2004年12月14日

愛知県文化振興事業団プロデュース「water witch 〜漂流姉妹都市〜」

愛知県文化振興事業団プロデュース
「water witch 〜漂流姉妹都市〜」
愛知県芸術劇場小ホール
04/12/10-12
作:スエヒロケイスケ
演出:寺十吾
出演:夕沈/寶満公子/茂手木桜子/ジル豆田/畠中晴代/高橋由希/ヒート猛/中村榮美子/矢野健太郎


 30年近く引きこもりの長女、長女に虐げられながら離れられない次女、二人を放置して遊びまわる三女。いびつな三姉妹が経営する女性専用マンションの屋上で繰り広げられる、“ハードメルヘン/中年少女ブラックコミック”。三姉妹の憎悪と依存、怪しい計画で暴走する住民、半分偶然に越してきた女性警官、それらが微妙にからみあいながらも混ざることなく物語は進行する。

 第4回AAF戯曲賞受賞作とのことで、場所や団体を違えて何度か上演されている作品だが、私が観たのは初めて。スエヒロケイスケ氏の戯曲は今年1月の「XCOW XICOカフェイン/036ウォーター」を観たことがあるが、やはり醜態をさらし罵声を飛ばす人物が何人も登場する、濃密な作品だった。

 好き嫌いが分かれる‥‥という言葉はこの種の作品を評するときの常套句なので使いたくないが、あまりアングラ系の舞台を観たことのない客には刺激が強いのは間違いない。ただ少なくとも、今では社会問題として広く認識されている「引きこもり」について、安直なドキュメンタリーよりは長く心に残る「光景」だったろう。特に明確な結末がないことも手伝って余韻の残る舞台だと思う。

 ちなみにこの作品は、「AAF戯曲賞ドラマリーディング」として来年8月にも上演されることになっており、今年4月に長久手で公演して好評だったOrt-d.dが手がける(サイトプレマガの記事)。都合がつけばそちらも観に行って比較してみたい。


posted by #10 at 23:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このキャスティングの芝居を小劇場の値段で見られるとは、なんと贅沢な。

さて、このドラマリーディングのラインナップ、某アゴラ劇場や利賀などでは、おなじみさんばかり。
俳優も相互に出演とかしているので、Ort??d,dの倉迫さんは、ひょっとすると先日「夢乃プレイ」でしたように、劇場・俳優の、また、Reset??NがBeSeTo演劇祭でしたように舞台装置の「もうやあこ」をするかもしれませんね。
それとも、名古屋で現地調達するんでしょうか?

私としては、茂手木桜子出してほしいんですけど。
Posted by おおた at 2004年12月19日 21:47
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