2011年09月22日

柿喰う客「悩殺ハムレット」

nousatsuhamuretto.jpg

偉大なる国王が変死を遂げ、風雲急を告げるデンマーク!
新たに王位を継いだのは、残忍で下劣な先王の実弟クローディアス!
王妃ガートルードは義弟との愛欲に溺れ、王子ハムレットは陰鬱と狂気に取り憑かれる─
「なんてこった…この世の歯車がイカレちまった!!」
柿喰う客の新機軸!女優によるシェイクスピア上演プロジェクト第一弾!
“悩まし過ぎる”復讐劇、ここに解禁!!
(チラシより)

 言わずと知れたシェイクスピアのハムレット。ストーリーはほぼそのままで、全ての役を女優が演じています。シェイクスピアの時代には全員男優が演じていたとのことなのでまずその点が挑戦的ですが、単にそれだけではなく、中屋敷法仁によるリズミカルな演出も非常に面白いものでした。そもそも登場人物の大半が男性ですが、美人な女優がイケメンを演じると「人間離れした超イケメン」になるので実にかっこいい。多分、宝塚にハマる人が多いのもそれが魅力なのでしょうね。しびれます。

 ハムレットを演じるのは深谷由梨香。1月の「愉快犯」では頭がハッピーなお姑さんを演じていましたが、今回は苦悩する若き王子です。小柄ですが切れのいい動きと良く通る声で堂々たる主役っぷりでした。悪役であるクローディアスはイケメン女優コロ。この人は男役が似合いすぎて逆に意外性がないので、悪者らしさがもうちょっと強ければよかったと思います。柿喰う客の名物女優・七味まゆ味はフォーティンブラス。出番が少ないものの、ラストをきちっと締める役です。

 個人的にすごく良かったのは荻野友里演じるホレイシオ。なんとなく、萩尾望都の作品に出てくる高校生みたいな雰囲気。特にハムレットが死んだ後、フォーティンブラスやイングランドの使者と会話するシーンは、ゾクゾクしました。静まり返る演出の効果もあるのでしょうけれど、感情を抑制して力強く語る透明感のある声で、心を持っていかれる気分でした。

 シェイクスピアを全員女優で演じるのは「女体シェイクスピア」としてシリーズ化し、次回は「絶頂マクベス」とのこと。とても楽しみです。

2011/9/22-19:30
柿喰う客「悩殺ハムレット」
シアタートラム/前売券3800円
原作:W・シェイクスピア
脚本・演出:中屋敷法仁
出演:七味まゆ味/コロ/深谷由梨香/右手愛美/葉丸あすか/大杉亜依里/岡田あがさ/荻野友里/葛西幸菜/葛木英/熊川ふみ/高島玲/新良エツ子/兵頭祐香/渡邉安理
美術:原田愛
照明:富山貴之
音楽:佐藤こうじ
音響:上野雅
衣裳:高木阿友子
ヘアメイク:田中順子
舞台監督:棚瀬巧


posted by #10 at 19:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 東京観劇2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は乱痴気のキャスティングの方が正解だと感じましたし、好きでした。
七味さんのガートルード、右手さんのオフィーリア、コロさんのハムレット、深谷さんのクローディアス、全部大当たり。
新良さんだけちょっともったいないけど、本ちゃんのオフィーリアは歌うま過ぎて、逆に狂気を感じられなかった…うま過ぎて損する事もあるんやねー。
Posted by そかし at 2011年10月05日 10:50
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック