2004年08月09日

E-style「有毒少女」

E-style
「有毒少女」
七ツ寺共同スタジオ
04/08/07-08
作・演出:遠藤のりあき
出演:河村梓/眞弓梓/竹田啓子/今枝千恵子/柏田有璃/木村萌/足立盟/西尾知里/清水美穂/浦麗/西泉/采野七待/新垣秀和/清水やすひろ/磯部うに/小川麻美


 黒の国と白の国に分かれて争う世界。毒を持つ白の姫の心臓を食った女は、同じく毒を持つ不老不死の双子を産み落とす。二人の娘は別々の国で育てられるが、白の国で暮らすナナシはその力を狙う何物かに追われることになる。多くの人々を巻き込みながらやがて二人は黒の国で再会するが・・・。

 主人公である双子を取り巻く多くの登場人物がそれぞれにエピソードを持ちつつ絡み合い、収束するらせんを描くように結末に向かって突き進む。時代や国は架空のものだが、繰り広げられるのは等身大の(でもドロドロした)人間関係であり、多様なキャラクターがいることで感情移入はしやすかったと思う。

 ただ、前半は複数の物語が並行する上に展開が小刻みで早いため、話に付いて行くのが大変だった。最終的にはまとまっていくのだが、主人公とそれ以外の描き方に濃淡が乏しいため、漫然と見ていると物語の中心線を見失いかける。また、演技で表現される状況と言葉で語られる背景のスケールに差がありすぎてギャップを感じた。

 出演者の大半が女優の上、キャバレーや娼婦街を舞台とするなどエロチックな描写が目立ったが、そういう演出が作品の中でどんな意味を持っているのかよくわからなかった(目の保養にはなるけれど、セクシーダンスが見たければそういう店に行くよ・・・)。雰囲気を出すための手法としては安直だと思う。

 役者では、以前から注目していた今枝千恵子の他、今回初めて観た新垣秀和の演技が良かった。今後に期待。

(#10)
posted by #10 at 01:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 名古屋観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一人の役者さんが複数の役を演じるのは前回と同じだが、今回は衣装を変えることで誰が何の役をやっているのかが明確になった。あれだけの衣装を用意するのは大変だったと思うが用意したのも使ったのも立派。なにせ名古屋の若手?カワイコちゃん(古っ)が服をとっかえひっかえ出てくるのだから華やかなことこの上ない。
 内容的にも十分満足できるもので前回公演よりはずっと良かった。が反面、会場のキャパシティーを越えてしまっていたのは残念。これだけのメンバーを集めたらねぇ。公演時間2時間も耐えられるギリギリだと思う。

役者としては柏田さん演じる作家が良かった。どうしても応えることができない気持ちと人として愛しく思う気持ちの狭間をよく表現されていたと思う。
個人的には今枝さん演じる少年ハットと小川さん演じる五味さん(男役?)がカワイイ、って両方とも男役だ(暴)男優では新垣さんの杖をつくパントマイムが異常に上手かった。

勝手な勘ぐり(こんな視点で観てみました)
 独占するために生きたものと、仲間と共に生きたもの、不老不死という状態であろうとなかろうと、いつかは誰かと別れなければならない。「私は今、幸せです」でも将来は?愛するものを失い、永遠とも思える時間を生きられるのだろうか?たとえ不老不死になっても人間は忘れることが出来る動物である、意外と平気なのかも。
 物語の中でゼンマイ仕掛けの人形(自律思考でき人間とほぼ同じで不老不死?)がでてくるのだが、双子の姉妹はこの存在を認識していないところに作者の何がしかの意図を感じた。将来に夢を馳せることは無駄ではない、とかね。不老不死となった犬よりもこっちの方が救いになるような気になった。
 限りある命だからこそ人は努力するのかもしれない。そんなこともフト思った。
Posted by しおこんぶ。 at 2004年08月10日 01:57
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