「PEACH WARS」
愛知県芸術劇場小ホール
04/03/18-21
作・演出:児玉俊介
出演:後藤好子/稲吉直人/木村好江/中田裕子/三日市弓子/宮地友子/森裕紀子/杉野実奈/榎本朋代/衣川志保子/工藤真/桑原博之/田中さおり/光永聖/森川倫行/山口大輔/石川巧/古賀公洋/佐野潤/高橋幸誠/つく音/永坂寛澄/福島太一/山田雅司/岩田和丈/坪井文孝/ティナ棚橋/久川徳明/松浦大/児玉俊介
かつて桃太郎に制圧されて武器を捨てた鬼ヶ島。そこに突然やって来た三代目桃太郎は、島を帝国の属領にすると言う。その真意は島に湧く「濁り水」だった。戦うか従うか、鬼達は真っ二つに分かれてしまう。
今回と同じ児玉俊介が作・演出を手がけたロードブラザイーズの「アーリオ・オーリオ」の印象が良かったので観に行ったものの、全く異なる作風。昔話になぞらえてはいるが、イラク戦争や北朝鮮の拉致問題などを元ネタとして民主主義の大切さを説くという作品だった。
小中学校での巡回公演ならそれも良いが、大人が普通の劇場で見る芝居としてはやや興醒めする。とは言え客層も親子連れが中心だったので、そういうスタンスで作っていると思われる。それを差し引けば、チャンバラの勢いや展開のテンポなどは良かった。
ところで、残念ながら出演者の身内らしい親子連れがフラッシュをたいて写真を撮っていた。学芸会じゃないんだから、民主主義よりまず公共マナーを教育してもらいたいものだ。それが重大なマナー違反であることを親も理解していないのかもしれないが、身内客なら教えておいてほしかった。
政治色が強いというより登場人物が全体主義になびいてしまっていては魅力がない。
たとえば、自分の子供が生まれようとしているのに国のために戦うっていうは確かに立派なことなんだろうが、即断しちゃうのがうそ臭い。即断できずそこに葛藤が生まれるから人間的な魅力が出ると思うのだが。
冒頭の看板とラストシーンの照明の使い方は印象的で良かったと感じた。