、なぜか解らないが従来に比べて挑戦的姿勢が後退した気がした。これまでにみた悪い芝居は、舞台上の覇気が客席まで襲ってくるような、既存の演劇の方法論を否定するような、その中からなんとか新しい表現を生み出して行こうとする意識が感じられたのだが、今回はむしろ舞台の上でまとまってしまったように見えた。舞台装置の構造のせいかもしれないが、役者の意識が舞台上に留まってしまっていたのではないだろうか。

 Twitterを見ていたら色んな人が絶賛しているようだが、悪い芝居のポテンシャルはこんなものじゃないはずでしょ?という気持ちを込めて、今回はあんまり面白くなかったと言っておきたい。

2011/11/19-15:00
悪い芝居「駄々の塊です」
王子小劇場/事前精算2500円
作・演出:山崎彬
出演:池川貴清/大川原瑞穂/植田順平/呉城久美/宮下絵馬/畑中華香/森井めぐみ/山崎彬/仲里玲央/大原渉平
舞台監督:大鹿展明
美術:東野麻美
照明:西崎浩造
照明操作:中島美沙希
音楽:岡田太朗
音響:中野千弘
衣装:小柴友美恵
演出助手:進野大輔/大原渉平
演出部:北岸淳生/奥田覚
web:植田順平
宣伝美術:植田順平/山崎彬
広報:渡邊真
メンバー:西岡未央
制作:有田小乃美
制作協力:坂本もも


posted by #10 at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック