ある時代に、戦争をしているどこかの国。陸軍基地内の居住区で、戦場へ行った家族を待つ女たちの暮らし。不安を抱えながらただ待つしかない生活の果てに訪れた大きな悲劇。
細かい状況設定などにはやや奇妙な印象があるものの、全体として強い説得力がありました。“泣ける”芝居ではないけれど、“胸を締めつけられる”作品です。
様々な形で親しいものの生と死に直面する人々の、様々な反応。そのどれもが共感可能でありながら互いにぶつかりあうものとして描かれ、その衝突もまた必然性があります。
登場人物の大半を占める女性たちのいかにもそれっぽいヒステリックな言動も、斜に構えて見れば愚かしいものですが、突き刺さるような悲痛さを感じさせられるものでした。
作者は男性のようですが、こういった女性の心理を描くのは本人のイメージだけに寄っているのか、あるいは女性の意見も取り入れているのか、その辺りがなんとなく気になりました。
個人的にはおもちゃさんがとても好み。強さと弱さと決断と迷いが同居する人物像を、とても自然に表現していました。
2006/08/27-19:30
机上風景「乾かせないもの」
タイニイアリス/当日券2000円
作・演出:古川大輔
出演:加藤更果/おもちゃ/川口華那穂/美穂丸/石黒陽子/村上由起/浜恵美/池畑佳苗/平山寛人/古川大輔
2006年08月27日
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