大阪弁を中国語とするアイデアは面白い。筋立てはトイソルらしく熱いものだが、全員で声を合わせるセリフが聞き取りにくい等、細部がトイソルとしては若干弱かったと思う。客演である花村広大の使い方が上手。
●よこしまブロッコリー「グルグルPlanet序章編」30分
序章編と銘打たれていることから次回(次々回?)作の予告編的なもののようだが、パントマイムのような演出(演技?)はうまい。少しずつ状況が明らかになっていく展開も良かった。本編を観たいと思う。
●FIRE☆WORKS ENTERTAINMENT「銀河鉄道FFF」90分
アクションがすごいのはF☆Wなので当然。展開も前作より向上している。パロディネタは自分がどこまで理解しているか自信がないが、おおいに笑わせてもらった。ただ前半に比べ後半はやや息切れ気味の感あり。
●乳牛テクノロマンス「ドリブルドライブ」30分
乳テク得意の青春もの。扱ったテーマが短編枠には大きすぎたと思う。しかし笑いを山本登のお菓子ネタ一本で押し通す姿勢は正解だったろう。同じテーマで2時間くらいの作品を作ればもっと良いものができると思う。
●試験管ベビー「試験管ベビーの日本昔話」30分
見事。あれほどの大人数が客席参加する光景は圧巻だ。最初から最後まで息もつかせぬ笑いの連続。下品でダークな笑いも彼らが発するとなぜか爽やかに聞こえる。この劇団が30分枠であることを惜しむ客は多かっただろう。
●シアターガッツ「レインボー・ミラクル・チェンジ!」90分
前々作の「キャノンマックスR」とやや似たような話だが、今回は実写の変身ヒーローもの。着ぐるみの完成度は非常に高く、展開も充実しているが、今回は客層が割と若かったので、こういう話がどこまで共感を得られたかやや疑問。
●ザ・シャカリキ「PIGGY BANK」30分
今回舞台に出た8劇団の中では唯一の初見。通常の公演がどんなものか分からないが、今回は演劇というよりショー。短時間なので、ネタを絞って突き詰めるのは正しかったと思うが、せっかくの舞台なので映像はもっと少なめのほうが良かった。
●ホチキス「脳とノート」90分
個性的で多彩なキャラが絡み合う展開はホチキスらしい。従来ほどクールな印象は受けず可もなく不可もなくといったところだが、小ネタと大ネタ入り交じり、観客を惹きつけるナンセンス世界は健在。
<全体を通じて>
朝11時から夜8時45分まで約10時間にわたって観劇を続け、体力的には疲れたが精神的には充実感が得られた。どの作品もほぼ同じセットで演じられたのは感心した。アートピアホールが全日ほぼ満席というのは素晴らしい結果だと思う。こういうイベントはぜひ来年以降も続けてもらいたい。